「速報!バタフライの最新作《紅》、本日正午に初公開!」「バタフライ、最新作《紅》、12時初お披露目!」「桜井グループの令嬢、桜井綿が起業!5月8日、スタジオ正式オープン!ただし、桜井さんのスタジオは謎に包まれており、現時点では詳細な情報は一切不明!」雲城のニュースは、綿とバタフライの話題で溢れかえっていた。バタフライスタジオ……内装はすべてハイテク仕様だった。壁には大型のスマートスクリーンがずらりと並び、指先でスワイプすれば自在に操作できた。スクリーンにはバタフライが手掛けたすべてのデザインが映し出されている。《雪と涙》の画面には、赤い「ホット」のマークが表示されていた。それは、これが最近最も人気の作品だという証だった。綿は壁一面に並んだ、自分自身の作品たちを見上げた。胸の奥に、じわりと熱いものが広がった。これまではただ愛する人にすがってばかりだった。でも今ならわかる。誰かを愛する前に、自分自身をもっと愛さなきゃいけない。自分を強くしなければ、誰かに本当の意味で愛されることもできない。これからは、恋に溺れることなく、愛しながら、自分を高め続ける。「ボス!」背後から清墨の声がした。綿が振り向くと、清墨がM基地の子たちを連れてやってきた。「明日がオープンだね、緊張してる?」「してないよ」綿は首を振った。たかがスタジオのオープニング。緊張する理由なんてない。「ボス、さっきM基地でまたいくつかオファーが届いたよ。全部、バタフライとコラボしたいって。明日正式にオープンするけど、どこと提携するか決めた?」清墨は会社リストを手渡そうとした。だが、綿は受け取らず、淡々と答えた。「清墨、私の心はもう決まってる」清墨は首をかしげた。「ボス、もしかして……桜井のおじさんの会社?」と笑いながら聞いた。「違うよ、高杉グループ」綿は眉をひそめた。その言葉が落ちた瞬間……後からのんびりやってきた康史が叫んだ。「うわっ、ボス!」みんな一斉に康史を見た。何だよ、驚かせやがって。康史はiPadを綿に差し出した。「見て!」綿が受け取り、画面を見ると……みんなも一斉に「うわっ!」と叫んだ。「高杉社長、なんて太っ腹なんだ!」「マジかよ!街中、ボスの広告だらけじゃん!」「うわ
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