綿は、何気なく高級ブランドを眺めながら、清墨と内装について話していた。「あなたに任せるわ。TTPで送ったの、私が好きなスタイルばかりだから」「それと……」綿はふと店の外をちらりと見た。綿は眉をひそめた。何か妙な感じがするのだが、どこがおかしいのかはっきりしなかった。「清墨、調べてくれない?嬌が精神病院から誰に連れ出されたか、今どこにいるのか」清墨は数秒黙り込み、それから尋ねた。「どうした?」綿は答えた。「念のためよ」清墨は言った。「彼女がボスか、あるいは高杉社長を探しに来るのが怖いのか?」綿は小さく頷いた。清墨は少し考え、それから言った。「わかった。すぐに調べる。連絡を待って」電話が切れた。綿はメンズの腕時計を指差し、「これ、包んでください」と頼んだ。店員がすぐに近寄ってきて、にっこりと微笑みながら言った。「桜井様、本当に目利きですね。こちら、今日の午後に入荷したばかりの新作で、雲城ではうちの店にしかないんですよ。唯一無二です!」綿は眉を上げた。へえ、そうなの?「高杉様へのプレゼントでしょうか?」店員は包装しながらにこやかに尋ねた。綿は軽くうなずいた。彼女と輝明の交際発表は大きな話題になっていたから、店員がそう聞くのも無理はなかった。綿はソファに腰掛け、外をじっと見つめていた。誰もいないのに、なぜか、ずっと誰かに見られているような気がしてならなかった。綿は眉をひそめた。神経質になりすぎているのだろうか?綿のスマホが鳴った。輝明からの電話だった。「今、ショッピングモールの五階、ある高級ブランド店にいる。そこで待ってるわ」綿は言った。「わかった」綿は電話を切った。店員が包装済みの腕時計を綿に手渡した。「お待たせしました、桜井様。ご購入いただいた時計、こちらです」綿はうなずき、「ここで少し休ませてもらうわ」と言った。店員はすぐにお茶を運んできた。これだけの買い物をしてくれたのだから、休憩を断る理由などなかった。時がゆっくりと流れる中、綿はお茶を飲みながら、のんびりとニュースを眺めていた。突然、外から叫び声が聞こえた。「モールが火事だ!」「火事だ!」三秒も経たぬうちに、モール全体にけたたましい警報音が鳴り響いた。綿も店員も外を見
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