崇も頷いて、綿にも残って一緒に過ごそうと誘った。だが、綿は確かに少し疲れていたし、すでに夜の八時に近づいていた。どういうわけか、心ここにあらずだった。特に、SNSで友人たちが次々と年越しの投稿をしているのを目にしてからは。「私は、やっぱり一緒に行かない」綿は丁重に断った。シェリーは名残惜しそうな目で綿を見つめた。その瞳には、彼女ともっと一緒にいたいという思いが溢れていた。せっかくみんな集まったのに、別れるのは寂しかったのだろう。綿はじっとシェリーを見た。自分は昔から、甘えたり弱音を吐いたりする女の子に弱いところがあった。シェリーがこんな風に頼んでくると、さすがに断りづらくなる。「そういえば、私に話したいって言ってたこと、まだ聞いてない」綿はふと思い出して尋ねた。「一緒に次の場所に行ってくれたら、そこで教えてあげる。ちょうどいいじゃない?」シェリーは笑いながら答えた。綿は目を細めた。つまり、知りたければシェリーについていかなきゃならないってことか。シェリーは肩をすくめた。まさにその通り、という顔だった。綿はため息をついた。「しょうがないな。じゃあ、行くよ。だって、そんなに気になる話、聞かずにはいられないもの」シェリーは満足そうにくすっと笑い、綿の手を握った。「綿、今回の話は絶対に後悔させないから!」「輝明に関すること?」綿は尋ねた。シェリーはうなずいた。「でも、シェリー、私はもう輝明のことにはそんなに興味ないよ」「確かに彼に関する話だけど、同時に綿、あなた自身にも関わることなんだよ」シェリーは意味深な笑みを浮かべ、そのまま綿を連れて会場を後にした。綿は車で来ていたが、運転手はいなかった。一方、シェリーは運転手付きだったので、綿の車はそのまま置いていくことにした。夜の帳が降り、バーの前にたどり着いた。今夜、シェリーはバーを貸し切っていた。クラスメイトたちは中に入るなり、思い思いに騒ぎ始めた。ステージのDJが盛り上げ、瞬く間にダンスフロアの雰囲気に。綿はシェリーの手を引っ張った。早くあの話を聞き出さないと、遊ぶ気分になれなかった。だが、シェリーはグラスを二つ持ってきて、綿に先に飲もうと促した。「まず楽しまなきゃ」綿は顔を曇らせ、真剣な表情
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