あら?今日って、まさか景司の誕生日だったの?由佳の目に、一瞬の驚きが閃いた。彼女はそのことをまったく知らなかった。もし知っていたなら、きっと誕生日プレゼントを用意していたのに。景司は冷たい視線で隣の人物を一瞥した。「余計なお世話だ」その人は笑みを浮かべて答える。「俺が言わなきゃ、この子は知らなかったんだろうな」「うるさい、消えろ」景司は不機嫌そうに言い捨て、その人は目的を果たすと、それ以上絡まず他の場所へと向かった。由佳は景司を見つめ、口を開く。「今日、あなたのお誕生日なんですね。お誕生日おめでとうございます」しかし景司は淡々と答えた。「俺に酒を注げって言わなかったか?」「はい、すぐ注ぎます!」由佳はすぐに酒を注ぎ、酒杯を彼の唇元に差し出す。顔には満面の笑みが浮かび、瞳はキラキラと輝いていた。少し熱が入りすぎている自分に気づき、由佳は心の中で苦笑した。景司は少し居心地悪そうに手を伸ばし、酒杯を自分で受け取る。「自分で飲む」由佳も無理に強要せず、彼に何を贈ろうかと考えを巡らせる。瀬名家の御曹司である彼は、きっと何でも持っているに違いない。じゃあ、何を贈ればいいんだろう?いっそ、自分自身を差し上げれば……?私たち、相性は抜群だし!でも、それは口に出せない。言ったら間違いなく追い出されるに決まっている。ああ、難しいな……そのとき、個室のドアが再び開いた。賢司と舞子が入ってきた。由佳の目が輝く。「舞子!」舞子は微笑みながら近づき、手に持っていたプレゼントボックスを景司に差し出す。「誕生日おめでとう」舞子も今日が景司の誕生日だと知ったのは道中で、慌ててカフスボタンを買いに行ったのだ。途中、賢司に文句を言いながら、「もっと早く教えてくれれば、こんなに慌ててプレゼントを用意せずに済んだのに」と。しかし賢司は微笑んで答えた。「お前の気持ちが俺に向いてくれれば、それで十分だ」舞子は呆れつつも、どこか甘い気持ちになった。景司は箱を受け取り、淡々と言った。「ありがとう、お義姉さん」賢司がソファに腰を下ろすと、舞子はさらに一言添える。「後で開けてみて、気に入るか見てね。何が好きか分からなくて、適当に買っちゃったんだけど」景司は言った。「お心
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