「キャーッ!」冷水が由佳の神経を突き刺し、思わず声を上げて身を震わせ、自分の体を抱きしめた。顔を上げると、そこには景司の冷ややかな眼差しがあった。「すごく……冷たい……」震える声で呟くと、体を覆っていた火照りは確かに引いていた。景司は彼女が正気を取り戻したのを見届けると、深く一瞥をくれ、踵を返して去ろうとした。その時、服を抱えた舞子が現れ、彼が出てくるのを見て問いかけた。「彼女、どうだった?」「冷水に浸けたのが効いた」そう答える景司の言葉に、舞子は安堵の息を漏らした。「よかった……本当にありがとう、今日のことは」「お義姉さん、これからは家族なんだから遠慮はいらない。先に失礼するよ。何かあったら兄貴に連絡して」「うん、わかった」舞子はうなずき、彼を振り返ることなく洗面所へと入っていった。浴槽の中で由佳は、冷たい水に全身を浸したまま座り込んでいた。頬の紅潮もいくらか引いていた。「私……どうしちゃったの?」震える声で尋ねると、舞子はこれまでの経緯を話し、申し訳なさそうに視線を落とした。「ごめん……私のせいで巻き込んじゃって」由佳は目を閉じて首を振った。「大丈夫。謝らないで。むしろ私の方からありがとうって言わなきゃ」「え?」舞子はきょとんと彼女を見つめた。「どういう意味?」由佳は口元に笑みを浮かべた。「さっきのこと、全部覚えてるの」思い描いていた理想の男性に出会い、キスをし、触れ合いさえした。まるで夢みたい、大当たりだ。由佳のその表情を見て、舞子は一瞬で察し、呆れ果てて言葉を失った。「今の気分はどう?」しばらくして舞子が問いかけると、「寒い」由佳はぽつりと答えた。「……」確かにその通りだった。由佳の顔色は次第に青ざめ、怯えたように問いかけた。「これ、どれくらい浸かってなきゃいけないの?」「薬の効果が切れるまで」「じゃあ……いつ切れるの?」舞子は呆然と首を振った。「私にもわからない」由佳は体を抱きしめ、震えながら言った。「生理痛がひどくなりそうで怖い……」「……」さらに十分ほど経った頃、由佳が口を開いた。「もう気分悪くないから、出るね」本当に限界だった。水はあまりにも冷たすぎた。舞子はうなず
Baca selengkapnya