梨花は、清が何を心配しているのかすぐに察した。そして彼を安心させるように、やさしく微笑んだ。「大丈夫。すぐ戻るから。もし橋屋社長との話を終えても私が戻ってなかったら、その時は探しに来て……これで、少しは安心した?」そう言われてようやく、清は彼女を送り出す気になった。クルーズ船は広く、梨花はしばらく迷いながらようやくトイレを見つけた。まるで金でできたような内装。壁は金色に輝き、洗面台には大きな鏡。鏡の縁には繊細な装飾が施されており、どこを見ても豪華さに満ちていた。手を洗い、戻ろうとしたその時。扉の外で、足が止まった。「梨花。こんなところで会うなんて、奇遇だね」声の主を見て、梨花は
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