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第 1254 話

Author: 水原信
「なんだよ、それ!全然フェアじゃないだろ!」

「そうよ、私たちはみんな、御社の信用を信じて参加したのに!」

「黙ってあんな高価な品を横流しなんて、あまりに非常識じゃないですか!ちゃんと説明してください!」

観客たちの怒りは一気に爆発した。

司会者は冷や汗をかきながらも、今さら後には引けず、覚悟を決めて次の言葉を口にした。

「この紫の宝石は……藤屋社長に贈呈されます」

その名を聞いた瞬間、激高していたご婦人たちの表情が一斉に変わった。

藤屋家――この都市の半分を牛耳る大財閥。残る半分を支配しているのは、あの葉野家だ。

しかも藤屋家には、現代唯一の後継者がいる。海外留学を終えて帰国したばかりの、孝
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