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第 1253 話

Author: 水原信
孝典の視線は梨花に注がれていた。しかし、口を開いたのは周囲の人々に向けてだった。

「そろそろオークションが始まります。見逃したくない方は、早めにご準備を」

その言葉に、孝典がこれ以上この話題に関わる気がないことを、周囲の人間はすぐに察した。

場にいるのは全員が空気を読む達人ばかりだ。

「藤屋社長のおっしゃる通り!今回のオークション、絶対に見逃せないですよ!」

「そろそろ会場に移動しましょうか」

そう口々に言いながら、皆が動き出そうとしたそのとき、場内の照明が一斉に落とされた。

一瞬、軽いざわめきが走る。すぐに中央に一筋のスポットライトが灯り、進行役の司会者が登場した。

一通りの挨拶を終えると、
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