英理はまだ兆の病状に気を取られていたが、耳元では他人の心ない言葉が飛び交っていた。それに我慢できず、怒りを込めて反論した。「莉花、あんたね、兆のことをどう言おうと構わないけど、現を放っておいたなんてことだけは絶対に言わせないよ!この何年も、どれだけあの人が現の面倒を見てきたか、何度尻拭いさせたと思ってんの?それをあんたたちは、困った時だけ頼ってきて、良いことは一つも私たちに回さない。家族だからって、それで済むと思ってるの?」温井莉花は涙をこぼしながら言い返した。「だって今は本当にどうにもならないのよ……自分でなんとかできるなら、兄さんに頼ったりしないわよ。相談しに来たのは、それしか道がな
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