唯花はお腹が空いて目を覚ました。起きた時、いつも通りに隣に手を伸ばしてみたが、あの狼男の感触はなかった。彼女が顔を傾けて横を見てみたら、隣の枕は空っぽだった。布団の中の温度もすっかり冷めていた。あの狼野郎は早く起きて出かけてしまったのだろう。唯花はこの時、まだ日が昇ったばかりだと思っていたが、携帯をとって時間を確認し、その時間に驚いて、急いで起き上がった。もうすぐ昼の十二時じゃないか!お腹が空くのも当然だ。昼まで寝続けてこの時間にようやく目が覚めたのだから、お腹が空かないほうがおかしい。理仁はどうして起こしてくれなかったのだ!唯花は慌てて着替えを掴み、浴室へと駆けこんで着替え始めた。着替え終わると、歯磨き、洗顔を済ませ、化粧はせずにそのまま携帯を持って下に急いで降りていった。階段を降りる途中で、彼女の携帯が鳴った。あの狼からの電話だ。「理仁」唯花は足を止め、彼の電話に出てすぐに低い声で不満をもらした。「どうして朝起こしてくれなかったのよ。今まで寝てたのよ、私。もう十二時じゃないの」理仁は電話の向こうでクスクスと笑っていた。「君がとっても気持ちよさそうに眠っていたからさ、起こすのが申し訳なくてね。もうちょっと寝かせておいてあげたかったんだ。君に代わって牧野さんには電話をしておいたよ。君は今日とても疲れているから午後に店に行くってね」唯花は、理仁が明凛にそのように説明すると、明凛がきっと変な妄想をしただろうと思った。しかし、彼らも昨日の夜、確かに節度なく羽目を外したわけだが。「お昼の休憩時間?」「さっき会議が終わって食事に行くところだよ。君はご飯を食べてから出かけたらいい」理仁は彼女にそう注意しておいた。彼女が食事もせずに出かけてしまうのではないかと心配したのだ。「もう昼ご飯の時間だから、もちろん食べてから出かけるつもりよ。じゃ、あなたは食事に行ってきて、私も下に降りるわ」「わかった。愛してるよ、唯花」それを聞いた唯花は笑った。「あなたからそんな甘い言葉が聞けるなんて、なんだか慣れずにムズムズしちゃうわね。私も愛してるわよ」そして、明凛が前回、悟と電話していた時の様子を見習って、彼女は携帯に向かって投げキッスをした。そして、笑って理仁に尋ねた。「私のキス。伝わった?」理仁は電話の
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