「君からもらうものなら、そこらへんの草だとしても俺は嬉しいよ」唯花はからかうように言った。「今夜はあなたのお屋敷に帰るでしょう?帰ってから、裏庭に生えてる草を取ってあなたにあげることにするわ」それを聞いた理仁は愛おしそうに彼女の鼻を軽くつねった。彼女が贈るというのなら、彼も素直に喜んで受け取ろう。彼が言った言葉は本気だ。唯花が贈るものであれば彼はなんでも嬉しい。ブルームインスプリングに向かう途中で、理仁はふいに口を開いて話し始めた。「唯花、二日後、俺と一緒に小松家で行われるパーティーに参加してくれないかな。場所はスカイロイヤルなんだ」唯花は頭を彼のほうへ傾げて、笑って言った。「珍しいじゃない、結城家の理仁坊ちゃんがパーティーに参加するなんて。理仁坊ちゃんはずっとああいうところには姿を見せないって聞いていたわ。そんな坊ちゃんが参加するパーティーの主催者側は、あなた達結城家とは必ず関係が深いとか」理仁は軽く彼女の額を突っついて、彼女の言った言葉を訂正した。「今後も君を含めたうえでの結城家だよ。君は結城家の女主人になる人なんだから。今後は誰の言うことも耳に入れなくていい、何か疑問があれば直接夫である俺に聞けばいいんだからね。パーティーは小松家主催だ。小松家は星城のビジネス界での地位が他とは格別で、みんなから尊敬されている家なんだよ。彼は毎年スカイロイヤルでビジネスパーティーを開催するんだ。星城のビジネス界にいる多くの会社の社長たちが参加するんだよ。ただの交流だけでなくて、実力があってもまだまだ発展途中の中小企業に大きなビジネスチャンスをあげるためだ。小松家と俺たち結城家は昔からの関係があって、よく交流を持っている家同士だから親密な関係なんだ。小松家は星城で多くのビジネスを幅広く展開しているよ。その家の人たちはとても控えめな態度でね、結城家はその卓越した才能と実力で小松家を庇ったこともたくさんあるんだ。小松家の女主人とうちの母さんは親友だしね。去年、小松家のパーティーが開催されたのは十月だったんだ。ちょうどあの頃は俺たちが結婚手続きをした時期だろう。君と牧野さんが金城夫人に連れられてパーティーに参加したろ、覚えてるかな?あのパーティーが終わった後、君は家に帰って俺の噂話を話してくれたよね」理仁はそう言いながら唯花の耳元まで近づ
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