「東社長?」隼翔が瞬きもせずに唯月をじっと見つめて動かないので、唯月はおかしく思って彼に一声かけた。隼翔はその瞬間ハッとして、笑って言った。「きっと毎日君に会っていたから、何も考えてなかったんだろうけど、さっき君が以前よりかなり痩せて、とても綺麗になったと気づいたよ。樋口嬢にも負けないくらいだね」そう言い終わると、隼翔は呆けてしまった。どうして唯月と琴音を比較に出したのだろうか?唯月は笑って言った。「お褒めいただきありがとうございます。私は普通です。樋口さんが美人な方ですよ」「内海さん、樋口嬢は……俺の母さんの親友の娘さんで、星城へは出張で来られたんだ。今うちに泊まっていて、母さんもまるで娘を可愛がるように大事にしてるんだ。君も知っての通り、うちは兄弟四人で、母さんには娘がいないからな。女の子のことがとても好きなんだよ。理仁のおばあ様もひ孫に女の子が生まれるのを期待しているように、うちの母さんも女の子が好きでね、あの二人は同じなんだ。樋口さんは俺よりも少し年下で、小さい頃に一度会ったことがあるらしいが、俺は全く覚えていなかった。彼女がお客としてうちに泊まっているから、たまに俺も彼女に付き合って出かけるくらいで、いや、別に俺は彼女に付き合っているわけでなくて、母さんに付き合ってパーティーに参加したんだ。母さんが彼女を連れて来たから、俺と彼女が一緒に踊る羽目になっただけで」隼翔は思わず自分が昨晩、琴音と一緒にいて何があったのか全て口に出した。彼は唯月に、彼と琴音がカップルであると誤解されたくなかったのだ。実際、唯月は隼翔と琴音が一緒にパーティーに来ていたことなど知らなかったし、二人がダンスを踊ったことも全く知らなかった。唯花はこの件を姉に伝えていなかった。そんな暇もなかったのだ。唯花は目を覚ますと、姉からたくさんお酒を飲んだだろうと責められたのだ。そして姉は下に降りていったので、姉にパーティーで起きたことなど話すような時間はなかった。隼翔の話を聞いて、唯月は笑って言った。「東夫人は樋口さんのことをとても気に入っていらっしゃるみたいですね。東社長、話を聞いていたら、あなたと樋口さんはとってもお似合いだと思いますよ。あなた達がもっと一緒にいる時間を増やしてみたらどうでしょう。樋口さんはとても気さくで、大らかな女性です。それ
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