唯花も笑って言った。「おばあちゃん、理仁さんは私のことをとってもとっても大切にしてくれているわよ」おばあさんが言うその口調は、姉の唯月と同じような感じだ。おばあさんは電話越しにケラケラと笑っていた。理仁がこの時、おばあさんに「いつ帰って来るんだ?」と尋ねた。「おばあちゃんはね、今まだ病院にいるのよ。そんなに早くは帰れないわ」理仁と唯花は二人とも同時に心配そうに尋ねた。「おばあちゃん、どこか悪いの?」こんなに話していたのに、おばあさんは今自分が病院にいることも教えず、気分良さそうにケラケラと笑いながら話していたのだ。二人はまさかおばあさんが入院しているなんて全く思わなかっていなかった。「ただ一人で出かけている時に、白山玲さんの車に驚いて、地面に尻もちついちゃったのよ。それで尾骨のあたりがちょっと痛くって、そしたら玲さんが病院に連れていってくれたわけ。その後うちのもんにも連絡してくれてね、柏浜にいる私の孫といえば奏汰でしょ」理仁「……ばあちゃん、違うやり方はできんのか?」おばあさんももう若くないのだ。そのように地面にお尻から倒れてしまって、もし力加減を間違えでもしたら、本当に怪我をしてしまうことになる。そうなったらどうするというのだ?おばあさんは自分は無実だと言わんばかりにこう返した。「私は本当に玲さんの車にびっくりしちゃったのよ」理仁はおばあさんの言うことをこれっぽっちも信じていないのだ。そこまで聞いていて、唯花は当初おばあさんを助けたあのシーンは、おそらくおばあさんの自作自演であったのだと理解した。つまりおばあさんの命の恩人となり、その恩を返すという名目で理仁が唯花と結婚する理由を作ったのだ。そして今、また同じ手で結城奏汰に仕掛けようというわけだ。今回おばあさんは同じようなことをしたわけだが、それが有効であれば構わない。やり方が同じであるかどうかはどうだっていいのだ。玲が彼女に対して申し訳ない気持ちになってくれれば、おばあさんは最大限に自分の力を発揮できるというもの。「おばあちゃん、玲さん、かっこよかった?」「もちろんよ。実際に会ったほうが写真よりずっとかっこいいわ」唯花は興味津々に尋ねた。「奏汰君は気に入っていました?」「あの子ね、彼は玲さんほどイケメンじゃないんだから、彼が気に入ったかどうか
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