理仁のボディーガードたちはその職業柄、慣れた様子で理仁と唯花に道を作った。誰にも気安くこの夫婦に近づけさせないのだ。二人は理仁の両親の後ろについて、出迎えに出てきた小松家の人たちのほうへ歩いていった。両家はお互いに挨拶をかわした。小松家の視線は最後に唯花に移った。この日、唯花が人の目を奪うほど美しく、気品のあるオーラを出し堂々と落ち着いているので、一般家庭出身者のようには見えなかった。理仁と唯花が結婚していることはかなり前に公になっていた。しかし、彼らは一緒にこのような社交界のパーティーに揃って出席したことがなかった。唯花は普段、神崎夫人とともに出席していた。小松夫人は全くそのようなパーティーには顔を出さないので、小松家はみんなこの時初めて結城家の若奥様となった唯花と会ったのだ。星城でこの半年ほど最も話題にのぼっていた人物は、この結城理仁の妻だった。小松家から見れば、この結城家の若奥様は世間で言われているような田舎者ではなかった。そんな噂とは逆に、唯花と理仁が一緒にいると様々な面から見てもお似合いだと思っていた。まるで神が作り出したカップルのようだ。唯花のことを役不足で、結城理仁には似合わないと言っている連中は、絶対に自分にはそんな幸運が舞い降りていないということで、結局は唯花が神の寵愛を受けた幸運の持ち主だと羨ましく嫉妬しているだけなのだ。「こちらは妻の唯花です」理仁は唯花を小松家に紹介した。そして彼はまた小松家のメンバーを唯花に紹介していった。それが終わると唯花は彼らに微笑んできちんと挨拶をした。夫人の小松真由美(こまつ まゆみ)が麗華に言った。「麗華さん、本当に羨ましいわ。息子さんのお嫁さんは一目で幸運の持ち主だってわかる子ね。それに善良で孝行者な方でしょう。あなたは将来安心して暮らせるわね」麗華は笑顔で言った。「そうね。うちの唯花さんはしっかりうちに溶け込んで、よくできたお嫁さんだと思うわ。私には娘がいないから、お嫁さんのことを娘のように大切にするつもりよ」真由美は笑った。「それは見ただけですぐわかるわ。あなた、本当に唯花さんのことを大切にしているわよ」結城おばあさんが昔麗華に贈ったいくつかのジュエリーセットはかなり高価なものである。麗華は多くの宝石を所有している人間だ。あのおばあさんから贈られたジ
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