祐一はそれ以上流星を引きとめることはなく、カフェから去っていく流星の後ろ姿を見ていた。流星が去ってから、祐一は母親に電話をかけた。母親が電話に出るとすぐに話し始めた。「母さん、流星のやつ、やっぱり聞く耳を持たないよ。だけど、咲とは言い争いになったんだと思う。きっと咲から頬を打たれたんだ。顔の片方腫れてたから」朱美はそれを聞くと、少し得意げな顔になり言った。「つまり私たちのこの方法は効いてるってことよ。あなた達、もっと流星のことを気にかけてやりなさい。そして彼の前であの女の悪口を言って姉と弟の仲を引き裂くの。流星は絶対に気にするはずよ」朱美は妹の樹里と一緒に咲に何度も交渉したが、どれも効果がなかった。それは彼女たち二人は昔から姪である咲に全く関心を寄せていなかったからだ。兄と仲良くすることで、より多くの利益を得られると考えていたのだ。だから、昔から咲に冷たくあたって当然だ。咲は柴尾グループを継ぐとすぐに尾崎家と黒川家に鋭い牙を向けてきたので、朱美は咲のことを非常に憎んでいるのだった。朱美は咲は目が見えないくせに結城辰巳に気に入られるなど、どうしてこうも強運の持ち主なのだろうかと思っていた。もし以前であればそんなことは信じられなかったが、今はあの二人は婚約しているから信じざるを得ない。婚約パーティーもかなり盛大に行われ、星城の有力者たちも多く参加していた。ただ、尾崎家と黒川家は呼ばれなかった。つまり咲はこの両家のことを憎んでいるのだ。これによって、尾崎家と黒川家は星城のお笑い者になってしまった。「母さん、わかってるよ。だけど、流星も俺たちがいつもああいう話をするからもう鬱陶しくなってるみたいだ。あいつ、さっき俺とも口喧嘩してさっさと帰っていったんだ」朱美は言った。「あの子はまだ子供よ。まだ社会人にもなってないんだから、何もわからないの。彼が私たちの話を鬱陶しく思っているのなら、今は悪口を言うのは控えておきましょ。もうすぐ大学が始まるでしょ、あの子に何か足りない物があれば買い物に付き合ってあげるのよ。大学が始まったら、大学まで送ってあげて、そうすれば怒りも収まるから。子供のご機嫌取りくらい、あなたには簡単なことのはずよ。それから、あの目の見えない女のことも引き続き観察しておくように。どうにかしてあの女と結城さんに誤解を生じさ
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