陽の話を聞いて、結城おばあさんは笑った。「そうね、陽ちゃんが大はしゃぎで遊んでいる時に、奏汰のことなんて思い出さないわ」奏汰は陽に言った。「陽君、おじさんが喜ぶような言葉をくれないかな。いつも正直に言われると、つらいなぁ」陽は大きな瞳をキラリと輝かせて言った。「ママとおばたんがね、しょうじきな子になりなさいって、うそはついたらダメだって言うんだ」陽は聞き分けの良い子で、母親と叔母から言われた言葉は全部覚えているのだ。唯花は笑って言った。「そうそう、陽ちゃんは正直な子だよ。良い子は嘘なんてついちゃだめなの」陽は叔母の懐に飛びついた。唯花は彼を抱き上げて自分の膝の上に乗せると、笑って奏汰に言った。「奏汰さん、あなたは陽ちゃんの中ではまだランキング外なんですよ。きっと蓮君のほうがあなたよりもランキングが上かもしれない。陽ちゃんはよく蓮君の話題を出すけど、あなたの話はしたことがないもの」奏汰はあまり陽と顔を合わせていないし、陽と一緒に楽しく遊んだこともないからだ。蓮が陽と一緒に思いっきり遊んだことを陽はしっかり記憶している。それでよく唯花に蓮といつになったら遊べるのか聞いていた。奏汰は車に乗り運転しながら話した。「唯花さん、これからは陽君と一緒によくスカイロイヤルに遊びに来てください。陽君もだんだん慣れてくれると思うので」唯花は笑った。「奏汰さんはきっと長い間スカイロイヤルにはいないでしょう?」奏汰は笑うだけで、返事はしなかった。おばあさんが彼らに与えたのは一年だ。今すでに半年以上過ぎてしまったから、彼はさらに努力しないと、年越しの時に琴ヶ丘にある家の門をくぐれないかもしれない。奏汰は三人を空港まで見送り、唯花が飛行機に乗ってから、彼は戻っていった。奏汰は直接ホテルに戻るのではなく、車を白山グループまで走らせた。白山グループは結城グループと違い週休二日ではなく、毎週日曜日にしか休みがない社員が多い。彼は初めて白山グループに来た。柏浜で暮らす人たちも結城奏汰のことを知っている人は多いが、白山グループの社員は彼を知らず、いくらその名前を告げても受付は通してくれなかった。受付が内線をかけて、玲の秘書に伝えると、秘書が玲に指示をあおいで奏汰をようやく通してくれた。玲はこの時書類を処理しているところで、奏汰は秘書
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