唯花の近くからどうして赤子の泣き声がするのだろうか。「理仁、それじゃ、電話切るわね。おうちで私が帰ってくるのを待っててくれればいいから」唯花は遥の子供の泣き声を聞き、夫のことはもうどうでもよくなり、すぐに電話を切ってしまった。彼女は今音濱岳邸にいる。遥の双子の赤ちゃんのことを唯花は自分の子供のように可愛がっていた。同じく自分にも双子が生まれるといいなと思いながら遥と一緒に過ごしていた。一度に男女の双子を授かれればもっと良い。さっきは赤ちゃんの声がしたことで、理仁に居場所がばれてしまうのではないかとヒヤヒヤし、彼女はそそくさと通話を終わらせたのだ。理仁は本当に居場所をあててしまった。彼はこの時、嫉妬心だだ洩れで、ぶつくさと独り言を言っていた。「音濱岳に子供を見に行くのに俺を呼んでくれないなんて。俺だって、あの子たちがすっごく好きで、会いたいって思っているのに」特に女の子のほうだ。遥の娘はとてもおとなしく、あまり泣くことはない。それと真逆で双子の兄のほうは一日中泣き続け、その煩さで頭がくらくらするほどだ。理仁はおばあさんがあれほどひ孫には女の子を希望している理由がわかった気がした。女の子のほうが絶対に静かでおとなしく聞き分けがよく、男の子ならいつも泣き喚いて、話を聞かないのだろうと彼は思った。蒼真も女尊男卑な考えの男で特に娘のほうを溺愛している。双子の一カ月のお宮参りの時には、理仁は唯花を連れてA市に祝いに行った。その時、蒼真のあのどケチ男は理仁には絶対娘のほうの芽衣(めい)を抱かせようとしなかった。息子の悠(ゆう)に関しては、理仁がいつまでも抱っこしていてもどうでも良さそうだった。そして最後になって理仁がやっと芽衣を抱くことができたのも、それは唯花が遥のところから芽衣を抱き上げたおかげでだ。芽衣はよく育てられており、真っ白な肌にモチモチ肌、それにぷくぷくとした可愛らしい様子には思わず噛みついてしまいたいくらいだった。もちろん、理仁は本気で噛みつくことはない。そんなことをすれば、蒼真が即刻彼を家から追い出すだろう。桐生家の他の坊ちゃんたちからも抗議の声があがるはずだ。「娘がいるからって偉いとでも思ってるのか」以前のことを思い出し、理仁はまた一人でぶつくさ呟いた。「俺と唯花が将来何人も娘を生んで、あいつらを嫉
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