Alle Kapitel von 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Kapitel 1891 – Kapitel 1900

1920 Kapitel

第1891話

奏汰は笑って言った。「俺もまだ白山社長に良い人を紹介できていませんからね、お礼なんて必要ありませんよ」彼は玲のほうを向いて、からかうように言った。「白山社長も頑張らないといけませんね。ご結婚なさる時には、必ず結婚式に参列します」玲は顔色ひとつ変えずに言った。「もしそのような日が来るなら、必ず結城社長を招待します」彼女は一生結婚しないと決めている。朝食を済ませると、弥和はさっき使用人に頼んで用意させていた二人分の食べ物や飲み物を全て包んで持ってこさせた。奏汰が自分の娘と結婚する確率はほぼゼロに近いが、弥和はやはり娘と奏汰を乗馬に行かせようと思った。玲はどうしようもなくなり言った。「母さん、俺は別に一日中家にいるわけじゃないぞ。一週間に一日しか休めないんだからな」ある時は、週末にパーティーや会食に参加しないといけないので、彼女は一日すら休めない時もある。一族の跡取りになるのも大変な仕事だ。今、白山グループのトップは会長である茂だが、彼は会社のことは何も管理しておらず、内部の細かな事業や管理は全て玲と碧の二人に任していると誰もが知っている。「言ったでしょ、土曜日の仕事は碧に任せてあなたは週に二日休みなさいって。ほら、徹夜のしすぎで肌の調子が良くないわよ。お母さんが買ってあげたスキンケアを面倒臭がらずにちゃんと使いなさいね。あなたは元が良いけど、ある程度の年齢になってスキンケアをきちんとしてなかったら、一気に老けるわよ」後ろのほうのセリフは奏汰に聞こえないように弥和はかなり小さな声で話していた。玲はそんなことなどどうでもいい様子で言った。「わかってるよ」彼女はスキンケアを続けるのが苦手なタイプだ。毎日起きると適当に顔を洗い歯を磨いて、朝食を済ませ、会社の朝のミーティングに出かけていく。「ただいま」玲が奏汰を連れて出かけようとしたところに、碧が急いだ様子で家に帰ってきた。碧は姉と奏汰が出かけようとしているのを見て、少し驚き、すぐに姉を端の方へ引っ張っていって声を抑えて尋ねた。「兄さん、何やってんの?今から遊びに出かけるとこ?それなのに、どうして俺を呼び戻したんだよ。さっき、友達と今日はヨットで海に出るところで、埠頭にもう着いてたのに呼び戻されたんだぞ、俺」「うるさい、俺たちと一緒に牧場に行って乗馬するぞ」
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第1892話

「兄さん、あまり奏汰さんのこと下手に警戒しすぎると、逆にボロが出ちゃうぞ」とても小さな声で碧は玲にそう言った。姉は、ほかでもなく奏汰に実は女性であるとばれるのを心配していると碧はよくわかっていた。「結城社長の結婚相手候補は一体どこのご令嬢なんだろうね」彼らがそれを聞いても、奏汰は結局その令嬢がどこの名家なのか教えてくれなかった。碧は笑って、どうでもいいような口調で言った。「それがどこの誰でも俺らとは関係ないさ。彼は星城の人だし、結城家のおばあ様は絶対星城にいるご令嬢を見つけてくるはずだよ。名家出身じゃなくたって、一般家庭の女性で星城の人とかさ。結城家の若奥様も辰巳さんの奥さんになる人も星城出身だし」玲はそう自分に話す碧の目に宿る意味を理解していた。どのみち、それは玲ではない。だから、そこまで相手を疑ってかかる必要などないと言いたいのだ。普段、玲は誰か男に警戒心を持ったり、このように疑ったりはしない。玲の立ち居振る舞いは男よりも男らしいからだ。昔からの顔なじみの一世代上の社長らも、玲を自分の娘婿として考えることはあっても、息子の嫁になどと考えたことはない。玲は暫くの間黙っていてから、低い声で言った。「俺もなんで自分がこうなのかよくわからないんだ。たぶん、彼とは相性が悪いからかな、彼に会うとなんだか落ち着かなくて、警戒してしまうんだよ」碧はおかしくなって言った。「奏汰さんも別に兄さんに対して何かしたりしてないってのに、どうして相性が悪いて言えるんだよ?奏汰さん、めっちゃ良い人だって俺は思うんだけどな。すごくおしゃべり上手でさ、父さんと母さんもすっごく気に入ってるじゃんか」「父さんと母さんも、今じゃ、もうあそこまで結城社長に熱をあげることはないさ」玲は親を諦めさせる作戦に成功したと言える。両親は今ではもう彼女と奏汰をくっつけようなどと妄想はしないはずだ。「なんで?」「別になんでもない。ちょっと寝る。到着したら起こしてくれ」玲は昨日も夜中過ぎまで残業し、今日の朝は早くから奏汰の電話で起こされたので、眠たくてたまらなかった。出かける前にコーヒーを飲むのを忘れていた。しかし、本来この日は休日で、仕事をする必要はないから、疲れているならそのまま休めば良く、コーヒーで目を覚ます必要もないのだ。「
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第1893話

奏汰は背の高く大きな馬に乗った。後ろにいる玲と碧の二人が前にやって来ると、彼は笑いかけて言った。「白山社長、碧君、一緒に競争しましょう」碧は笑って言った。「もちろんですよ、ここにはそのつもりで来たんですからね。結城社長、ご兄弟や従兄弟の方たちはみんな文武両道だと聞いています。今日はぜひ乗馬のご教授を願いたいですね」「いやいや、それはこっちのセリフだよ。俺はもう長いこと乗馬をしていないから、君たち兄弟には敵わないと思うよ」碧は言った。「結城社長はうちのお客様ですからね、それなら先に走り出してください。俺らは一分後にスタートします」奏汰は玲のほうを見ていた。玲は淡々とした表情で言った。「俺もかなり長い間乗馬はしていませんから、同じく一分待ってたら、結城社長もずるして勝ったように感じるでしょう。俺たちはやっぱり公平に試合といきましょうか」「いいでしょう」すると、奏汰と玲はその場に碧を残したまま、先に走り出してしまった。碧「……」碧はどうしてさっきあんなことを言ってしまったのだろうかと思っていた。一分も経たずにあの二人はかなり遠くのほうまで走っていった。しかも、さっきあの二人は長い間乗馬などしていないと言っていたし、乗馬技術には自信がないような雰囲気を出していたくせに、全く大違いではないか。二人は走り始めると、互いに一歩も譲らぬ勢いで駆け抜けていき、碧の存在などすっかり忘れているかのようだった。そしてようやく一分経ち、碧は必死に二人を追いかけたが、姉と奏汰にはまったく追いつくことができなかった。奏汰と玲も競り合い続けていて、良い試合だった。何周も駆けてから、最後にはやはり奏汰が勝った。奏汰は馬の背から優雅に飛び降り、笑顔で玲のほうへとやって来た。「白山社長が颯爽と馬を走らせる姿はかなり魅力的ですね」「いえ、結城社長ほどでは」奏汰は、か弱い男ではない。彼は本当に文武両道の男だ。これには玲も心から負けを認め、奏汰に対する態度も穏やかになった。二人が木陰に腰掛けると、すでにそこには飲み物やお菓子などが用意されていた。二人が暫くそこで休憩していてから、やっと碧が戻ってきた。碧は馬から降りると、二人のほうへ向かいながら大きな声を出した。「結城社長、あなたの話は信じられません。すっかりはめられた気分ですよ」
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第1894話

碧は急いで奏汰の肩をぽんと叩き、小声で言った。「結城社長、そのセリフ、絶対に兄さんに聞かれないようにしてくださいね。もし兄さんが聞いたら怒ります。普段は口数が少ないんですが、弟だから一言多めに愚痴ってくるんですよ。見てください、どう見たって兄さんは女には見えないでしょ」奏汰は笑いながら低い声で言った。「お兄さんは君の心配をしているだけだよ」玲は確かに見た目、女性には見えない。彼女が少しでも女性に見えれば、奏汰もここまで行動が遅くなることはなかったのだ。それで今になってようやく行動に移したのだが、玲を見てもやはり一つも心が動かなかった。どうしても自分は男を口説いているような気がしてならないのだ。玲が視線を向けると、二人の目が合った。奏汰はそれに微笑み返したが、玲は表情を暗くして目をそらし、遠くのほうを眺めた。奏汰がいつも姉のほうを見ているのに気づき、碧は奏汰をぽんぽんと軽く叩くと、からかうように言った。「結城社長、まさか周りの女の子たちみたいに、うちの兄を好きになったとかじゃないですよね?」そう言い終わると、彼の口はお菓子によって塞がれてしまった。玲は弟に怒鳴った。「この減らず口め、よくもまあ、ぺらぺらとしゃべるものだな」奏汰は笑って言った。「白山社長、そんなふうに弟さんに怒らないでください。正直言って、白山社長のようにここまでのイケメンなら、女の子だけじゃなく、俺みたいに、男だって、ちょっとクラッときてしまいますって」奏汰は玲をからかった。「白山社長、もし俺が男であるあなたを好きになったら、あなたのせいですからね、きちんと責任を取ってもらいますよ」さっきまた水を手に取り、ペットボトルの蓋を開けて一口飲んでいた碧は、奏汰の言葉を聞いて思わず水を噴き出してしまった。「ゲホッ、ゴホッ」吐き出しもしたし、水にむせてしまって、咳をし始めた。「ほら、また水を飲んで」奏汰はティッシュを取って碧に差し出すと、笑いながら彼にまた水を飲むように言った。碧は急いでまた水を飲んでようやく落ち着いた。碧は奏汰から渡されたティッシュを受け取り、奏汰に言った。「結城社長、俺を笑い死にさせる気ですか。俺を殺して、俺の恋人未満の女の子たちを一気に手に入れるつもりで?」この時、玲は暗い表情でこの二人を睨みつけていた。弟
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第1895話

碧は引き続き尋ねた。「結城社長、お嫁さん候補の女性の写真を見せてもらうことってできますか?」「それはできないよ。もし、碧君が彼女を気に入ったらどうする?まさか自分で恋のライバルを増やすような真似は普通しないだろ?」碧「……」「無事彼女と恋人になれて、結婚するって時は必ず結婚式に招待するから。その時に、彼女が一体誰なのかわかると思うよ」奏汰が玲と結婚すれば、碧は彼の義弟になるから、もちろん結婚式に彼を呼んで当然だ。奏汰にそう言われてしまっては、いくら碧が図々しくても、これ以上は写真を見せてほしいとは言えなかった。それでただ笑って言うしかなかった。「結城社長が結婚する時には、もちろんお祝いに行きますから。その時はグルームズメンとして参加して晴れの日の雰囲気を味わいたいです。毎日俺だけ一人家に帰っては、親から『お前は誰にももらってもらえない』とか言われないように、次結婚するのは俺の番になればいいんですけどね」奏汰は笑って、それには答えないでおいた。この将来義弟となる彼がグルームズメンとして式に参加するのは妥当かどうか、まず確かめておく必要がある。もし、相応しいと判断すれば、その時また返事をしよう。碧は将来、奏汰の唯一の義弟になる予定なのだから、そんな彼の顔を立ててあげなければならないだろう。「ちょっと失礼します」奏汰は水を飲み過ぎたようだ。奏汰がいなくなると、玲はぶつくさと文句を言った。「本当にずるい男だ。今になってもその嫁候補とやらが誰なのか一切教えるつもりがないらしい」碧のほうは全く意に介さず、果物を食べながら言った。「そのお相手がどの名家の令嬢でも、俺たちには関係ない話じゃん」彼はそこにあるお菓子を姉のほうへ寄せた。「彼がいないうちに、早くお菓子つまんどきなよ。普段、外じゃ甘い物を食べないようにしてるだろ」玲は淡々とした口調で言った。「ホテルはもう予約してある。もうすぐ昼食の時間なんだから、お菓子なんて食べてどうするんだよ。ずっと食べてなくても、恋しくなったりしないし」玲は甘い物は好きだ。しかし、男装する時間が長くなり、今では別に食べなくてもどうでもよくなっていた。「俺はお腹空いてんだよ。兄さんに呼び戻されたおかげで、何も食べてなかったんだからな」碧はまたお菓子を取って食べると、携帯を取り出して
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第1896話

玲は、奏汰が温泉を利用して、自分が女だと暴こうとしている気がしてならなかった。奏汰はずる賢い人間だと言いたくなる。もし、玲が温泉に入れば、女だとばれてしまう可能性は高い。男が温泉に入る時に下半身は隠しても、上半身を隠すわけにはいかないし、彼女は偽物の腹筋をつけているので、服を脱げば、ばれるに決まっている。それならいっそ、温泉に入らなければいい。それを奏汰がどう思おうが、それは彼の勝手だ。「白山社長、どうして入らないんですか?」奏汰と碧の二人はもう温泉に入っている。玲が服を脱ぎもせずに椅子に座っているだけなのを見て、奏汰は玲を呼んだ。玲はその場に座ったまま、表情ひとつ変えなかった。奏汰を見つめるその目には少しも恥ずかしさというものはなく、ただ弟よりも骨格的にしっかりしている奏汰の体を鑑賞していた。弟はどうも弱々しく見える。姉がそんなことを思っていると知れば、碧はきっと反論するだろう。奏汰に呼ばれると、玲は申し訳なさそうに言った。「最近ちょっと体が痒くなるんで、医者に見てもらったら炎症があるらしく、温泉には入れないんですよね」碧も姉のその言葉に合わせた。「兄さんはちょっと肌が弱くてアトピー持ちなんですよ。皮膚炎ってすぐには治らないものなんです。さっき食事する時、兄さんが海鮮系を食べてなかったのに気づきました?刺激になりやすいものを食べるともっと痒くなるから食べなかったんですよ」奏汰は言った。「それは申し訳ないことをしました。白山社長が皮膚が弱いだなんて知らなかったもので。知っていれば温泉に来ようだなんて誘いませんでしたよ。これじゃ白山社長が暇じゃないですか」「問題ありません。碧と一緒にゆっくり温泉を楽しんでください。俺は付近をぶらついていますから」そう言うと、玲はその場を去っていった。奏汰と弟がすぐに別の話題を話し始めて、かなり盛り上がっている声を聞いて、玲は安心した。この日は一日中、玲と碧は奏汰に付き合って、遅くなってから三人は白山邸へ戻ってきた。家に入ると、碧はまっすぐにソファに向かい、寝そべって声を出した。「母さん、ただいま」それに使用人が返事をした。「旦那様と奥様はお出かけになられて、まだお戻りになっていません。奥様から、もし結城社長もご一緒に帰ってきたのであれば、ここで一緒に食事をするよう
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第1897話

奏汰は言った。「もし男装の姿の彼女を口説いていたら、周りから俺は男が好きなんだって勘違いされるだろ。そうなったら、柏浜と星城の注目を俺が一人で引き受ける羽目になるじゃないか」それを聞いて辰巳は大笑いしていた。他人事だから楽しんでいるのだ。初め、結城おばあさんが目の不自由な女性を選んだことに、辰巳は不公平だと思っていた。しかし辰巳は咲と交流していくなかで徐々に彼女に惹かれていった。咲は一見弱そうに見えて、実は内に刃を秘めた強い女性だった。それで、辰巳はおばあさんから、やはり大事にされているのだと改めて感じている。みんなが咲は大した人間ではないと甘く見ている時に、彼女はその内なる強さを見せてくる。それで周りの彼女に対する見方を変えてしまうのだ。咲の目の治療が無事成功すれば、辰巳は自分の婚約者は自信をつけて、今よりもさらに素敵な女性になるだろうと思っていた。あの男装している男よりも男らしい白山玲と比べると、辰巳は祖母が奏汰よりも自分のほうを大事に思ってくれていると感じた。おばあさんが選んできた花嫁候補には、彼らはそれぞれ追い求めるのには苦労していた。それにすべてが揃った完璧な人間を選んだわけではない。唯花はどこか不自由なところがあるわけではないが、上流社会に生きる彼らにとっては、彼女は一般家庭出身者であるというデメリットがあった。将来、名家である結城家の女主人となる彼女は、かなりの時間をかけて学び成長していかなければならない。今猫の手も借りたいほど忙しく走り回っている彼女を見れば、それは一目瞭然だ。そして唯花が仕事のために、いつも自分をほったらかしにすると理仁は文句を言い始めた。彼はまるで口うるさい姑のようだ。咲は家柄は申し分ないが、目が不自由な点で苦労するところがあり、玲のほうは優れた人間だが、二十年以上も男装をしているので、奏汰が彼女を落とすにはかなり困難な道だ。「辰巳兄さん!」辰巳が他人事のように適当に笑っているのを聞いて、奏汰は不機嫌になり、思わず低く唸った。「電話切ってから俺に聞こえないように、そうやって笑えばいいじゃないか。ほんっとムカつくな」「わざとだよ。お前の知らないところでこんなふうに笑ったって面白くないだろ。何度も言うけど、誰がいつまでもダラダラと行動に移さなかったんだ?カレンダーでも見てみろ
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第1898話

「陽ちゃん、寝ちゃった?」「お風呂中に寝てしまったよ。一日あれほど遊び回って、昼も休んでないから眠くならないほうがおかしいな。今寝たら明日の昼まで起きないだろう」理仁は陽をベッドに横たわらせ、陽の服をとって慎重に彼に服を着せてやった。そしてタオルで頭を拭いてあげた。陽の髪は短いので、タオルで何回か拭いているうちに乾いてしまった。そして理仁は陽を抱き上げて、ベッドの端のほうへ移動させると、ブランケットをかけてあげた。「奏汰が何だって?」陽の世話を終えると、理仁は唯花のほうへ近寄って尋ねた。唯花はすぐには彼に答えず、電話の向こうにいる奏汰に話していた。「奏汰さんは玲さんが男だとか女だとかにこだわっているけど、奏汰さんに悪いことはしないでしょう。普通に彼女を口説いてみたらいいと思いますよ」奏汰は言った。「……唯花さん、辰巳兄さんと同じこと言ってますね」唯花は笑った。「それはそうよ、だってこれが一番手っ取り早い方法なんですから。奏汰さんはずっと玲さんが女だということをあばくことに気をとられているけど、それなら直接彼女の心を攻略したほうが早いでしょ。彼女は小さい頃から男装していて、もう二十年以上も経ってるのに、一日や二日ですぐに彼女のボロを見つけて暴けると思います?そんな簡単に女性だって誰かにばれちゃうなら、二十年以上も男装で周りを騙せるかしら?この間、明凛の結婚式の時に、彼女のことはちらりと見たけど、彼女の振舞いの一つ一つが、普通の男性と変わらなかった。それに喉ぼとけまでバレないようにちゃんと作ってるし、わざと声を低くしてしゃべっていたから、全くボロなんて出してませんでしたよ。白山グループの社員さんたちだって、毎日彼女と一緒に仕事をしているのに、誰も女性だって気づいていないでしょ?奏汰さんがまずは彼女が女だってことを暴いてから、口説こうと思ってるなら、きっと今年残りの時間じゃ足りないですよ。おばあちゃんから言われたタイムリミットまでもう時間が少ないんじゃないですか?」唯花は奏汰は最初やり方を間違えていると思っていた。奏汰はひたすら玲が女性だという事実を暴いてから、口説く作戦を考えていた。玲は男装歴二十数年の経歴で、その振舞いは完全に男性そのものだ。奏汰が短期間で彼女が女性だと暴くことは不可能に近い。奏汰は言った。「
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第1899話

唯花と辰巳の二人から同じように直接玲を口説く作戦でいけと言われた奏汰は、さっそく明日から行動に移すことに決めた。 周りから男が好きなのかと疑われてゴシップニュースになったとしても、事実はそうではないとわかっているだけでいいではないか。おばあさんから陥れられるようなことがない限り、別に他は気にしなくていい。そもそも、実の孫が損をするようなことを結城おばあさんがするわけもない。この日、夜は静かに過ぎていった。翌日の朝早く、理仁は星城に帰った。唯花と結城おばあさんは音濱岳邸にあと二、三日滞在してから戻る予定だ。この時、依茉はすでに退院して、自宅で産後の休みをとっていた。陽は音濱岳邸には多くの子供がいるので気に入っていた。自分よりも小さく、話すことはできずにただ泣くばかりだとしても、陽はここにいるのが好きだった。毎日、瀧と一緒に依茉のところに生まれたばかりの赤ちゃんに会いに駆けていった。陽は唯花に赤ちゃんを生んでほしいとせがんだ。瀧には従弟三人に、弟と妹がいるが、陽は欲張らずにいとこの弟と妹がいればいいと言うのだ。唯花は陽からうるさくせがまれるのにどうしたらいいかわからなくなり、姉に電話をかけた。そして、携帯を陽の手に握らせて、彼に言った。「弟と妹が欲しいんだったら、お母さんに直接言うのよ」陽はその携帯を持ったまま唯月に尋ねた。「ママ、ぼく弟と妹がほしい。いつになったら生んでくれるの?ぼく、よくばったりしないよ、弟と妹一人ずついたらいいんだ」唯月は言った。「……お母さんはもうあなたを生んだから、弟と妹はもう生むつもりないのよ」「なんで?」陽は理解できなかった。「りょう君のママは弟と妹をうんだんだよ。どうしてママはうめないの?」唯月はそれに説明した。「お母さんはもう生みたくないの。あなた一人で十分だからね。もう一人生みたいとは思わ
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第1900話

陽は、自分が弟や妹がほしいと思えば、母親と叔母がその願いを叶えてくれると思っていた。唯月も電話の向こうでおかしくなって笑っていた。「それで弟と妹がほしいだなんて言い始めたのね。今までこんなこと言われたことなかったから、おかしいと思えば、なるほど瀧君と喧嘩したわけか。大丈夫、少ししたら落ち着くから。二人は年もそう変わらないし、ちょうどいい遊び相手でしょ。たまにおもちゃを取り合ったりして喧嘩しても、すぐに仲直りするから。子供ってみんなこうだもの」唯花が姉と話している時、瀧が水鉄砲を二つ持って入ってきた。「ひなた君」瀧は陽の名前を呼びながらやって来た。「ひなた君、一緒にみずでっぽうで遊ぼうよ。たくさんあるから、一つ貸してあげるね」「いいよ」さっきまで不満そうにしていた陽は、瀧から水鉄砲で遊ぼうと言われると、すぐ機嫌を戻して小走りで瀧のほうへ走っていった。それから小さな二人はベビーシッターに見守られる中、外に出て水鉄砲で遊び始めた。「お姉ちゃん、もう大丈夫。あの二人また一緒に遊びに行っちゃった」「ええ、ところであなた達、いつ帰ってくるの?」「あと二日したら帰るよ。陽ちゃんは帰りたくないみたいだけどね。まだ瀧君と遊びたいから、幼稚園には行きたくないんだって」唯月はおかしくなって言った。「楽しくなって私のことなんてどうでもうよくなってるわね、母親に会えなくてもいいんだわ。それに幼稚園に行きたくないだなんて。あと二日遊んだら帰っておいで、陽には幼稚園に通い始める心の準備をさせなくっちゃ。大泣きされたらたまったものじゃないもの」「うん、わかった。お姉ちゃん、あの人はまだ目を覚まさないの?」唯花は姉の元夫の状況について尋ねた。「まだよ、私さっき病院から戻ってきたばかりなの。英子さんの様子を見に行ったけど、そこまで怪我はひどくないみたいで、すぐに退院できるらしいわ」唯月も毎日病院に通っているわけではない。彼女はもう佐々木家の嫁ではないが、息子のことがあるので、元義父母や義姉に会いに行っているのだ。俊介はまだICUに入っている。佐々木家の誰もが俊介のことを諦めようとしなかった。医者も俊介が目を覚ますかどうかは判断できない状況だった。家族が諦めたくないと言うから、俊介は引き続きICUに入っていて、奇跡が起こるのを待
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