奏汰は笑って言った。「俺もまだ白山社長に良い人を紹介できていませんからね、お礼なんて必要ありませんよ」彼は玲のほうを向いて、からかうように言った。「白山社長も頑張らないといけませんね。ご結婚なさる時には、必ず結婚式に参列します」玲は顔色ひとつ変えずに言った。「もしそのような日が来るなら、必ず結城社長を招待します」彼女は一生結婚しないと決めている。朝食を済ませると、弥和はさっき使用人に頼んで用意させていた二人分の食べ物や飲み物を全て包んで持ってこさせた。奏汰が自分の娘と結婚する確率はほぼゼロに近いが、弥和はやはり娘と奏汰を乗馬に行かせようと思った。玲はどうしようもなくなり言った。「母さん、俺は別に一日中家にいるわけじゃないぞ。一週間に一日しか休めないんだからな」ある時は、週末にパーティーや会食に参加しないといけないので、彼女は一日すら休めない時もある。一族の跡取りになるのも大変な仕事だ。今、白山グループのトップは会長である茂だが、彼は会社のことは何も管理しておらず、内部の細かな事業や管理は全て玲と碧の二人に任していると誰もが知っている。「言ったでしょ、土曜日の仕事は碧に任せてあなたは週に二日休みなさいって。ほら、徹夜のしすぎで肌の調子が良くないわよ。お母さんが買ってあげたスキンケアを面倒臭がらずにちゃんと使いなさいね。あなたは元が良いけど、ある程度の年齢になってスキンケアをきちんとしてなかったら、一気に老けるわよ」後ろのほうのセリフは奏汰に聞こえないように弥和はかなり小さな声で話していた。玲はそんなことなどどうでもいい様子で言った。「わかってるよ」彼女はスキンケアを続けるのが苦手なタイプだ。毎日起きると適当に顔を洗い歯を磨いて、朝食を済ませ、会社の朝のミーティングに出かけていく。「ただいま」玲が奏汰を連れて出かけようとしたところに、碧が急いだ様子で家に帰ってきた。碧は姉と奏汰が出かけようとしているのを見て、少し驚き、すぐに姉を端の方へ引っ張っていって声を抑えて尋ねた。「兄さん、何やってんの?今から遊びに出かけるとこ?それなのに、どうして俺を呼び戻したんだよ。さっき、友達と今日はヨットで海に出るところで、埠頭にもう着いてたのに呼び戻されたんだぞ、俺」「うるさい、俺たちと一緒に牧場に行って乗馬するぞ」
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