Semua Bab 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Bab 2601 - Bab 2610

2636 Bab

第2601話

大和は笑って言った。「負けは負けだ。言い訳なんてする気はない。お前らは負けて悔しいって?ずっと賭けには勝ってきたんだから、たまには負けを味わってみるといい。賭け事はいつだって勝ち負けがあるもんだ。負けて納得できないってんなら、今後は一切しないこった」勇飛「……」小夏は端の方へ行き、座ってお金を数え、合計金額から半分を寛太に渡して笑った。「木下君、これがあなたの分よ」寛太はお金を受け取るとすぐにそれを半分にして、小夏に返し言った。「小夏姉さん、僕は二千円しか賭けてないから、半分もらうには多すぎます。これだけでも半年夜食を買うのに十分足りるんで」「あなたにあげたんだから、そのまま受け取っておいて貯金したらいいじゃない。新しいお母さんには知られないようにね」寛太は小さい頃に両親が離婚し、彼は父親に引き取られた。父親はもともと寡黙な人で、離婚してからさらに口数が少なくなり、寛太にはまったく関心を向けない。それで彼は祖父母に育てられた。そして父親が再婚し、初婚のある程度年のいった女性と結婚した。寛太は学校に通うために父親のもとに戻ってきたが、その継母がひどい人間で、寛太はよく叩かれるなどつらい日々を送っていた。彼は反抗したかったが、まだ子供で反抗しても意味はなかった。そして反抗するとさらにひどく叩かれてしまう。父親はお金を稼ぐのに仕事が忙しく、よく出張していて、息子に対する関心はほとんどなかった。それで、息子が新しい母親からいじめられていることを知らなかった。寛太のおばが、甥が可哀想で継母に直接注意したことがある。しかし、父親はよく出張で家をあけているものだから、その間継母は以前よりも厳しくなってしまった。それを知ったおばが、自分でお金を出して寛太に道場に入門させて、体を鍛えて強くさせようと思った。それに技を習得して戦う術を身につければ。継母にいじめられることもなくなるはずだ。そしてそれから六年、今継母は寛太に手を出せなくなっている。手は出せないから金銭的に彼を苦しめるようになった。彼のお小遣いは、異母兄弟よりも少ない。そのため彼は普段からあまりお金を使わないようにかなり節約して生活している。さっき賭けに出した二千円は、父親が出張から戻ってきてくれた小遣いで、夜お腹が空いた時に何か買えといって渡してくれたものだ。
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第2602話

「じゃあ、遠慮なく受け取っておきますよ」小夏はそのお金を財布に戻すと、携帯を取り出してみんなに夜食を奢ろうと、ネットでいろいろと注文した。「もう少ししたらうちに帰って何か食べましょうか」小夏の言葉に弦は笑って言った。「私は夜、あまり夜食を食べないんです」「じゃあ、弦さんの分はいらないんですね。私はほぼ毎日食べてますよ。きっと昼間の運動量が多いからでしょうね。夜何も食べないとお腹が空いて眠れなくて。でも、いつもはだいたい家に帰って食べてます。お母さんが私たちのために作ってくれてるんです」小夏はみんなの分を道場に送るように注文を終えてから立ち上がり、弦に言った。「私たちは帰りましょう。みんなの稽古の邪魔をしたらいけないから」弦がさっき大和と試合をして勝ったので、この時道場生たちはまだ驚いて呆然としていた。目の前で起こった事が夢ではないかと疑っていた。「わかりました」弦は小夏について歩き、小夏は二人の兄に言った。「お兄ちゃんたち、弦さんとちょっと出てくるから、二人は家で私たちのことを待っていなくていいからね」大和が返事をした。「おう、弦さん連れて必要なもん買いにショッピングしておいで」小夏は頷き、弦を連れて道場を出た。道場を出た瞬間、小夏は崇拝するような眼差しで弦を見て尋ねた。「弦さん、一体誰に武術を教わったんですか?とても複雑な技とか動きでしたけど、どれも、かちっと完璧でした。少なくても二十年以上は稽古されたんでしょ?」小夏に憧れの眼差しで見つめられ、弦は自分が大和に勝つ選択をしたのは正しかったと確信した。やはり小夏は強い人を尊敬している。「ええ、二十数年は学んでいます。師匠はたくさんいますよ。みんな父が私に選んでつけてくれた先生です。いつも父からきちんと学び、身につけなければ、家に帰って来るのは許さん、と言われていて、必死になって学びました。だから、どの先生も私が彼らの教え子の中で一番強い生徒だったんです」小夏は言った。「……そうだったんですね」「私がお兄さんに勝って、びっくりしました?」「ええ、少し意外でした」「実際、勝てたのは偶然です。私が小夏さんを勝たせようと思って必死になっていたら、お兄さんが半分くらいの力しか出さなかったんです」小夏は笑った。「そんな気を使
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第2603話

弦は笑った。 「小夏さん、そんなふうに思ってもらえるなんて、調子に乗ってしまいますよ。ははは」「調子に乗れるくらい実力があるんです」リリリリ……この時、小夏の電話が鳴った。彼女は携帯を取り出して母親からの電話だとわかると、弦に言った。 「今お母さんが電話してきたってことは、きっと明日のお見合いはキャンセルになったっていう話です」小夏が電話に出ると、やはり忍の怒りに燃える声が聞こえてきた。「安川さんが紹介してきたあの男、どこが優秀な男よ。まったく自分ってものを持ってないわ。他人が言った言葉をそのまま鵜呑みにしちゃってさ。私も相手が太くて豚みたいだからって嫌ってないってのに、あっちは私の娘を暴力女だなんて言ってきたのよ!それはあっちのほうでしょ。あの男の家庭こそ狂ってるわ!うちの娘があちらの息子とじゃないと、結婚できないとでも思ってんの?この世にあの豚みたいな男しか残ってないっていうわけ?ああ、ったく、本当に腹が立つわ!小夏、あんた頑張りなさいよ。自分で若くてカッコいい、能力もあるハイスぺックな彼氏を連れてきなさい!あちらに大恥かかせてやろうじゃないの!」「ちょっと、お母さんったら落ち着いてよ。こうなることは最初からわかってたでしょ。私はもう期待なんてしてなかったよ。それに、私はまだ二十四なんだし、焦らなくていいんだってば。数年後に、お母さんが気に入る正真正銘のハイスぺ彼氏を連れてきて、あいつらにぎゃふんと言わせてやろうじゃないの」お見合い相手から拒否されたのは一度や二度ではないので、小夏はすでに慣れていた。知り合いにも何回も男性を紹介してもらい、いつも白紙になってしまうので、周りもだんだん紹介してくれなくなってきた。小夏は若くて綺麗だし、文武両道、さらには家庭も良い。ただ、小さい頃から武術を習い、身につけているものだから、お見合い相手は怯えてしまうのだ。忍は誰かがわざとお見合い相手の前で小夏の悪口を言っているのではないかと疑っていた。小夏が以前学校では喧嘩王で、一発拳をお見舞いされただけで、男たちはやられてしまうと。「あなたは口では何度も聞こえの良いことを言うけどね、一度も彼氏を連れて帰ってきたことがないでしょ。ああ、これもお父さんのせいよ。娘は一人しかいないんだから、素敵なお嬢さんに育てないとって口を酸っぱ
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第2604話

弦は笑った。「それもそうですね。結婚は適当に相手を探してはいけませんからね。おば様がいつも小夏さんたち子供の人生のことを心配しているから、何か私にもできればと思って」今弦は、小夏には自分の存在をじわじわと慣れさせて、好きにさせるように辛抱強く向き合っていかないと、彼女が恋に落ちることはないと確信した。日常の細かな事から、少しずつ彼女の世界に溶け込み、彼女には自分の存在が当たり前になるように変えていかなければならない。彼と離れることができないと思わせてやっと、それが恋という気持ちだと気付かせることができるだろう。どのみち弦は結婚相手に小夏を決めたのだ。ゆっくり時間をかければいい。焦っても意味がない。「小夏さん、実は私はある病気のようなものを抱えているんです」小夏は驚き、すぐに心配そうに尋ねた。「どんな病気なんですか?全然そんなふうには見えませんけど。誰よりも健康そうなのに」「パーソナリティ障害というんです」「パーソナリティ障害?初めて聞きました」弦は詳しくどういうことなのか彼女に説明した。小夏は言った。「……、つまり異性に関心が持てないってことは、結婚も難しいってことですね。それで弦さんがこんなに素敵な方なのに、ずっと彼女がいなかったわけだ」弦の特殊な状況を知り、小夏はさらに彼のことを気兼ねなく付き合える男友達のように感じた。しかしこの時、彼女はすでに弦が掘った深い深い穴にすでに足を踏み入れてしまったことに気付いていなかった。その罠にはめられたことに、いつか気付いても、時すでに遅しだ。……星城は曇りや雨の日々が続いていた。それに伴い風も強く吹いている。今はもうみんな秋物の服に衣替えし、さらに薄手のコートも必要になってきた。少し前まで暑い日が続いていて、一気に気温が下がったことで、みんな一気に天気が変わったと思っていた。咲は夜中に寒さで目を覚まし、本能的に隣にいる男の懐に抱きついた。うとうとしていた辰巳は何かが自分の胸に入り込んできたのに気づき、反射的にそれを押しのけようとしたが、咲に触れた瞬間すぐに頭が冴えた。目を開けて妻になったばかりの咲が自分の胸元に抱きついているのを見て、彼はクスッと笑った。彼は咲と入籍して夫婦になったことにまだ現実味がないのだ。かなり前から咲と甘い夜を過
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第2605話

辰巳はびくびくしながら咲をなだめようとした。「咲、もう少し寝てて。少ししたら下で朝食の用意をしてくるからさ。できたら起こすから食べてまたちょっと寝たらいいよ」咲は辰巳を睨んだ。「流星が帰ってきたわ。今日は一緒にあの二人の面会に行くんだから」「それは流星君の事なんだから、君が行く行かないは関係ないよ。家でもう少し寝ていよう。今夜はもうしない、一日休ませてあげるからさ」そう言いながら、辰巳は恥ずかしがることもなく笑って言った。「俺ももう三十で、やっと結婚できたんだ。だからめっちゃ嬉しくて、つい、激しくなっちゃったんだよ」それに昨夜は開始してすぐにクライマックスを迎えたものだから、自分にはもしかして問題があるのではないかと、辰巳は鬱々としてしまった。咲は彼を落ち着かせようと思って、一緒に病院に検査に行こうかと言った。しかしそのなぐさめの言葉が逆に彼をさらに憂鬱にさせてしまった。自分は背が高いイケメンで、若くして能力があるというのに、結果ソッチ方面に問題があるとは……彼は隠れて泣きたいほどに気落ちしてしまった。辰巳はとても咲のことを愛し、二人がやっと結婚するまでに至ったというのに、その結果が……咲がシャワーを浴びている間に、辰巳はこっそりと理仁に電話をかけた。自分は病気だから、泌尿科クリニックに行かないといけない、時間を作って一緒に行ってもらえないかと尋ねた。理仁はそれお聞いて驚き、一体何の病気なのか尋ねた。辰巳は自分の状況を理仁に伝えると、電話の向こうはしんと静まり返った。そして理仁はひとことも言わずに、電話を切ってしまった。そしてすぐに、理仁が長ったらしいメッセージを送ってきた。それを見てから辰巳はどういうことなのかわかった。そしてシャワーを浴びて出てきたばかりの咲ともう一度試してみた。やればやるほどはまってしまい、抜け出せなくなる。咲はまた彼に蹴りを入れたが、力は強くなかった。「お風呂」「わかったよ、今すぐお湯をためるから」辰巳は咲の唇にキスをして、サッと床に滑りおりると、上機嫌で浴室に向かった。嬉しそうに飛び跳ねながら歩く姿を見て、咲はぶつくさと文句を呟いた。 「男がベッドの上でする話は、一切信じられないわ!」まるで飢えた狼だ!心の中で何百回と辰巳は狼野郎だと罵る
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第2606話

「流星君はもう成人した大人だから、何でも勇気を出して向かい合わないと。それに、君が責任を負うべきことにもね。俺は君とお姉さんが心を一つにして協力していることは知ってる。だけど、お姉さんは一度だって君から利益を得ようなんて考えたことはないだろう。安心して、君のものは永遠に君のものだから。自分の物じゃないならもう一人のお姉さんみたいに余計な考えを持たないことだよ」流星は頷いた。「辰巳さん、わかっています。俺と咲姉さんはただ柴尾家の財産を守りたいだけです。鈴姉さんはもう弁護士を探して姉さんと裁判で争うつもりみたいです」これが今回、彼が大学に休暇をとって帰ってきた理由だった。流星が咲のほうに立っていれば、たとえ鈴が裁判で勝ったとしても、彼女に分与される財産は多くはないはずだ。それに両親がまた生きているのに、鈴が裁判で柴尾家の財産を争おうとするとはどういうつもりなのだ?両親が流星の説得を受け入れ、柴尾家の財産を彼に譲渡してしまえば、鈴が裁判を起こしてどうやって争うというのだ?咲の父親の財産を除いて、残りは流星の両親のものだ。その両親も八、九十歳の年寄りではない。彼らはまだ五十過ぎで若いし、ぼけてもいない。両親が財産を誰に譲渡しようと、鈴が怒ったところで意味はない。たとえ彼や両親と縁をさっぱりと切ろうとも、状況を変えることはできない。もちろん、その点に関して、流星は鈴に教えるつもりはない。鈴には一人で騒がせておけばいい、結局は何をしたところで結果は出ないのだから。「ジョギングしてきたんだろう?上でシャワーして、着替えて出てきた時には朝食ができてる頃だよ。今から作るけど、何が食べたい?」「俺は好き嫌いないです。辰巳さんが作ったものなら何だって食べますよ。だって、辰巳さんの料理は適当に作ったものだって、めっちゃ美味しいですからね」辰巳は笑った。「じゃ、適当に作るよ。後で下におりてきて。お姉さんは疲れてるからもう少し寝かせてあげたいんで、起こさないようにね」「姉さん、昨日は仕事に行ってなかったですよね?」流星は疑問に思って尋ねた。「それなのにどうして疲れてるんですか?薬の副作用か何かでしょうか?」流星は姉はもう目が見えるようになったが、毎日引き続き薬を飲まなければならないことは知っていた。薬を摂取しすぎて、副作用が出
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第2607話

柴尾家の裏庭に繋がれている四匹の犬は夜リードが外されて自由に行動できる。今はまだ朝早く、犬たちを世話する使用人はまだ裏庭に繋いでいなかった。鈴が大声で叫ぶのを聞き、四匹が裏庭から駆けてきた。そして直接屋敷の門まで走ってきた。鈴は門を取り壊したくてたまらなかった。あの四匹の犬が自分に向かって走ってきた時、驚いて後ろに下がり続け、恐怖に溢れた顔で声を出せなくなった。どうやら、鈴はこの間この犬たちにかなり驚かされたらしい。彼女はがぶりと噛まれてしまったのだからそれもそうだろう。今、この四匹の犬にはトラウマを持ってしまっている。執事が病院代を渡したが、噛まれた箇所は今でもズキズキと少し痛む。それに、あの時犬に追いかけられて噛まれた記憶が残り、夜よくそれを悪夢で見るのだ。そして心の中で、鈴は咲のことを非常に憎んだ。以前、鈴は犬を放って、咲を噛ませたことはなかった。それに、以前咲をいじめはしていたものの、本当に自分が得をしたのは何度あっただろうか?咲はいつも声をあげず、簡単にいじめられそうな弱い様子をしているが、実際は狡猾な狐と同じ。毎回咲にしてやられた時には母親に訴えていた。母親は鈴の味方をしていて、彼女のために鬱憤を晴らしてやろうとするが、叱られた。あんな目の見えない女もいじめられないのかと怒られたのだ。「流星?あんたいつ帰ってきたの?」弟の姿を見て、鈴はまた門に数歩近づいたが、門の前まで来る勇気はなかった。あの犬たちが門に近寄ってきて噛まれるんじゃないかと思ったのだ。「流星、早く、誰かにそこにいる畜生たちを連れていかせてよ。そいつらを見ると足が震えるの。知らないでしょうけど、私はね、あの陰険なめくらのせいで犬に噛まれたのよ。流星、お姉ちゃんに代わって憂さ晴らししてよ!」流星は犬たちに命令して言うことを聞かせようと思ったが、彼は普段この家で生活していないので、犬は一匹として彼の言うことなど聞かなかった。逆に彼を取り囲んでこないだけで良いほうだ。やはり使用人が犬が吠えるのを聞いて、急いで出てきた。そして目の前の状況を見ると、小走りで門までやってきた。「坊ちゃま、大丈夫でしたか?」使用人は申し訳なさそうに言った。「さっきしっかりと見ていなくて、四匹ともみんなこちらに走ってきてしまいました。今すぐ裏庭に繋いで
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第2608話

「私が喜んでここに来たいとても思っているの?違うわ、ここは私たちの家でしょうが。流星、この家はね、私たちのものよ。あのめくら、私が刑務所に入っているうちに、お父さんたちまで刑務所に入れたのよ。私たちの家の財産を奪っていったわ。私が出てきてからは、あいつ、結城家の力を借りて、私を追い出して、家に入れようとしないのよ。以前働いてた使用人たちはほぼ全員変わってしまったわ。前からいる人だって、昔咲をいじめたことがない奴らばっか」鈴は弟に訴えた。「私が朝早くにここへ来て叫んでるって思ってるでしょうけど、あのめくらが私の電話にも出ないし、メールに返事もしないからよ。昨日の夜はホントに頭に来ちゃって、やっと明るくなったから、あいつに文句を言いに来て当然でしょ。あいつ、まだ起きてないわけ?」鈴は弟が門を開けた後、中に歩いていった。それでもがつがつと家に急いで向かうことはなく、数歩進んで立ち止まり、小声で流星に尋ねた。流星は答えた。「咲姉さんならまだ起きてないよ。義兄さんは起きて中で朝食を作ってる。鈴姉さん、もうそんなふうに『めくら』だなんて呼ぶのはやめなよ。彼女は俺たちの姉さんなんだぞ」「あいつを姉だと思ってるみたいだけど、あの女は私たちの家の財産を独り占めしてるじゃないの」鈴は今辰巳が家の中で朝食を作っている最中だと聞き、家に入ろうとしなかった。彼女は偉そうな態度でいるが、結城辰巳の名前を聞いた瞬間にビクビクと怯えだした。鈴は以前、咲から辰巳を奪おうと計画し、彼を誘惑しようとしたことがあるのを忘れていた。「流星、私たち東屋のほうに行って話しましょ。私は家には入らないわ。あのめくら、運が良いわよね。一体どうやってあの結城辰巳を誘惑して好きにさせたことやら。彼ってあの女にはとっても良くしてやるのに、私たちには薄情だわ。私はちょっとあの人たちが怖いの。流星、私とあなたは同じ両親から生まれた正真正銘の姉弟よ。こんな時には、私たち姉弟が心を一つにして協力して、お父さんとお母さんが残してくれた財産を守らなくっちゃ。絶対にあの咲って女に奪われてはいけないわ」鈴は弟の手を引っ張って、そう遠くないところにある東屋に行き座った。「流星、私急いで来たからまだ朝ごはんを食べてないの。ちょっと家からお菓子と果物を持ってきて私にちょうだい。それから、あ
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第2609話

「多めにちょうだいね」鈴が言った。「今ぜんっぜんお金がないから、ご飯もまともに食べられないの」流星は言った。「姉さん、仕事を探したらどう?これならやってみてもいいって思える仕事なら、なんだっていいから、ちゃんと仕事をする気があるなら、たとえバイトでもまともに生活できるよ」鈴は不機嫌そうな顔をして言った。「私にどんな仕事をしろっていうの?私は堂々たる柴尾家のご令嬢なのよ、どうして仕事なんか探さないといけないわけ?以前だって、お父さんもお母さんも仕事に行かせようとしなかったわ。私は生粋のお嬢様なんだから、その人生を楽しめばいいって言ってたもの。咲が私の銀行口座を凍結さえしてなければ、お金に困ることなんてなかったのよ?それなのに、弟から教育されるってわけ?」流星も不機嫌そうな顔をして言った。「姉さん、俺はそんなつもりじゃないよ。ただ、今の俺たちは昔とは違うってことを言いたいだけ。自分で努力してお金稼いで生きていかなきゃ。もし姉さん自身に能力があるなら、別に口座を凍結されたって、困ることはないはずだよ。何も能力がないから、カードが使えなくなって、いろいろと困ってるんじゃないか」「わかった、わかったから、さっさとお金を持ってきてよ。あんたがあのめくらに味方してるのはわかってる。あいつとあんたはただお母さんが同じなだけなのにさ、私とあんたこそ同じ両親から生まれた本当の姉弟なのに。一体あのクソ女から何をふきこまれたのか知らないけど、こんなにあいつを信頼しちゃってさ。あいつは私たちの財産を独り占めして私たちの生活を苦しめているのに、なんであんたはあっち側に立ってるのよ。本当にバカなんだから。あ、あいつはあんたの口座は凍結してないから、あんたには甘いってことね?言っとくけど、あんたはまんまとあいつにおだてられてるだけだから。最後にあいつに私たちの財産を完全に奪われたら、あんたなんてすぐに捨てられるよ。その時は泣きついたってしょうがないからね」鈴は、同じ両親から生まれたのに、どうして弟が異父姉弟の咲を味方するのか理解できなかった。「咲姉さんは絶対にそんな人じゃないよ」流星は頭に来て言った。「姉さんがこれ以上咲姉さんのことを疑うってんなら、金はあげない。飢え死にしたくなかったら、自分で仕事を見つけて生きていくことだね」
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第2610話

今、柴尾グループは咲が管理しているので、流星が何にいくら使ったかは、咲はおおかた把握しているはずだ。もし突然、大きな金額が動けば、姉はきっと自分に尋ねてくるだろうと流星は思った。もし、自分が鈴にかなりの金額を振り込んだとわかっても、何も文句は言われないかもしれないが、おそらく咲をかなり失望させてしまうだろう。それに、彼が鈴に多くのお金をあげてしまえば、鈴はきっと節約などせず、自己成長もしないだろう。自分で仕事を探そうとせず、ただ彼に寄生するようになるかもしれない。流星はわざわざ大学に休暇を申請して、刑務所にいる両親に面会に行くつもりだ。そして両親には彼らの全ての財産を彼に譲渡してもらい、その中から鈴に生活費を渡すことで、柴尾家の財産を食い尽くされないようにする計画じゃないか?そう考えた後、流星はその二万円の現金だけを鈴に渡すことに決めた。彼は素早く着替え、現金をズボンのポケットに押し込んで部屋を出た。数歩歩くと、咲がそう遠くないところで立って、静かに自分を見つめているのに気がついた。まるでどろぼうにでもなかったかのような気分で、流星は姉を見た瞬間、驚いてしまった。彼は無意識にズボンのポケットを押さえてから、すぐに手を放した。その自分の動作が逆にわざとらしくてばれてしまいそうだと思ったのだ。「姉さん、おはよう」流星は無理に自分を落ち着かせて、咲のほうへ歩いていくと、笑顔で朝の挨拶をした。咲は穏やかに彼に返事をした。「おはよう、ジョギングに行って帰ってきたの?」「そうだよ、さっきジョギングから帰ってきたところ。姉さん、もう起きるの?辰巳さんが、姉さんは疲れているからもう少し寝かせてあげたいって言ってたけど」咲は言った。「そうね、もうちょっと寝たいんだけど、眠れないからいっそ起きることにしたの。もう顔洗った?下に朝ごはんを食べに行きましょう。美味しそうな匂いがするけど、彼は今日何を作ってくれたのかしら」そう言うと、咲は一階におりようとした。流星は少し戸惑ってから、その後に続いた。しかし、二人が階段をおりているところで、鈴の悲痛な叫び声が聞こえてきた。するとすぐに辰巳が怒鳴る声も聞こえた。「うせろ!」咲と流星は思わず足を止めて、互いに見つめ合っていると、すぐに鈴がふらつきながらキッチンから飛び出
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