小夏も弦に対して、まるで兄弟のように仲の良い友達だと思っている。だから、弦が前回花京院家を訪れた時に、家族全員から小夏の婿候補から外されてしまった。忍は声を詰まらせ、携帯を娘から取り戻し言った。「明日になってから決めましょう。もし、安川さんからキャンセルの電話がかかってこなかったら、行ったらいいわ。どうせ、うちの道場からはそう遠くないんだから」「明日出勤する時に、ワンピースとヒールの靴を持っていって。キャンセルじゃなかったら、それに着替えて行ってきなさい。そのほうが女の子らしく見えるから。いつもみたいに女のボディーガードみたいな格好をしないのよ。あんな姿を見たら、相手からあなたと目が合った瞬間パンチが飛んでくるって勘違いされちゃう」「お母さん、今もう空気も冷たくなってきたし、スカートなんて着て、風邪でも引いたらどうするのよ」小夏はちらりと弦の酒のグラスを見て、少し飲みたくなった。「誰が夏用のスカートだって言ったのよ。冬に着る厚手のでいいんだから」「お母さんったら、私のクローゼットのどこにスカートがあるのよ。大人になってから全然スカートなんてはいてないもん」鍛錬に不便だから、小夏はスカートが嫌いだった。「それにヒールの靴だって履けないよ。あんな靴じゃ歩けないわ。それに誰かと揉めた時に、ヒールの靴じゃ闘えないでしょ」弦は笑ってその話に続いた。「闘えますよ。ヒールの靴で蹴りを入れれば、相手に激痛を与えられます。相手が逃げたら、ヒールを相手に向かって思いっ切り投げつければ、また攻撃できるんですから」彼がそう言うと、花京院家の全員が彼に視線を向けた。弦はその瞬間気まずくなった。「ああ、えっと、テレビでそういうシーンを見たことがあって。おば様、別に小夏さんに喧嘩の方法を教えようと思ったわけでは……」「弦さん、妹から実はあなたもかなり強いと聞きましたよ。弦さんってば、この間はそれを隠して、父さんの弟子になりたいと言ったとか。食事が終わったら、ちょっと道場で手合わせしませんか?どれくらいの強さなのか知りたくって」と、大和が言った。弦は遠慮気味に言った。 「いえ、私は少しかじった程度ですから、強くなんてありません。自分の中ではこんなの素人の、ただの真似事くらいにしか思っていないので、この間は言わなかっただけで
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