「詩乃伯母さん……」唯月は何か言おうとしたが、詩乃は手をあげて彼女を止めた。詩乃は冷たい視線で莉奈を睨んだ。莉奈は気まずそうに口を開いた。「か、神崎さん」詩乃は娘に振り向いて言った。「姫華、うちのボディーガードに連絡して、ガレージに止めてある高級車全部ここに出してきて、唯月さんに試乗させてあげて。何千万円以上の高級車ならどんなブランドのもあるわ」「神崎さん、これは誤解、誤解ですよ」俊介は慌てて仲介に入った。「神崎さん、俺たちはもうここで服を買いません、今すぐ離れます」俊介は最近仕事がうまくいっていなくて、詩乃と正面衝突する勇気などなかった。彼は莉奈の持っている服を取り店員に渡すと、慌てて莉奈の手を引っ張って、惨めに逃げだしていった。莉奈は詩乃の前では何もできないが、店を出ると、俊介の手を振り払い、速足で先に歩きながら、俊介に怒りをぶちまけた。「あなたってただのお飾りなの?私があの姉妹にいじめられるのをただ見ていて、なんで何も言ってくれなかったわけ!息子ばかり構っていてさ、そんなに大事だったら、また訴訟でもして親権を取り戻す?お金持ちの伯母がいるからって何?神崎家にお金があっても、唯月にはないからね、あの女に一体何ができるの?それに、あの内海唯花って女も本当に憎らしい。どうしてさっきあの女にも何も言わなかったの?おせっかいな女ね、旦那はどこのどいつなの?」莉奈は悪意に満ちた考えを巡らしていた。唯花の夫の顔さえわかれば、誰かを送り込んで唯花の夫を誘惑して、彼女に夫から裏切られるのを味わわせてやるのに。姉妹二人は仲がいいだろう?じゃ、仲良く一緒に離婚すればいい!俊介は彼女に追いつき、肩を抱いてたしなめた。「怒るなよ。今からジュエリーショップに行って結婚指輪を選ぼう。好きなものを買ってあげるからさ。唯花のやつ空手を習ったことあって、かなり強いんだぞ。俺は男だが、体術やったことないから、相手にならないんだよ。それに、もう何日も陽に会ってなかったしさ、どう言っても俺の息子だから、せっかく会ったんで、ちょっと抱いただけだよ。そんなに怒らないでくれよ」以前、毎日息子に会えるから、俊介はそこまで息子に会いたいと思わなかったのだ。離婚後、陽は唯月が連れて行った。それで彼は突然息子に会いたくなったのだ
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