和泉夕子がそれ以上何も言わないのを見て、春日琉生はつやつやに整髪料で固めたオールバックの髪を触り、自分ではとびきりかっこいいと思っているポーズを和泉夕子に見せつけた後、二人を追い越して披露宴会場へと入って行った。横で呆れた様子の沢田は、大野佑欣の手を引き、おどおどしながら霜村冷司の前に進み出ると、「霜村さん、佑欣家族はは変わってる人たちばかりで、ご迷惑をおかけしまして、申し訳ありません」霜村冷司が何か反応するよりも早く、大野佑欣は沢田の頭をピシャリと叩いた。「誰が変わってるって言うのよ?!」沢田は頭を抑えながら霜村冷司の方を見て、訴えるような目で見つめた。まるで「霜村さん、あの人たちがまともだと思いますか?」と言っているようだった。霜村冷司は視線を逸らし、見ていないふりをした。沢田は彼が何を言いたいのか悟った。つまり、自分が選んだ道なのだから、自分で責任を取れということだ。沢田はしょんぼりとした顔で、大野佑欣に引っ張られるように披露宴会場へと入っていった。「わあ、すっごくきれい。沢田、私もこんな結婚式したい。いや、もっと素敵な式がいい......」叩かれたとはいえ、沢田は大野佑欣の望みをすべて叶えてあげようと思った。「ああ、どんな結婚式がいい?望み通りに叶えてやる。お前が気に入るなら......」大野佑欣は沢田の腕に抱きつき、この上なく幸せそうに笑った。「やっぱり、あなたって最高だね。そうだ、結婚したら、あなたに赤ちゃん産んであげる!」沢田と大野佑欣の後ろ姿を見つめながら、霜村冷司の冷ややかな瞳は温かみを帯びていった。沢田は自分の居場所を見つけた。相川涼介は妻を連れて相川家に戻った。霜村涼平も結婚した。大切な人たちは皆、それぞれの絆を手に入れた。これで安心していいはずだ。だが......霜村冷司はすらりと伸びた逞しい手で和泉夕子の頭を撫でた。残した財産は足りているだろうか。30%の株は十分だろうか。そばに残した相川泰は彼女を守れるだろうか。弟たちは約束を守り、彼女を守ってくれるだろうか......様々な考えが頭の中を過った。霜村冷司の様子がおかしいと感じた和泉夕子は、彼の腰を抱きしめ、その胸に顔をうずめた。「あなた、大野さんと琉生はわざとあなたを怒らせてるのよ。気にしないで」霜村冷司は何も言わず、ただ、和泉夕子の頭の髪から
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