Semua Bab あの高嶺の花が帰ったとき、私が妊娠した : Bab 1131 - Bab 1140

1206 Bab

第1131話

そうだ。弥生も、由奈は本当にすごいと思っていた。何年ものあいだ仕事一筋でやってきたことも、このところのやり取りの中で、由奈は親友である弥生に何ひとつ隠さず話してくれた。これまで仕事でいくら貯めたのかまで打ち明け、今回帰国したら、自分で小さな店を開き、両親に店番を任せたいのだという。実は弥生も、帰国したら由奈を自分の会社に誘おうかと考えていた。親友なのだから、待遇も高くしてあげられる。でも、弥生が口に出す前に、由奈は「自分で店をやりたい」という考えを熱心に語り、具体的な話まで相談してきた。その口ぶりから、彼女の思いがどれほど本気なのかが伝わってきて、弥生はもう誘うことができなくなってしまった。もし由奈が高給を望むなら、そもそも帰国する必要はない。浩史が提示していた条件は、弥生の会社より悪いはずがなく、会社の規模も比べものにならない。何しろ浩史は、一代で事業を築き上げ、名の通った企業を率いる人物なのだから。一方、弥生の会社はまだ設立して日が浅く、とても並べるものではなかった。そんなとき、瑛介の母が何か思いついたように口を開いた。「それとも、あの子はそもそも相手を探す気がないのかしら?」弥生は笑って答えた。「仕事が忙しすぎるんだと思う」記憶を失ってからは、弥生自身も由奈の過去をよく知らず、以前なら答えられない質問だった。でもこのところ話すうちに、由奈の言葉の端々から、いろいろと察することができるようになった。特に、瑛介が弥生のために何かしてくれるたび、由奈は決まって羨ましがり、「また惚気を聞かされた」などと冗談めかして言いながら、自分も甘い恋がしたい、とこぼしていた。それを聞き続けていれば、由奈の気持ちも自然と分かってくる。「恋愛をしたくないわけじゃないなら、うちにちょうどいい人がいるんだけど、紹介してもいいかしら」その言葉に、弥生は珍しく目を丸くした。「お母さん、由奈にお見合いの話を?」瑛介の母は唇を結び、やさしく笑った。「ええ。あの子、性格もいいでしょう?ちょうど最近、なかなか良い人に会ったのよ」弥生はすぐには頷かなかった。自分自身は身分差をそれほど気にしないが、相手がどう思うかは分からない。瑛介の母の交友関係にいる人なら、きっと普通の家庭の出身ではない。も
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第1132話

だから弥生は、まずはそこから探りを入れることにした。他人に紹介されること自体を、由奈が嫌がるタイプなのかどうかを確かめたかったのだ。由奈の返信はとても早かった。「もう聞いてよ。お見合いの話が多すぎるのよ。あの人たち、どこからそんな元気が湧いてくるの?相手を紹介するなんて、疲れるし、面倒じゃないのかしら」さらに由奈は、止まることなく愚痴を続けた。「年末年始くらい、ちゃんと遊ぶべきでしょ?あちこちで相手紹介してたら、それもう正月じゃなくて、お見合い大会だよ」その愚痴を読んで、弥生は思わず笑ってしまった。「ほんとそれ。正月って、お見合い大会であり、同時に子育て催促大会でもあるよね」「そうそう。結婚してる人も、楽じゃないよ。今度は子どもまだかって言われるんだから」みんな、同じような境遇だ。「ねえ、私があなたみたいに早く結婚して、早く子ども産んでたら、今ごろこんなに煩わされずに済んだのかな」弥生は、もう紹介の話は流れたと思っていたが、由奈のほうから結婚の話題が出てきた。そこで慎重に言葉を選びながら聞いてみた。「そう思ってるなら、どうしてそんなに嫌がるの?お見合いが信用できないから?」「それはそうだよ。お見合いでまともなの、ほとんどいない。親戚が紹介してきた男たちもさ、写真だけ見たらそれなりなんだけど、ライン追加した瞬間に、いきなりすっぴん写真送れって言ってくるの」弥生は言葉を失った。そんな発想、あまりにも理解できない。「......全員そんな感じだったの?」「いや、全員じゃないけど、それぞれ別方向にヤバい。すっぴん写真要求してくる人もいれば、もう将来何人子ども産むつもりか聞いてくる人もいる」弥生は再び沈黙した。彼女はお見合いをしたことがなかった。まさか、そんな体験があるとは思いもしなかった。由奈が遭遇した話だけでも、十分すぎるほど奇妙だ。これまで噂話として聞いたことはあったが、自分の身に起きていなかったから、どこか他人事だった。だが、親友が実際に経験していると知り、これらが本当に現実に存在するのだと実感する。「私、別にお見合いが嫌いなわけじゃないの。問題は、変な人が多すぎるってことよ。もし顔がすごくかっこよくて、性格がちょっと変なくらいなら我慢できる。でも、顔は普通以下、条件も
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第1133話

できることなら、弥生は親友が良縁に恵まれ、甘く幸せな結婚をしてほしいと心から思っていた。だからこそ、由奈の問いかけに対しても、正直に答えるしかなかった。「正直なところ、相手がどんな人かは分からないよ。実際に会って、自身で判断するしかないと思う。ただ、人としてはきっとちゃんとしてるはず。そうじゃなかったら、お母さんがそんな話を出すこと自体ないと思う」ここ最近のやり取りで、弥生は瑛介の両親がとても信頼できる人たちだと実感していた。いい加減なことや、根拠のない話を持ち出すような人たちではない。彼女たちの口から出た話なら、それなりに確かなものだろう。由奈もその言葉に納得したのか、少し迷ったあとに返信してきた。「確かにそうかもね。瑛介のお母さんの性格はよく知らないけど、目にかなう男性なら、きっと優秀だし、人柄も悪くないんだろうね。ただ......私が釣り合わないんじゃないかって思っちゃう」「そんなふうに自分を下げないで」弥生は文字を打ちながら、はっきり伝えた。「由奈だって十分素敵だよ。それに好みは人それぞれだし、会って話してみないと分からないでしょ?」「うーん、そう言えばそうだね。ちょっと考えさせて。最近ほんとに色々あって、頭がパンパンになってて」「うん、ゆっくり考えて。決まったら教えてね。私がチェックするから、私のOKが出なかったら紹介しない」「ありがとう」「大丈夫よ、任せて」二人は少し照れるような言葉を交わし合い、弥生の口元にも自然と笑みが浮かんだ。「ずいぶん楽しそうだな。何を話してた?」低く落ち着いた声が、頭上から不意に降ってきた。その声に反応する間もなく、弥生の手からスマホが瑛介に奪われた。「返して」反射的に手を伸ばすが、瑛介は腕を上げて届かせない。「何だよ、見せられない話?まさか男と連絡取ってたとか?」「違う。由奈とだよ」「じゃあ、僕が見ちゃいけない理由は?」そう言いながらも、瑛介は結局、彼女と由奈のやり取りを覗こうとはしなかった。女の子同士には、秘密の話があることくらい、彼も分かっている。さすがにそこまで踏み込む気はなかった。ただ、スマホは返さず、もう片方の手で彼女の鼻先を軽くつついた。「おしゃべりで気が散ってる。だからしばらく没収」そう言って、その
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第1134話

「冗談だよ。まさか本気だと思ったか?」弥生は機嫌よくはなく、彼の手をぱしっと払いのけた。「冗談かどうかなんて、分かるわけないでしょ」とはいえ、最終的には瑛介は彼女のスマホを自分のコートのポケットにしまい、こう言った。「飛行機に乗ったら返すよ」「......ふうん」弥生は思わず小さく白目をむいた。「返す気はあるの?ずっと没収かと思った」「ん?それでも別にいいけど。どうせ機内では使えないし、到着してから返しても問題ないだろ?」そのあまりの図々しさに、弥生は一瞬言葉を失った。この人、本当に......もういい、相手にするのはやめよう。弥生は目を閉じた。搭乗までまだ少し時間がある。昨夜あまり眠れなかったので、少し仮眠を取ろうと思ったのだ。ところが、瑛介が彼女の手を取った。「寝るのは後でいい?」その声に、弥生は目を開けた。「どうして?何かあるの?」言い終わる前に、彼女は椅子から立たされ、そのまま瑛介の腕に引き寄せられた。大きな手が彼女を抱き込んだ。そして、頭上から気だるげな声が落ちてきた。「搭乗までまだ時間あるし、ちょっと買い物行かない?」その提案に、弥生はきょとんとした。「......何を買うの?」「昨日、荷造りしてたとき言ってただろ。口紅、あんまり残ってないって」そう言われて、弥生は昨日のことを思い出した。荷造りの途中で口紅を確認したら、使用期限が切れているものがかなり多かった。期限切れの口紅で唇が荒れるのが怖くて、思い切って全部処分してしまったのだ。残ったのは、未開封で色味の強いものばかり。仕事のときなら問題ないが、正月に家族と過ごすには、少し派手すぎる気がした。瑛介が一緒に荷造りしていたこともあり、弥生は深く考えず、何気ない愚痴として「もう塗らないでいいかな」などと口にしただけだった。そのとき瑛介は特に反応しなかったので、弥生も気にしていなかった。まさか今になって、買いに行こうと言い出すとは思わなかったのだ。口紅のことを思い出し、弥生は唇を軽く結んだ。時間がなければ、到着してから探せばいいくらいに考えていて、空港にコスメショップがあることをすっかり忘れていた。そのとき、二人の会話を聞いていたらしい瑛介の母が、弥生がぼんやりしている間に声
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第1135話

瑛介の母に「今は化粧品はダメよ」と言われると、ひなのは素直にこくりと頷いた。「じゃあ、ひなのは行かない」瑛介の母はすぐに瑛介と弥生に向かって手を振った。「ほら、早く行ってらっしゃい。ひなのと陽平は私たちが見てるから、心配しなくていいわ」二人がその場を離れたあと、ひなのは小さな顔を見上げて瑛介の母に尋ねた。「ねえ、おばあちゃん。ひなの、大きくなったら化粧してもいいの?」瑛介の母は小さな鼻をそっとつつき、声も表情もとびきり優しく答えた。「もちろんよ。大人になったらね、そのときは好きなだけおしゃれしていいの」それを聞いたひなのは、もう未来を思い描いているようだった。「じゃあ、そのときはおばあちゃん、ひなのにたくさんたくさん化粧品買ってくれる?」ほとんどの女の子は、子どもの頃に「大人になったら化粧品をいっぱい持ちたい」と一度は夢見るものだ。「いいわよ。たくさん買ってあげる。」ひなのは返事の代わりに、ちゅっとキスをした。空港はとても広い。瑛介と弥生は並んで歩いているだけで目を引く存在で、行き交う人々が思わず視線を向けていた。こっそりスマホを取り出して写真を撮る女性もいるほどだ。弥生もそれに気づき、小声で瑛介に言った。「なんだか......撮られてる気がする」その視線を追って、瑛介がそちらを見ると、確かに一人の女性がスマホをこちらに向けている。盗撮がばれたことに気づいたのか、彼女は気まずそうにカメラの向きを変えた。瑛介は一瞥しただけですぐに視線を戻した。特に拒否されなかったと分かったのか、女性はまたカメラをこちらに向けてきた。瑛介は歩きながら、ふと弥生に尋ねた。「気になる?」弥生は唇を軽く結んだ。「別に......ただ、あなたは平気かなって」自分は芸能人でもないし、人目のある場所で写真を撮られても、そこまで気にはならない。でも、自分が平気でも、瑛介がどう思うかは別だ。すると瑛介は、口元を少し上げて軽く笑った。「奇遇だな。僕も気にしない」その言葉に、弥生はぱちりと瞬きをした。二人とも気にしないのなら、撮らせておけばいいか、と。もう一度、写真を撮っている女性のほうを見ると、なぜか彼女が急に興奮した様子を見せた。弥生が理由を考えるより先に、隣にいた瑛介が
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第1136話

幸いなことに、さきほど瑛介が顔を下げてキスしたのは唇ではなく、口元だった。この程度なら、仮に動画が拡散されて誰かに見られても、そこまで恥ずかしいものではない。それに、さっきの行動は明らかにわざとだった。盗撮に気づいたうえで、あえて人前でいちゃついて見せたのだ。その意図を察して、弥生は呆れたように言った。「自分が芸能人だとでも思ってるの?見せつけたって、私たちただの一般人なんだから。仮にネットに載せられても、誰も見ないよ」だが瑛介はまったく気にしていない。「別にいい。誰も見なくても、僕が見てればそれで十分だ」そう言うと、弥生の腰に回していた手を離し、二人の女の子のほうへ歩いていった。「ここで待ってて」弥生はついて行こうとしたが、その一言で足を止めた。......まあいいか。わざわざ付いて行っても仕方ないし、正直もう歩くのも面倒だ。そう思って、その場に立ったまま様子を見守ることにした。女の子二人は、さっきまで嬉しそうにスマホを見ていたが、瑛介が近づいてくるのに気づくと、表情が一変し、反射的にスマホを背中に隠そうとした。だが数秒後、「それはかえって失礼かも」と思ったのか、瑛介が目の前に来ると、自分からスマホを差し出した。二人の顔には、しょんぼりした色が浮かんでいる。その様子を見て、弥生は首をかしげた。......見せつけたかったんじゃないの?それとも動画を消してもらうつもり?でも、それなら最初から撮らせなければよかったはずだ。よく分からない。距離があるため、会話の内容までは聞こえない。ただ、瑛介の薄い唇が動き、何か話しているのは分かった。すると、不思議なことに、彼が話し終えたあと、女の子たちの沈んでいた表情が次第に明るくなり、目も輝き始めた。まるで、自分の耳を疑っているかのような顔だ。その後、瑛介がスマホを取り出し、女の子の一人がそれを読み取ったように見えた。その瞬間、弥生の眉がきゅっと寄り、唇も無意識に結ばれた。これ、どこかで見たことある光景だ。道端で声をかけられて、連絡先を交換するやつ。一人がコードを出して、もう一人が読み取る。今、瑛介とあの女の子がしているのは、それと同じではないか。さっきまで、瑛介の行動に少し浮かれていた気持ちは、一気に沈んだ
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第1137話

その声を聞いた瞬間、弥生ははっとして、隣に立つ人物を見上げた。目に飛び込んできたのは、にこやかに笑っている瑛介だ。「待っててって言っただろ。どうして一人で行った?」弥生は唇を動かしかけたが、先ほど彼があの女の子と取った行動が脳裏をよぎり、胸の奥が理由もなくざわついた。結局、言いかけた言葉は飲み込み、瑛介を無視して店の奥へと歩いていった。瑛介は口元に笑みを浮かべたまま、彼女がその色を気に入ったのだと思い、手を伸ばして取ろうとした。だが、弥生は一瞥しただけで背を向けてしまった。しかも、どこか不機嫌そうだ。瑛介は一瞬動きを止め、彼女の背中を見つめて考え込んだ。......今の一言、何か気に障っただろうか?深く考える間もなく、彼はすぐに後を追った。「さっきの、見ないのか?色、きれいだと思うけど」追いかけてきたうえに、まだ口紅の話をするとは思わず、弥生は眉をわずかにひそめた。どうやら、「モテ色」というのも、あながち嘘ではないらしい。もっとも、万能ではないにせよ、一定の根拠はあるのだろう。少し考えてから、弥生は足を止めて尋ねた。「......あなた、好きなの?」瑛介は特に深く考えずに答えた。「好きだよ。前に、ほかの色は普段使いしにくいって言ってただろ?あの色なら自然だし、弥生の唇の色にも近い」そう言いながら、彼の視線は自然と下がり、弥生の唇に落ちた。少し前まで体調が万全でなかった頃は血色が薄かったが、最近は心も落ち着き、食事もきちんと取れている。そのおかげで、唇は柔らかな淡いピンク色を取り戻し、白い肌に映えていた。だが弥生は、彼のそんな考えなど知る由もない。胸に残るわだかまりのせいで、瑛介の「好きだ」という言葉を聞いた途端、つい刺のある返しをしてしまう。「好きなら、自分で買って使えば?」そう言い捨てると、また彼を無視して歩き出した。二度も無視されたことで、さすがの瑛介もようやく何かを察した。その場に立ち止まり、少し考えたあと、踵を返して先ほど弥生が見ていた口紅を手に取り、再び彼女を追いかけた。大きな歩幅で数歩進むと、すぐに追いつき、細く白い手首を掴んだ。「......怒ってる?なんで?」手首を握られ、弥生は眉を寄せた。「別に」口では否定しながらも、彼の
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第1138話

「昨日あまり眠れなかった?それで体調がよくないとか?それとも、口紅選びで歩き疲れた?じゃあ、ここにある色、全部買おうか。もう選ばなくていいから、戻って休もう」「弥生?」弥生が口紅を見ているあいだ、瑛介はずっとそばに張り付くようにして、あれこれと問いかけ続けていた。そしてふと顔を上げると、目の前には心配そうに眉を寄せた瑛介の整った顔と、その真剣な眼差しがあった。弥生は思わず唇を結び、少し戸惑った。彼はとても慌てている。本当に、私が怒っていることを気にしてるみたい。......もしかして、私の勘違い?そう思いながらも、胸の奥に引っかかるものは消えない。弥生は一度深く息を吸い、瑛介を見上げて問いかけた。「......さっき、何をしてたの?」ようやく話しかけてもらえたことが嬉しかったのか、しばらく冷たくされていた瑛介は、すぐに身を乗り出してくる。「さっき?見てたろ?あの二人に......」説明し終える前に、弥生は白い手のひらを差し出した。「スマホ、貸して」その言葉を聞くなり、瑛介は迷いなく自分のスマートフォンを彼女の手のひらに置いた。画面を見ると、ロックがかかっている。弥生が何か言う前に、瑛介が続けた。「暗証番号は、君の誕生日」......誕生日?少し考えてから数字を入力すると、ロックはすぐに解除された。自分の誕生日がロック解除の番号だと知った瞬間、弥生の胸の中のざらつきが、少しだけ和らいだ。気持ちも、さっきほど尖ってはいない。弥生はすぐにメッセージアプリを開き、最近の連絡先を確認した。知らないアイコンがあるかと思ったが、一番上に固定されているのは自分で、その下も見覚えのある家族の連絡先ばかりだった。友だちの数自体も驚くほど少ない。トーク画面では分からず、弥生は鼻を少しすぼめて連絡先の一覧を開いた。だが、指を上下に動かしても、すぐに一番下まで行ってしまう。......何もない。スマホを受け取ってからずっと、瑛介は彼女のすぐ横に立ち、操作を覗いていた。何度もスクロールする弥生を見て、不思議そうに首を傾げた。「何を探してる?」「......さっき追加した友だち」弥生は深く考えず、素直に答えた。その瞬間、瑛介は一拍置いて目を瞬かせた。「.
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第1139話

まだ事情がはっきりしていなかったため、弥生は彼に頬をつままれても素直に受ける気になれず、ぱしっとその手を叩き落とした。「触らないで」ところが瑛介は手を引くどころか、身をかがめて大きな手を彼女のうなじに添え、低い声で説明した。「分かった分かった。確かに女の子の連絡先は追加した。でも、すぐに削除した」「どうして、追加してから削除したの?」「追加しないと、動画を送ってもらえないだろ」「......動画?」「分かってるだろ?」その瞬間、弥生はようやく気づいた。彼が言っている動画とは、あの女の子がさっき盗撮していた、瑛介が自分にキスをしたあの映像のことだ。当時、二人が連絡先を交換しているのを見て、そこまで思い至らず、てっきり。つまり彼は、動画を受け取るために連絡先を交換しただけだったのだ。自分がさっきまで彼に冷たい態度を取っていたことを思い出し、弥生は一気に気まずくなった。「......僕が、他の女の人と連絡先交換したと思った?」瑛介は彼女の鼻先をちょんとつついた。「あなたのためなら命だって差し出す僕が?わざわざ他の女の子と連絡先交換して、面倒を増やすと思う?」その言葉は、他人が言えば軽く聞き流しただろうし、昔の弥生なら甘い言葉として受け取っただけだったかもしれない。でも、瑛介が実際に危険を顧みず自分を助けてくれたことを知っている今、その言葉は冗談ではないと分かる。彼は、本当にそうする人だ。反論できるはずもなく、むしろ過去のことを思い出して胸がじんとした。「......ごめんなさい」弥生は小さく呟いた。「私、勘違いしてた」瑛介は、彼女が嫉妬しているのが可愛くて仕方なかっただけだ。彼にとって、嫉妬は大切にされている証であり、それが嬉しかった。だから、弥生が謝るとは思っていなかった。突然の「ごめんなさい」に、瑛介は一瞬で慌てた。「ばかだな。弥生が嫉妬するのは僕は嬉しいんだよ。僕を気にしてくれてるってことなんだから。謝る必要なんてない」弥生はぱちぱちと瞬きをした。「でも、私が誤解して、あなたに当たったのは事実だし。謝るのは普通でしょ」「いらない」瑛介はきっぱりと言った。「僕に対しては、何をしてもいい。どんな態度でもいい。僕に申し訳ないなんて、思わなくていい
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第1140話

弥生は色を選びながら、小さな声で問いかけた。「じゃあ、あなたはその人と友だち追加して、動画を送ってもらったら、すぐ削除したってこと?」瑛介は何のためらいもなく頷いた。「当然だろ。ほかに何するんだ?残して雑談でもするとでも?嫉妬で怒ったのか?」自分が怒ったことを持ち出され、弥生は少し居心地が悪くなった。「それは......もう怒ってないのに、なんでそんなに蒸し返すの?」「蒸し返すくらいいいだろ。弥生が僕のことで嫉妬して怒ったなんて、滅多にないんだから。何度か味わわせてもらわないと」弥生はため息をついた。「でも、すぐ削除しちゃうのって、ちょっと冷たくない?」「弥生、それはさすがに調子良すぎないか?削除しなかったら、さっき僕のスマホ確認したとき、もっと怒ってたんじゃないか?」そう言い切ると、瑛介はそれ以上質問させないように彼女の肩を軽く叩いた。「安心しろ。追加するときに、結婚してるってちゃんと言った。弥生が嫌がるかもしれないから、動画を送ってもらうだけ、終わったら削除するって最初から伝えてある」じゃあ、さっき二人が何か話していたのは、その説明だったのか。弥生はぱちぱちと瞬きをした。「......その動画は?」「見たい?」瑛介はスマホのアルバムを開き、保存していた動画を再生して見せた。少し距離はあるものの、二人の表情ははっきり分かる。そして何より、映像の中の瑛介が自分を見つめる眼差しが、驚くほど優しい。普段一緒にいるときは気づかなかったが、第三者のカメラ越しに見ると、彼の視線がこれほどまでに甘いものだとは。弥生は、普段ドラマを見るタイプではないが、ネットで恋愛ドラマの名場面を目にすることはある。今の映像は、そうしたドラマのワンシーンと重なって見えた。「そうだ、動画を送ってきたあと、その子が一つ聞いてきた」「何て?」「この動画、ネットに上げてもいいかって」弥生は唇をきゅっと結んだ。「......あなた、許可したの?」「どう思う?許可するべきだったと思う?」弥生は眉を少し上げる。「どっちでもいいんじゃない?」ただの仲良し動画だ。弥生自身は、ネットに出回るかどうかをそこまで気にしていなかった。そう答えたあと、瑛介が黙ったままなのが気になり、弥生は首を傾げ
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