邦夫が帰宅するなり、瑠璃を呼び出して何か話し始めた。それを見た青葉と雪菜は、すぐに興味津々になった。とくに雪菜は、これは絶好のチャンスだと直感した。瑠璃がその場を離れた隙に、彼女はスマートフォンを取り出し、庭に置かれていたデザインの原稿を撮影した。その様子を目にした青葉は、怪訝そうに歩み寄った。「雪菜、何してるの?」盗撮を見られたと気づいた雪菜だったが、すぐに頭を回転させて言い訳を作った。「おばさん、瑠璃を二度と威張らせない最高の方法を思いついたの!すぐにでも、あの女の鼻をへし折ってやる!」「へえ?」青葉の目が輝いた。「どんな方法?」雪菜はニヤリと意地悪く笑い、耳元でそっとその計画を囁いた。話を聞き終えた青葉の顔にも、じわじわと邪悪な笑みが広がっていった――。一方、瑠璃は邦夫に呼ばれて別室にいた。まだ何を話すかも聞かぬうちに、邦夫は単刀直入に言った。「自首しろ」「自首?」瑠璃は眉を寄せたが、すぐに落ち着いた笑みを浮かべた。「たった一人の看護師の証言と、私と似た服装をしたぼやけた影だけで、私が祖父に毒を盛ったと?それがあなたたちの言う証拠ですか?」この件で自分が疑われていると知った後、彼女はすでに調査を進めていた。そして得られた証拠と称されるものが、実にその程度のものだった。壁の向こうで盗み聞きしていた青葉と雪菜は、ようやく邦夫が瑠璃に自首を促しているのだと理解した。邦夫は顔をしかめ、厳しい声で警告した。「瑠璃、自首を勧めるのはチャンスをやっているからだ。記憶喪失なんかで逃げ切れると思うなよ。やったことは必ず痕跡が残る!」瑠璃は邦夫の疑いに正面から向き合い、静かに目を見つめ返した。「その通りです。やったことは必ず証拠が残ります。そして……そう遠くないうちに、本当の犯人が現れるでしょう」「邦夫、そんなやつにこれ以上言っても無駄よ!この女はしらを切るばかりか、隼人の前では可哀想な女を演じて同情を買ってるの。まったく姑息な手を使うわね!」と、我慢しきれずに青葉が口を挟んだ。雪菜もすかさず追従した。「そうですよ、おじさま。こんな女、自分がやったなんて認めるわけないですし、認める顔もないはずです」瑠璃はその言葉を聞いて、意味ありげな笑みを浮かべながら雪菜を見た。「つまり、あなた自
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