隼人は、自分の目に映った映像を信じられなかった。思わず瞬のスマートフォンを奪い取り、画面を食い入るように見つめた。日付も、映像の内容も、すべて現実のものだった。捏造などではない。それが確信に変わると、彼の表情が徐々に変わっていった。「どうだ?」瞬は満足そうに、彼の表情の変化を観察しながら言った。「この贈り物、驚いたか?まさか死んでもいいと思うほど、感動したんじゃないか?」隼人は瞬の言葉に一切反応せず、視線をスマホの画面に釘づけにしたままだった。そこに映っていたのは、あどけない笑顔を浮かべる、小さな女の子。彼の手がそっとその子の顔に触れるように画面を撫で、目尻には熱いものが滲んでいた。「……陽菜」「娘がこの世界で無事に生きているって知って、嬉しいだろ?」瞬の声には皮肉と優越感が混じっていた。「俺はかつて千璃を死んだことにしてF国に連れてきた。陽菜のことも、同じように死を与えることだってできるんだよ」隼人はスマホを握る拳をぎゅっと締め、鋭く冷たい眼差しを瞬に向けた。「瞬……お前は、子どもにまで手を出すのか」「……あの子の父親がお前じゃなければ、俺もここまでしなかった」瞬は、自分の責任ではないとでも言うように、口角を歪めて答えた。「三年も俺にパパって呼んできたあの子に……少しは情が移ったんだよ」「瞬」瞬は鼻で笑った。「……悔しいか?腹立つか?お前の実の娘が、俺を父親と思って慕ってたなんて、さぞかし胸が締めつけられるだろ?」隼人はその言葉を聞いても、微動だにせず――逆に、薄く笑みを浮かべて言い返した。「嫉妬?まさか。俺は、心から愛してくれる女がいて、かわいい息子も娘もいて、もうすぐ新しい命も生まれる。お前がそんなことで俺を羨むと思うのか?」その言葉に、瞬の勝者のような笑みが凍りついた。否定できなかった。自分には決して手に入らない幸せが、隼人の手にはあった。隼人もついに、瑠璃がなぜあれほどまでに沈黙を貫いてきたのか、その理由を理解した。陽菜が瞬の手中にあったからだ。それゆえに彼女は瞬に従い、隼人には冷たい態度をとるしかなかった。すべては、大切な娘を守るため――その一心だったのだ。隼人の心には、深い痛みが広がっていた。怒りを込めた目を向け、低く問いただす。「陽菜をどこ
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