幸いなことに……少なくとも今のところ、彼女は慎吾という婿には満足しているようだ。優しく気配りができ、細やかな心遣いも忘れず、背格好も顔立ちもそこそこ悪くない。しかもQ大卒業で、今は有名な高校で物理の教師をしているらしい。大金持ちではないが、きちんとした身なりをしている。「このエビと茸の餃子、本当に風味がいいわ」靖子は二口ほど味見して、うなずいて続けた。久雄はもう一碗を平らげ、二杯目をよそっていた。「この牛肉を食べてみろよ、本当に味が染みてるって……」慎吾は褒められて照れくさそうに、にこりと笑い頭をかいた。「お二人の口に合うなら良かった。おかわりもあるから、足りなければすぐ作るよ」「立ったままでいないで、早く座って一緒に食べなさい。朝早くから忙しくしてくれて、ご苦労様……」慎吾は「はい」と返事をし、餃子をよそって敏子の隣に座った。「苦労だなんて、大したことないよ」家族の和やかな雰囲気が、傍らに座る聡子をよそ者のように浮き立たせる。この穏やかな空気に明らかにそぐわない。彼女は無意識に唇を結び、それから笑顔を作った。「お父さん、お母さん、お昼はレストランを予約してあるんだけど、外食しない?家族の再会のお祝いということで」久雄はそれを聞いて、思わず眉をひそめる。外食の濃い味付けは、靖子の今の体調では、食べられるものではない。敏子は一瞬ためらい、明らかに同じことを考えていた。「外食するには出かけるのが面倒だから、家で作った方がよくない?ちょうどいいわ、慎吾に腕前を見せてもらおうじゃない。彼の料理の腕はなかなかのものよ」慎吾は慌てて頷いた。「これからスーパーで買い物して、お昼は家で食べようか」靖子はにっこり笑いながら、口では「面倒じゃない?」と言った。「全然!」久雄も笑いながら、口に牛肉の餃子を放り込んだ。「よし、じゃあお昼は慎吾の腕前を披露してもらおう」聡子の意向を尋ねる者もなく、昼ごはんの件はそう決まった。……朝食を終え、台所も片付けると、慎吾は買い物カバンを持って出かける準備をする。凛は靴を履きながら、上着を手に取る。「お父さん、私も一緒に行く」「いいよ」スーパーに入ると、慎吾の知り合いが次々と声をかけてくる――「雨宮先生、今日はいつもより遅いですね」慎吾は頷いた。「え
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