朝日は言った。「凛に気がないなんて言ってたのに!ここまで気にしてるなんて!やっと口を割ったな」「……」「疑問があるなら、直接凛に聞くのが一番だと思う。男なんだから、ストレートに行けよ。凛は回りくどいのが嫌いだって、お前も言ってただろ」陽一は何かを考えている顔になる。「ためらってる場合か!このままじゃお嫁さんが取られちまうぞ!はっきりさせない限り、お前は仕事する気なんて起きないだろう」「仕事する気がないわけないだろう?」「へえ、こんな簡単なデータも間違えてるのに、仕事する気があるって?」朝日はPC画面の一部を指差した。「強がるなよ!」陽一はそれを見て、一瞬狼狽した表情を浮かべる。朝日は彼の肩を叩いた。「頑張れ、我が友よ!」そう言うと、自分の実験台へと戻っていく。「いつから気づいてた?」陽一が急に聞いた。彼は足を止め、笑いながら振り返った。「お前が凛を見る目つきだよ。あとは彼女のために何度も自分のルールを破ったりとか、彼女と話す時の声が別人みたいに優しくなるとか。これで気づかないなら、俺は目が悪いってことだな」陽一は複雑な表情をした。「そ……そんなに分かりやすい?」「さあな?」「何を話しているの?私も聞いていいかしら?」珠里が到着して、笑いながら話に加わる。陽一は即座に表情を引き締め、朝日に警告の眼差しを送る。朝日は珠里に向き直ったが、「了解した」という意味で、背後で陽一に「OK」のサインを送る。わかってるよ!絶対秘密にするから!珠里は笑って言った。「どうしたの金子先生?私にも聞かせられない秘密って何なの?」言葉は朝日に向けられているが、珠里の視線の端はさりげなく陽一の方へ流れている。朝日は全て察したような顔で言った。「珠里ちゃん、お前が言った通り秘密だからね。聞かせられない、聞かせられない……」そう言い残して、手を背に組んで去っていく。陽一の目つきは朝日を騙せないだけでなく、珠里の目つきも彼にははっきり見えている。「金子先生、おはよう!」博文が向こうから歩いてきて、笑顔で挨拶する。手には彼と珠里の二人分の朝食を持っている。なんと……「おはよう、博文。苦労したね」博文はよくわからなかった。最近は実験の進捗に追われていないから、みんな残業や徹夜も減っているのに、何に苦労
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