代講の先生は見慣れない顔だ。四十五歳くらいで、頭は半分禿げている。授業はただPPTを読み上げるだけ。生徒とのコミュニケーションもユーモアもなく、陽一みたいに「観賞価値」もなければ、すぐに生徒たちは興味を失ってしまう。「庄司先生はどうしたのかな?」早苗が学而に小声で話しかけた。学而は首を振る。「君が知らないことを、僕が知っているわけないだろう」早苗は心の中で『何の役にも立たないね』と突っ込んだ。学而は言う。「さっき凛さんにメッセージを送ったんだけど……」「凛さんは何て言ってた!?」「……まだ返事はない」早苗は言葉を失う。凛が返事できるはずもない。なぜなら、彼女は今秋恵と魔都行きの飛行機の中にいるからだ。午後2時、飛行機は空港に着陸する。専用の送迎車に乗り、50分後、二人はホテルに到着する。車を降りるとすぐ、ホテルの外の巨大な立て看板が目に入る。看板にはこう書かれている――「全国第十三回学際科学学術サミットフォーラム」脇にはVIP専用チェックイン通路も設けられている。そう、凛は秋恵と共に学術サミットに参加するため、魔都に来ていたのだ。早苗と学而に伝えなかったのは、時間がなかったからだ。朝起きたばかりで、先生から緊急の電話がかかり、荷物を持って空港へ急ぐよう言われた。凛は到着して初めて、今回の行き先を知った。その後、搭乗、離陸、着陸後は休む間もなく、車でホテルへ向かった。移動中、凛は自分自身を管理するだけでなく、秋恵にも常に気を配らなければならなかった。小柄な先生は先月、病気で数日間入院していたから、体調には少しも気が抜けない。「学際科学」のサミットということで、今回集まったのは生物学界の重鎮だけでなく、他の関連分野の先達たちもいる。凛がここにいられるのは、完全に秋恵のおかげだ。二人がフロントでチェックインを済ませ、部屋へ向かおうとする時、思いがけず顔見知りの二人とばったり出くわしてしまう。「大谷先生、凛!来ていたのか?いつ到着した?」陽一は口元に笑みを浮かべ、自ら声をかけた。「陽一!」秋恵は彼を見つけると明らかに喜んでいた。「明日の到着かと思っていたよ」サミットは三日間続き、初日はチェックイン、二日目から学術フォーラムの講演が始まり、三日目は主催者側が開催するイベ
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