真奈は部屋を出て、もともとは黒澤を探すつもりだった。だがドアを開けて立花の客室の前まで来ると、目に入ったのは困ったように首を振っているウィリアムの姿だった。真奈は一瞬きょとんとして尋ねた。「どうしたの?そんなにひどいの?」「はあ……」ウィリアムは深いため息をついた。真奈はまた不安そうに問いかけた。「まさか……立花に何かあったの?あなたでも治せない?」道理でさっきはあんなに元気そうだったのね。まさか、あれが死の間際の輝きだったなんて……!「治せないってわけじゃない。ただ……立花って人、本当に可哀想だと思ってさ」「どうして?」ウィリアムは再びため息を吐き、客室の中で昏睡している立花に目をやって、ぽつりと呟いた。「黒澤に出会っちまったんだ。そりゃあ可哀想にもなるさ」真奈はまだその場で何があったのか知らなかったが、客室に入り、ベッドのそばに座っている黒澤の姿を見た瞬間、胸騒ぎがした。「……あなた、立花に何をしたの?」「別に大したことはしてない」黒澤はベッドに眠る立花に目をやりながら、淡々と言った。「ただウィリアムに頼んで、しばらくベッドから起き上がれなくする方法を考えてもらっただけだ」「だ……け?」真奈はベッドのそばに歩み寄った。立花の顔色はさっきよりもさらに青白く、血の気がまったくなくなっており、まるでかろうじて息をしているだけのように見えた。「あなた、ウィリアムに彼を刺させたの?」「違う」「じゃあ、ウィリアムに殴らせて気絶させたの?」「俺が殴った」「どれだけの力で殴ったら、こんなになるのよ……?」真奈には理解できなかった。黒澤が私怨で動いたにしても、立花の命まで弄ぶ理由はないはずだ。「……あの黒幕は立花の命を狙っている。だから俺は、この機会を使って偽の情報を流した」ここまで聞いて、真奈はようやく黒澤の意図を少し掴んだ。「つまり、唐橋の身分を使って、彼か、もしくはその背後の人物に立花はもう危ないと思わせて、次の行動を引き出そうとしてるのね?」「そうだ」黒澤が言った。「覚えているか。前に立花が、俺と二人きりで話をしたがったとき――お前は、俺たちが何を話したのかって、聞いてきたよな」「覚えてる。あのとき、あなたはこう言ったわ。立花が言うには、Kグループはずっと立花グループを
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