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第1263話

作者: 小春日和
「兄さん!何を言ってるのよ!」

福本陽子は不満げに言った。「どうせ立花なんて良い人じゃないんだから、生きようが死のうが私たちには関係ないでしょ?」

「陽子!そんな言い方するな。立花は前にお前と婚約までした相手だぞ。元婚約者に向かってそんなきつい言葉を言うものじゃない」

大勢の前で兄に叱られた福本陽子は、途端にむっとして福本英明に言い返した。「私は嫌いなの!あいつが大嫌いなの!きつく言って何が悪いの?好きでもない人がどうなろうと、私には関係ないわ!」

そう吐き捨てるように言うと、福本陽子はぷいと顔をそむけて階段を上がっていった。

福本英明は妹の性格を分かっており、伊藤と幸江に向き直った。「すみません、陽子はああいう性格で……帰ったらちゃんと言い聞かせる。まったく、どうしてあんな言い方しかできないのか」

そう言い残し、慌てて階段を上り、福本陽子を宥めに向かった。

この娘は小さい頃から、少しでも気に入らないことがあるとすぐ父親に泣きつく癖があるんだ。

自分は今は海城にいるけれど、父親は陽子のためにわざわざ飛んできて、自分の尻を叩きに来るなんてことも、ないとは言い切れなかった。
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