真奈はうつらうつらとした状態で、どれほど眠っていたのかもわからなかった。目を覚ましたとき、部屋の中は薄暗く沈んでいた。そうだ。思い出した。自分は立花の部下に、この監房に放り込まれたのだった。ちょうどそのとき、腕に鋭い痛みが走り、真奈は思わず息を呑んだ。反射的に手を引こうとした瞬間、男の声が低く響いた。「動くな!」「……誰?」次の瞬間、看護師が懐中電灯をつけ、真奈はそのまぶしさに思わず手で目を覆った。この部屋には窓も照明もなく、異様なまでに暗かった。看護師は落ち着いた声で言った。「高熱が出ています。総裁の命令で、治療に来ました」真奈は灯りの下で、医師が捨てたプラスチックの包装を見つけた。そこには確かに、解熱剤のラベルが印字されていた。少しだけ力を抜いた真奈は、淡々と問いかけた。「立花は、いつまで私をここに閉じ込めておくつもりなの?」「それは総裁のご判断です。我々が推し量ることではありません」医者も看護師も何も知らないことがわかり、真奈はさらに問うた。「じゃあ――彼は私を殺すつもり?」「総裁があなたの命を留めているのは、殺すつもりがないからです」「じゃあ、トイレに行かせて」その一言に、医者は思わず言葉を失った。「飲食や排泄は人間として当たり前のことよ。まさかこの中でしろって言うんじゃないでしょうね?それとも立花は、人が排泄するところを見るのが趣味なの?」真奈はすでに、この部屋に設置された両面鏡の存在に気づいていた。おそらく隣の部屋で、立花がその鏡越しに自分を観察しているのだろう。医者は困ったように言った。「それは私の判断では決められません」「じゃあ、あなたの総裁に聞いてきてちょうだい。私はどこでも構わないわよ。あの人が自分の場所を汚されても気にしないならね」医者と看護師は顔を見合わせた。その様子を隣の部屋から見ていた立花は、ふっと眉を上げる。この女、なかなか手が込んでいる。もしここで許可しなければ、自分が「女の排泄を覗く趣味を持っている」と暗に認めることになる。これが広まれば、自分の面目は丸つぶれだ。その時、森田が苛立ちを隠さずに口を開いた。「立花総裁、この女、身の程知らずですよ。少し懲らしめるべきです」「いや、行かせてやれ」「え?」「行かせろって言ってるんだ。耳が聞
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