「何で洗ったかなんて知らないけど、変なもの持ち込まないでよ!おじいちゃんはもともと体が弱いの。もし菌でも付いてたら、あなたが全財産使っても償えないんだからね!」静華は仕方なく、袋から弁当箱を取り出した。袋の方は、茉莉につまんでゴミ箱に捨てられてしまった。「それ、何?」茉莉はまた静華の手に持っているものを見た。静華は説明した。「晩ご飯のお弁当です」茉莉は鼻で笑った。「へぇ、分かってるじゃん。うちが食事付きじゃないってこと。冷蔵庫に入れとけばいいじゃん?夜にレンチンすれば?」「でも、まだ温かいから、冷蔵庫に入れるのはちょっと……」静華は少し迷ってから、蓋を開けた。「少し冷ましておきます」三十分もすれば冷めるだろう。弁当箱をテーブルに置こうとした瞬間、ふわっと広がる香りに、茉莉のお腹がぐぅっと鳴った。静華は一瞬きょとんとした。茉莉は顔が熱くなり、文句を言った。「何よ、その顔!私がご飯食べてないの知ってて、わざと美味しそうな匂いさせに来たの?」「ご飯、食べてないんですか?」静華は意外に思った。もうすぐ午後三時なのに。彼女は少し躊躇ってから言った。「だったら、私の分食べますか?まだ温かいですよ」「誰があなたの作ったもの食べるもんか!あんな汚いとこに住んでるんでしょ、どうせ菌とか虫とか入ってるに決まってる!絶対食べないから!」茉莉は意地を張って顎を上げたけど、ごくりと喉を鳴らした。「そうですか」静華は肩をすくめた。「確かに、私の料理はあなたには合わないかもしれませんね。私、料理は結構得意なんです。万が一、食べたらハマっちゃったらどうします?毎日作ってって言われても困りますし」茉莉は呆れて笑った。「よく言うわね、自分の料理が美味しいなんて。図々しいにもほどがあるわ」「まあ、食べないならいいですけど」「食べないなんて一言も言わないでしょ!」茉莉は目をつり上げ、遠慮なく静華の手から弁当箱を奪った。「じゃあ味見してあげるわ!目が見えないあなたが、どんな美味しいもの作れるっていうの!もし塩っぱかったりしたら、許さないからね!」そう言うと、茉莉は箸を探し出し、恐る恐るおかずを一つまみ口に入れた。その一口で、彼女はピタッと動きを止めた。次の瞬間にはもう止まらず、夢中
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