静華は適当な理由をつけて明菜を下がらせると、単刀直入に尋ねた。「望月が逮捕されたこと、知っていたの?」「もう知ってたのか。まあ、あれだけ大きな騒ぎになったんだ、知らない方がおかしいか」胤道は意に介さず、コートを脱いだ。「望月が逮捕された時、俺はそばにいた」静華の唇がかすかに動いた。何かを言おうとして、ためらった末に、やはり口を開いた。「……今回のもあなたの仕業なの?」まさか。胤道が、どうして。どうして自ら、犯人隠避の罪に問われかねない立場に身を置くの?このことが明るみに出れば、彼自身の立場も危うくなることを、分かっていないはずがないのに。胤道の眉は、ぴくりとも動かなかった。「最初は違った」「最初は?」胤道は唇の端を引いた。「奴らが望月の足を一本折ったところで、気が済むはずがない。いずれ彼女を刑務所に送ろうとするだろう。俺はただ、その証拠を世間に公表することで、少し手を貸してやっただけだ」ただ、手を貸しただけ?その「ただ」の行為が、自分にどれほどの面倒をもたらすか、彼は分かっていないの?静華には理解できなかった。「どうしてそんなことを?望月を刑務所に入れるだけでよかったじゃない。どうしてこんな……世間中の人が知るような騒ぎにする必要があったの?あなたに何の得があるっていうの?」彼女は顔を上げ、その眼差しには切実な思いが揺れていた。胤道は手を伸ばし、彼女の寄せられた眉を優しく撫でた。「世論を使えば、望月をもっと早く断罪できる。それに、ついでにお前の潔白も証明できるからな。お前、いつか言っただろう?あの数年間を償ってほしい、と。時間を巻き戻して、お前が刑務所に入る前に救うことはできない。だからせめて、お前を誤解していた連中に、本当のお前がどんな人間だったかを知ってもらう」静華は呆然とし、目頭がじんと熱くなった。感動からではない。どうにもならない、やりきれなさからだった。彼女は眉をひそめ、俯いて胤道の手を振り払った。「野崎……それに、何の意味があるっていうの?」静華は言った。「あなたはあの時、母を盾に私を刑務所に入れた。今になって後悔したところで、あなたのやることは全部、私を切りつけてから包帯を巻きに来るようなものよ。何の意味もないわ」胤道の胸に、
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