胤道の笑みがゆっくりと薄れ、静華をじっと見つめた後、静かに言った。「いや、ただ、俺はリーダーとして失格だったんじゃないかと思っているだけだ」「どうしてそう考えるの?」「もし俺がリーダーとして完璧で、全てを滞りなくこなしていたと仮定してみろ。どうして部下に裏切られたりするものだ?まして死んでまで、何も明かそうとしないなんてことが、起こり得るだろうか?」胤道の口調は淡々としていたが、静華はその言葉の端々から、今までにないほどの孤独を感じ取った。「静華、夫としては、俺は許しがたい罪を犯した。だが、少なくともリーダーとしては、恥じることのないように努めてきたつもりだった。だが今日、痛いほど分かったんだ。俺は何一つ、まともにできていなかった。俺の人生、俺の選択は、傍目には抜け目なく見えるのかもしれない。だが、結局のところ、俺は本当に何一つ、手に入れていない」彼が自ら弱音を吐くことはめったにない。その声には、隠しきれない自嘲の笑みが滲んでいた。静華は何も言わずにいた。この瞬間、彼女は胤道を心から慰めたいと思った。「野崎、どんな人間だって、仮に神様が完璧に、非の打ち所なく物事を為したとしても、必ず批判する人はいるものよ。世の中には完璧な人もいれば、そうでない人もいる。完璧でない人たちは、どうしても嫉妬や不満、嫌悪といった感情を抱かずにはいられない。誰かの心の奥底にある感情まで、あなたにはどうすることもできない。だから、あなたが自分の心に恥じないように行動すれば、それで十分だわ」彼女はひどく真剣だった。胤道は彼女をしばらく見つめ、その指先を取って自分の頬に当てた。「そうだな。お前のように完璧な人間にさえ、俺みたいな厄介者がいるんだ。俺なら、なおさらだ」静華は言葉を失った。胤道が尋ねた。「抱きしめてもいいか?」少し躊躇った後、静華は頷いた。その瞬間、広い胸に抱き寄せられた。腕に力が込められると同時に、いつでも逃げ出せるだけの空間が残されていた。この瞬間、聞こえるのは互いの呼吸音だけだった。言葉はいらない、ただ呼吸音だけで十分な気がした。明菜はその様子を傍らで見て、満足げに微笑んだ。スマホを取り出し、思わずその光景を写真に収める。撮った写真を見れば見るほど、二人がお似合いだと感じた。このまま最後まで
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