積もり積もった欲求不満が、ようやく解消された。彼は彼女の体を愛撫しながら、腰を屈めてキスをしようとした。水谷苑は激しく抵抗しなかった。両腕を枕に押さえつけられ、彼の思うようにされるがままだった......彼が激しく動くと、彼女は苦しげな吐息を漏らし、うっすらと紅潮した汗ばんだ顔は白い枕の上で揺れていた......九条時也は、そんな彼女がたまらなく愛おしかった。何度も彼女と体を重ね、これほどまでにないくらい夢中になり、この瞬間、彼はこのまま死んでもいいとさえ思った。「好きか?俺がこうされるのは、好きか?」九条時也は彼女の顔にキスをしながら、情熱的な吐息を漏らした......水谷苑の目は潤み、彼女は男女の悦楽に溺れているように見えた。しかし、彼女の手は枕元を探っていた......彼女がナイフの持ち手を掴むと、一瞬の躊躇もなく、そのナイフは九条時也の心臓へと突き刺さった。九条時也の体は硬直した。彼は信じられないという顔で自分の胸を見た。ナイフは、深く彼の体に突き刺さっていた。鮮血が滴り落ちていた。彼の愛する水谷苑は、虫を殺すことさえできなかったのに、今は人を殺そうとしている。水谷苑の顔は青白く、体は震えていたが、それでも彼女はナイフをさらに深く突き刺した......耐えがたい痛みの中、九条時也は何を考えていたのだろう。そう、彼は思った。彼女はきっと、これほどにないくらい自分を憎んでいるからこそ、死んでほしいと思ったのだ。彼女は自分に、生きて逃れる道を残そうとしなかった。だが、彼女は知らなかった......九条時也は唇の血の気を失いながら、ナイフの持ち手を掴み、力任せに引き抜いた。すると飛び出す血がシーツを真っ赤に染め、見るも無残な光景だった......あのナイフは、彼に床へと投げ捨てられた。彼は血まみれの指で、彼女の尖った顎を掴んだ。彼は傷をもろうともせず、彼女にキスをした。途切れ途切れの声は、弱々しかった。「体で俺を誘って、ナイフで刺すなんて、よほど悩んだんだろうな」水谷苑は、呆然としたように笑った。彼女は嗄れた声で言った。「私はD国に来た時から、生きて帰るつもりはなかった」九条時也は静かに笑いながら、彼女の首筋に顔を埋め、彼女の目を見つめた。「残念だったな。俺の心臓の位置は、普
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