宗介「じゃあ、礼二に話してみたら?君と礼二、ある程度の関係はあるだろ?」瑛二が言った。「話すのは構わないけど、礼二が耳を貸すとは思えないな」あの日、玲奈がダンスのペア交代をあっさり受け入れた時の表情を見て、彼は玲奈と礼二が恋人関係ではないことを察していた。だが、それでも礼二は玲奈を特別に大切にしているのは明らかだった。だから、仮に自分が間に入って淳一と礼二の関係を取り持ったとしても、礼二が簡単に首を縦に振るとは思えなかった。宗介「そうなると、やっぱりあの青木さんをどうにかするしかないってことか。でも、俺ら彼女のこと何も知らないし、どう接触すればいいんだ?調べるか?」淳一は首を振った。「もういい。あいつにこれ以上時間を割きたくない。後で親父に連絡してみるよ」その言葉に、瑛二はすぐ察した。「真田先生に頼るつもりか?」「そう」礼二は真田教授の教え子だ。真田教授が口を挟めば、礼二も無視できないはず。そう決めたらすぐ行動。食事を終え、帰り道で淳一は晴見に電話をかけようとした。だが、思いがけずその前に晴見の方から電話がかかってきた。そして開口一番、直球で訊かれた。「長墨ソフトとの件、どうなった?」淳一「……」彼は隠すつもりもなく答えた。「上手くいってない。ちょうど手を借りようと思ってたとこ」「どういう意味だ?」淳一「長墨ソフトの技術者一人を怒らせてしまって、湊礼二がその人のために……」彼の言葉を晴見が途中で遮った。「その技術者、名前は?」淳一は一瞬固まった。そこを突かれるとは思っていなかったが、無意識に答えた。「青木玲奈っていう」晴見「……」彼は電話口で深く息を吸い込み、笑い混じりに呆れた声が返ってきた。「まだ話もまとまってないのに、先に相手の中核技術者怒らせるとは、たいしたもんだな」淳一は思わず言いかけた。玲奈はコア人材なんかじゃない、ただ礼二と曖昧な関係なだけだと。だが、晴見はその余地を与えなかった。彼は言った。「その件、手を貸してやってもいい」淳一がすぐに返した。「ありがとよ、親父!」「……相変わらず図々しいな」「で、休暇はいつまでだ?」淳一は、今回父親に助けを求めることを恥ずかしいとは少しも思っていなかった。彼に言わせれば、長墨ソフトのこのプロジェクトは本来、
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