茜の学校に到着する。玲奈はすぐに優芽の声を聞いた。「青木おばさん!」玲奈が横を見ると、優芽が駆け寄ってきて言った。「青木おばさん、昨日の夜、ママがまんじゅうを届けろって言ってたのに、おばさんいなかったから持ち帰っちゃった」玲奈が口を開こうとしたその時、まだ彼女が家を出ていることを知らない茜がふんっと鼻を鳴らし、「うそつき、ママは昨日ちゃんと家にいたよ」と言った。優芽は頭をかきながら戸惑った。「えっ?そ、そうだったの?じゃあなんで……」玲奈が返事をしようとした時、茜の先生が声をかけてきた。「青木さん」玲奈が声をかけた。「山西先生」山西先生は茜と優芽に先に中へ入るように促した。彼女は玲奈と話したいことがあるらしい。茜と優芽は言われた通りに先に教室へ入っていった。その後で、山西先生は玲奈に伝えた。「来週、学校で親子イベントがあるんですけど、青木さんはご存知ですか?」玲奈は首を横に振った。「いいえ、聞いてません」茜からはそんな話は一度も聞いていなかった。山西先生は「そうですか……」と呟いた。実はすでに予想はしていた。それでも、きちんと玲奈に伝えたかったのだ。玲奈は淡々と答えた。「誰か付き添えば、それでいいです」玲奈のこうした態度はこれが初めてではなかった。山西先生は小さくため息をつき、「分かりました」と返した。玲奈は軽く礼を言ってから、その場を後にした。車に戻り、会社に到着して間もなく、また優里と正雄が来訪したとの報せが入った。前回優里と顔を合わせたのは、ただのついでだった。彼女も礼二も、大森家と手を組むつもりなど一度もなかった。その連絡を受けると、礼二は即座に対応を任せ、彼らを帰らせるよう指示した。まもなく、礼二の携帯に一本の電話がかかってきた。着信名を確認した礼二は、ちらりと玲奈に視線を送った。玲奈は顔を上げた。「智昭か?」「そう」玲奈はもう、智昭の意図を察していた。だが特に反応を見せず、黙々と仕事を続けた。礼二は通話を繋いだ。「藤田さん」電話越しに智昭の声がした。「湊さん、あとで一緒に食事でもどうですか?」礼二は回りくどい言い方をせずに切り込んだ。「藤田さんのこの電話、大森家のためですよね?」智昭は肯定した。「そうです」礼二は軽く笑ってから、はっきり
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