Semua Bab ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ: Bab 111 - Bab 120

129 Bab

17-7.レイカ、いよいよ辻女ヴァンパイアーズを立ち上げる

「なあ、レイカ。お前、とんでもねーことしてきたな。くわばらくわばら」「なんのことよ」「お前はこの期に及んでしらをきる気か?」「なんか、時代劇っぽいね。ヒマワリの言葉」「お、人の気にしてることをズケズケと。ずっとここに閉じ込められてっから、普段TVばっかり観てんの。でもな、ここのTV、いろいろ壊れてて、昼しか観れなくって、やってるの火サスとか時代劇の再放送しかねーんだ。わるいか?」 そーいえばここのTVってば、いまどきチャンネルだ。地デジとかどーなってるの?「じゃ、鬼へーとかみてたんだ。火サスもウチ好きだよ」「だから、その危機感のなさはなんだよ。お前死にかけてんだぞ」「あ、そうだった。でさ。ウチ何したの?」「ったく。殺しだろーが」ヒマワリのなっがーい説明。 つまり、ウチはザ・デイ・ウォーカーのセーヘキを生かして、辻沢のヴァンパイアたちの肉親を殺しまわってる殺吸血鬼鬼(ややこしーな)ってことにされてて、その審判が今夜行われるから、ギジドーにミナサンが集まってて、結果によってはウチは打ち首ゴクモンになる。ってことでいい?「まあ、そんなところだ」 ヒマワリ、鼻くそほじってきったない。それをどこにやる? 町長の名札になすくってるよ。「まさか、ミワちゃんやナナミはもう?」「コロシやったのはレイカだろ。どうしてミワやナナミが罪かぶんなきゃならないんだよ」「ウチら仲間だもん」「お前は、ミワたちに連行されて来たんだぞ」 ?「わっかんねー奴だな。お前はミワに刺されたの」 ? ?「辻女ヴァンパイアーズは、ヒマワリを救い出すため町長を倒しに来たんだよ」「なんだヴァンパイアーズって。NBAにそんな名前のチームあったか?」「ちがうよ。ミワちゃんとナナミと一緒に付けたウチらのチームだ」 よっし、決まった。「まったくショーもねーな。ミワもよくまーこんなボケとつきあってたな。ま、それもこれも、この殺人鬼を連れてきて、ウチをここから解放するためだけどな」 あ、殺人鬼でいいのか。いやいや
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-10
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17-8.レイカ、いよいよ辻女ヴァンパイアーズを立ち上げる

「やっべ。火サスみてーに、ついペラペラしゃべっちまった。なんせ、こんなに人と話すのは二年半ぶりなもんで」「ヒマワリ。大変だったね」「ああ。泣けるよ」 ヒマワリが食べ終わったドカ盛り白桃ゼリーの容器を部屋の隅のゴミ箱にシュートした。キレーな放物線を描いて、町長室を斜めに横切って、壁にかかったおもちゃのゴールボードにあたってゴミ箱に吸い込まれた。「よっしゃ!」 やった!(小声)「ま、レイカが殺人鬼云々の話は、お前を陥れるポンチ絵だ」(「チョーくん。このパワポにシステム構成のポンチ絵入れといてくれる?」)(「ササマダラが。シラベだっつーの。いーかげん人の名前くらいちゃんと覚えろよ。ねーねー、ユメカ。ポンチエってなに? おいしーの」)(「ばっか、レイカ。図面のことだよ。ササマダラは、わざとあーいうの。貫禄出そーと思ってか」)(「ばっかじゃなーい」)(「ねー。若いくせに」)「誰がウチを陥れたの?」「レイカのボケは全然治ってねーな。ハナゲオヤジに決まってるだろ」「町長がなんで?」「そりゃ、保身だよ。保身。ゲームで儲けようってのはよかったんだけど、やりすぎて辻沢のヴァンパイアに手を出したのがまずかった。それで皆さんがお怒りになってて、誰かを犠牲にしなけりゃ収まらなくなってる。あのマダラはげ、アー見えて小心者でよ」 あー、なんか分かる。自信なさそーな感じ。何かにすがってなきゃやってられない感じ。「ほれ、ここにカメラ、これもそうだ。あっちの棚の上にも。この名札には隠しマイクだ。あーあー、ただいまテストのマイクちゅー」 隠しカメラだらけの部屋なんだ。「こうやって逐一監視しないと落ち着かないらしい。ま、小心者ゆえの猿知恵と行動力はたいしたもんだがな」 そなの?「シオネが行方不明になった時、すぐさまウチを行方不明にさせた、とかな」「シオネが行方不明になった時? ヒマワリを? 逆だよ、順番」「それが逆じゃないんだな。シオネは、ウチの捜索願が出される前に、すでに行方不明になってて、非公開捜査状態だった。それを助役とい
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17-9.レイカ、いよいよ辻女ヴァンパイアーズを立ち上げる

「ヒマワリさん、ごきげんよう」 うげ。お前が言うな。「寮長先生、ごきげんよう」 寮長先生? ヒマワリの声ちっさ。「おや、殺人鬼さん。町長の名において、アタシがしっかり成敗してあげますからね」 町長なの、これが? ウチがこの間会った町長とはまったくの別人。どういうことヒマワリ。あれ? ヒマワリはどこ? 部屋の隅で縮こまってる。「ところでヒマワリさん。いつまで大塔宮女子学院の冬季制服を着ているのです?」「はい。申し訳ございません。寮長先生」 さっきの威勢はどうしたの? ヒマワリ、なんでこんなところで服脱ぐの? 制服の下、ブラとショーツしか着けてないんだ。ヒマワリすごく痩せちゃったんだね。あのしなやかだった体はどこいっちゃったの? 背骨、曲がってない? 肩甲骨が飛び出て見える。どうしたのその背中、傷の跡がいっぱい。 ヒマワリは、そのままの姿で脱いだ制服をショーケースのマネキンに着させると、テーブルの上の丁寧に畳まれた違う制服を着はじめた。今度のは胸に三つ葉の模様のついた明るい緑のやつ。「三ッ葉女子学館高等学校の夏季制服に着かえました。寮長先生」「そう、それでいい」「二時間ごとに着替えて私に見せに来る。約束を破ると」「鞭で打たれます。寮長先生」「今回は、私が来てさしあげたからいいようなものの、そうでなかったら」「鞭で打たれます。寮長先生」「よろしい。こっちに来なさい」 ヒマワリは体を固くして、動こうとしない。「もう一度いいます。ヒマワリさん。こっちに来なさい」 やっぱり動かない。「命令に背くと」「鞭で打たれます。寮長先生」 ヒマワリの声、震えてる。「制服の裾を上げ、向うをむいて、壁に手をつきなさい。早く!」 メタボの町長が、机の引き出しから鞭を出して手にすると、牙の生えた口の端から汚い色の涎をたらし、ヒマワリのいる方へ歩み寄っていく。  ヒマワリ、ヒマワリ、ゴメンね。ウチ何にも知らなかった。違う。知ってた。ヒマワリがパパのことで悩んでるの知
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17-10.レイカ、いよいよ辻女ヴァンパイアーズを立ち上げる

 長い長い時間が過ぎてやっと、音が止んだ。メタボの町長がウチの前を横切って机に屈んだ。荒い息をしている。その横顔はもう人のものじゃなかった。「女の子たちを寄越しなさい」 インターフォンで人を呼んだ後、ウチの方に歩いてきて、「すぐに罪を償わさせてあげよう」 と言って、そいつは町長室から出て行った。 ヒマワリ。どこ? 大丈夫? じゃないよね。「あー、うぜー。どんだけSなんだよ。マダラハゲめ」 ヒマワリがよろよろしながら、ウチの目の前まで来て町長の机に腰かけた。ん? ヘーキな顔してる。「こんなのを何年も続けて、バッカじゃないのかね。何が寮長先生だよ」「大丈夫? ヒマワリ」「心配すんな。この程度のこと」「ホントに? すごく痛そうだった。辛そうだよ」「辛くない。痛みなんて三ヵ月で感じなくなったし」「でも悲鳴を」「ああすっと、すぐやめっからさ。あ、これオフレコな」(小声) あんがい、ホントなのかも。「家にいた頃のほうが辛かった」「コーコーのころが?」「忘れろ。お前には関係ない」 なんか核心ついた感じ?「もとい、ヘンタイオタどもの退屈さに比べたらまだましな部類だ」「ヘンタイオタ?」(「すでに制服着てらっしゃるエリ様に、どうやって着ていただくんだ」)(「……生着替え」)「やっぱり制服聖女エリ様はヒマワリなんだね」「どうしてそれを知ってる? そうか、セイラだな」 また鼻くそほじって。「あのゲームとSNSの仕様は全部ウチが決めた。打ち合わせもウチが仕切った。町長室広報としてな。3年前だ。その打ち合わせでセイラが端っこの席で一生懸命メモ取ってた。最後までウチのこと分からなかったみたいだったが」 鼻くそ、こっちにはじくなって―の。「セイラが? なんで」「あいつの勤め先のYSS。そこに役場が発注した」「そうなんだ。それで、どうしてわざわざ自分でキャラになったの」
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17-11.レイカ、いよいよ辻女ヴァンパイアーズを立ち上げる

「なーに、鳩豆な顔してんだ。親が呼んだんだろ」 ほんとだ、地下室の時みたいに落ち着きがない感じ。「じゃあ、やっぱり、ヒマワリのパパが?」「チゲーだろな。マダラハゲのゾンビはみんな蛭人間になっちまうから。せっかく制服の似合う子を見つけても、血吸ったら蛭人間になるって嘆いてたぞ。バカだろ」 永久に嘆いとけっての。それじゃあ、だれが親なの? ココロとシオネがウチの横に立って、両脇から抱えた。ちょっとココロ、脇の下くすぐったいよ。シオネも。抱え方、もうちっとなんとかならない?「ヒマワリは? 一緒に行こうよ。こんなとこ出よ」 てか、ウチどこに連れてかれんの? 「ばかだな、お前と一緒に出てったらウチがお前に味方したってことになるだろ。ミワが命かけてるってのにそれはできねーの」「そか」「ごシューショーサマ。レイカはこれからハリツケゴクモンっと。じゃ、またゼリーよろしくな」 死んだらゼリー届けらんないでしょが。扉しめちゃった。ヒマワリってば。ねーヒマワリ。ヒマワリは来ないな。決めたら梃子でも動かない。いいよ、ココロ、シオネ。行こう。連れて行って。 細い廊下だね。今、後ろでドスンっていった。町長室の中で。ヒマワリ、やっぱり。ごめんね。ウチまた見て見ぬふりした。立っていられるはずなかったんだ、あんなことされて。顔色一つ変えないで、ウチのこと心配させないように。さすがウチらのキャプテンだよ。ジブンがふがいない。涙とまらない。 ココロ、シオネ、脇くすぐったいって。それと、ゆっくり引っ張ってくれる? 進むタンビに胸の木刀が痛いんだよね。抜いてくれっとありがたいんだけどな。それはダメなのね。 議事堂の扉の前まで来た。ん? ここで待ってるの? ギジドーの中に入っちゃだめなのね。わかったよ。おとなしく待ってる。横から見るとギジドーってこうなってたんだ。ミワちゃんとナナミどこだろ。メタボ町長が前に出てナンカ演説してる。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-14
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18-1.ヒビキは仕事に疑念をさしはさむ

 展望エレベーターだけ稼働してる。今もだれか昇って行ったけどこれは使えないな。 「ユサ、サーバー室、何階だっけ?」 「鯖? 7階」  西棟の階段は外に入り口があるんだっけ。あれ? ドア開かない。鍵掛かってるのか。しかたない外階段を昇るか。今日は風はそれほどでもない。戦える服って、思い付くのがこれしかなかったんだけど。ニッカボッカスタイルは乙女としてどーよってのは置いておく。ユサはユサでどうしてゴスロリなの? それ戦える服? 似合ってるからいいけど。駐車場、結構車停まってる。ノーブルシャイニングホワイトのエクサスはっと。えーと、あった。隅っこの方。この仕事を今晩の12時までに方付けられれば、あれはあたしのものっと。 「ヒビキ、なにムフムフしてるの?」 しまった、つい。 ここの階、廊下しかない。左はずっと壁で、右側の窓から上の議事堂の円盤が見えてる。一番奥に扉。秘密基地か? 重そうな鋼鉄の扉。厚さどれくらいあるんだろ。小窓開いた。 「誰だ?」 「システム監理のユサです」 中の人、眼光鋭い感じ。 「合言葉は?」 マジか? 「宮本君。ふざけてないで、早く開ける」 「すんませーん。カードかざしてくださいね」 いかにも重そうな音をたてて扉がゆっくりと開いた。 扉、ぶあつ! 10センチ? 15センチ? 「ユサ先輩、何かのイベントですか?」 「あ、この格好? そう、今夜は町長主催の仮装会議」 「えー、いいなー、ボクも参加したかったなー」 「今度、上に頼んどいてあげるよ」 「ホントすかー、あざーす。えっと、そちらの方はー」 「この人、本社の人」 どうぞお入りください(無声)。 こんばんは。あなた大丈夫? 青い顔してるけど(無声)。 眼光鋭いんじゃなくって、疲れて落ち窪んでるんだね。 床高くなってる。 なに? スリッパに履き替えろって?  ゴミとか極力サーバー室に入れないためですか。ナルホド。 すごく涼しい。中だだっぴろ。まったく窓がない。唸
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-15
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18-2.ヒビキは仕事に疑念をさしはさむ

 8階。ここが情報管理室。ジョーシツね。 誰もいない。ユサ、さっそくPCに張り付いてる。作業完了? 早いね。 「これ借りて行きまーす。明日、返却しますのでって、誰もいないけど、一応」  でっかいバインダー。 「それ何?」 「システム設計書。入社したての頃、セイラが命がけで作ったの」  命がけで? 頑張り方あってたんじゃない。 「でも、あいつが全部横取りした」 「あいつ?」 「YSS 砂川システム開発部チーフ」 「誰それ?」 「長坂モンキーズ幹事、ハンドルネーム、エイプ100」  あ! 「そう。ヒビキのおかげで、セイラ、SEに返り咲き!」  そうだったんだ。そういうことなら、あたしも死にそこなってよかったよ。 「さ、セイラ。議事堂へ」  セイラ、どうした? 立ち止まって。 「……やっと、仕事で名前呼んでくれたね。カリン」  また泣く。いままでごめんね、セイラ。 「ほら手を貸しなって、急ぐよ」 「うん」  上の階へ。「ジョーシツの管理PCでしてたことって」 「議事堂にネット繋いどいた。スレッターの動画見てもらうために」 センプクさんたち、待ってるな。ここからは、中階段。  わ! ドア開けたら蛭人間だらけ。 セイラ下がって! ドア閉め! あぶなかった。でも、なんだか静かだな。もういちど覗いてみよう。逃げる準備して、開ける! 閉める! 動きなし。ひょっとして。 「カリン。ここの蛭人間、襲って来ないんじゃない?」  それ、考えてたところ。 理由は分からないけど、蛭人間反応ない。8階から10階まで2階分上がるだけだな。水平リーベ棒しっかり持ってっと。 「セイラ。なるべく音立てないように」  蛭人間、ゆっくり下に移動してる?   刺激臭で息できない。虫の巣に入ったみたい。足元がぬらぬらしてる。粘液状のものが床から壁から覆い尽くしてて、きもい。すごい数の改・ドラキュラやカーミラ・亜種が列を作
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-16
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19-1.レイカ、無理やりコートに引っ張り出される

<……以上の報告をもって、辻王シラベレイカは、みなさんの大切なご親族を殺害したことが証明されましたので、辻王いや、殺人鬼シラベレイカの刑執行の決を採とりたいと思います> 上の席にいる人たち、ママのお葬式で見たオジサン、オバサンたちだ。何人ぐらいだろ。五十人はいるかな。前の方に札付きの席が六席。知らないオジサンがいる。「ロ乃辻」だって。ミワちゃん、いたいた。一番向うの「辻一」の席に座ってる。ナナミも、その後ろの席だ。札見えないけど、「五カ辻」の席かな。あとは、「辻まん」と「辻王」と「血樽」? いや「乳垂」だった。真ん中のが、うちの「辻王」なのかな。ニーニー、来る気ないよね。来たら助けてくれるかな、あの人。部屋から出て来ないか。無理だな。「辻まん」は町長だから、あとは「乳垂」だけど、左側の席、誰も座ってない。前の大きなモニターに議席名ってある。辻王:除籍辻一:出席辻まん:出席ロ乃辻:出席五カ辻:出席棒辻:欠席うちは除籍だ。ニーニーがサボってるからだよきっと。「乳垂」なんてないな。その代わり「棒辻」が入ってる。高倉さんの席なんだ、あの空いてる席。「それでは、賛成の方、ご挙手を」まって、なんで全員賛成なの? ミワちゃん? ナナミ? 知らないオジサンまで。ミワちゃんこっち見てよ。おーい。ミワちゃーん。ナナミー。そんなでたらめに賛成しないでよ。「賛成、4票。棄権、1票。無効、1票。よって、賛成多数で辻王シラベレイカの処刑は可決されました」場内拍手。ミワちゃんも、ナナミも拍手してる。なんで?割れんばかりの拍手ってやつ。「それでは、辻王シラベレイカを法廷(コート)に引っ張り出します」 扉開いた。マダラハゲがミワちゃんになにか合図を送ってる。ちょっと、ココロ、シオネくすぐったいっての。もー少しやさしく運んでいただきたいのです。胸、痛いし。 ギジドーの真ん中に引っ張り出されちゃったよ。ライトがまぶし
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-17
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19-2.レイカ、無理やりコートに引っ張り出される

 シオネがウチの目をジッと見て言った。 「レイカ、オレたち友だちだよな」 「さ、返事をしなさい」  うるさいぞ、マダラハゲ。お前に言われなくても返事するんだって。もうウチはシオネたちに血を分けることしか役に立てないんだもん。  近いね。シオネの顔。シオネがこうなってから、ちゃんと顔を合わせるのって初めてだ。 シオネってこんなにかわいかったっけ。 なんだか、ファーストキスのときの乙女みたいじゃない?  こんなこと言ったらシオネいやがるね。 目の色、深い灰色だったんだね。キレイ。瞳の中に何か見える。 深い、深い暗闇の中に。  レイカ!? 星空。遠い街並み。山影。吹きすさぶ風。冷たい雨。ざわめく森の木。落ち葉。倉庫。コウモリ。空腹。脇。リスのしっぽ。歯がゆさ。稲の香り。田んぼのぬかるみ。カエルの足。玄関の扉。懐かしさ。父の顔。怒号。刃物。驚愕。火。恐怖。炎。焼け落ちる家。冷たい水。寂寥。ドブの臭い。ハゲデブ。ネズミの死骸。敗残。朝日の恐怖。土の臭い。ムカデ。ゲジゲジ。ダンゴ虫。駐車場の光。金色。友だち。セイラ。バスケ。温もり。レイカ! 「レイカ。オレたち友だちだろ」 「うん、シオネ。友だちだよ」  シオネがウチの首筋にかぶりつく。 いたくないよ。シオネ。いっぱい栄養付けて風邪ひかないようにね。 「レイカ。ウチら友だちだよね」  ココロ。 ココロ、こんなにきりっとした顔立ちだったんだね。 やさしい顔をしてると思ってたけど、強い気持ちが現れたきれいな澄んだ目をしてる。 青みがかった黒い瞳。 ココロの目の中は、さびしい色だね。  レイカ!? 暗い夜道。森。獣の足。変なオジサン。疲労感。山道。原っぱ。脇。重い足。風。月の光。町の灯。川の水。冷たい。魚。カエル。ママ。パパ。車。部屋。怒声。ネコたち。足。コンクリートの壁。ママ。温もり。泣き声。檻。すすり泣き。柵。泣き声。扉。静寂。扉。コンクリート。檻。変なオジサンたち。辛い。コンクリート。扉。檻。カリン。うれしい。カリン。すき。変なオジサンたち。嫌い。コンクリート。扉。檻。冷たい床。ロッカータンス。ゼッケン。うれしい。カリン。バスケ。温もり。レイカ! 「レイカ。ウチら友だちだよね」 「そうだよ、ココロ。ウチら友だちだよ」  ココロもウチの
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-18
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20.ヒビキはプロジェクトの行方を伺う

やっと着いた。服がどろどろ。 セイラも?  あたしのほうがひどい。 うえー、臭いよ。議事堂の前、誰もいない。 中で人の声する。 隙間からのぞいてみよ。 壇上でしゃべってるのは、きっとヘンタイ町長が変態したハゲメタボだ。 何言ってるのかよく聞こえない。 (町長の声まねで)「えー、アタシはただのセーヘキ持ちのヘンタイハナゲオヤジなのでー、どうかいますぐ、すり潰していただいてですねー」 「カリン、キャプションつけてるよ」  あ、つい。女バスの癖が。傍聴席は満員の人。人? ヴァンパイア?  「ヒビキさん」  おっと、びっくり。振り向くと、 「お師匠さん」 「たくさん冒険をして来られたようですね」  冒険って言えば言えるかな。 「きっとよいお声がでるようになったことでしょう。ちょっと聞かせてくださいませんか?」 「ここでですか? それより、どうしてお師匠さんが?」 「そうそう、私も呼ばれたのですが、席があんな前なので入りづらくて。度々このような場に呼んでいただくのですが、いっつも席順が高くって結局帰るなんてことが……」  傍聴席の前の方に6つだけ席があるけど、あれのこと? 「どの席ですか?」 「あの、右端の席です」  最右翼ってことか。で、よく見ると左翼にセンプクさんとスオウさんが座ってる。ナニゲに北村シニアマネいるし。  「カリン、前のモニターに、名前が6つ挙がってる」  六辻家ってあって、 辻王:除籍 辻一:出席 辻まん:出席 ロ乃辻:出席 五カ辻:出席 棒辻:欠席 「お師匠さんって、六辻家なんですか?」 「六辻家ではないのですけど、棒辻は私のことです。あれあれ欠席になってますね」 「誰か、引っ張り出されてきた」 「レイカ様ですね」  ホントだ。胸になんか刺さってるけど、大丈夫か? 「お師匠さん、シラベレイカをご存じなんですか?」 「はい、ようく」  どういう知
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-19
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