【同日 夜/自室】 (学校の教室から、夜の自室までとばされてる。これは、もう早くおまじないをしろってことだよね) 穂香の目の前におまじないをするかしないかの選択肢が現れたが、迷うことなく「する」を選んだ。 (確か、この紙を枕の下に入れて寝るんだっけ?) 枕の下におまじないの紙を入れてから、穂香はベッドに仰向けになった。これで好きな人の夢が見れるらしい。 (そんな都合のいいことが……。たぶん、起こるんだろうなぁ、ここは恋愛ゲームの世界だし) 目を閉じると、すぐに眠りに落ちていった。 * 【夢の中/教室】 (あっ、無事に夢が見れたみたい) 教室には、穂香の他にもう一人いた。 (誰だろう?) 真っ白な服に、同じく真っ白な帽子をかぶっている (軍服のような、着物のような……) 白い軍帽の下では、長い赤髪が風に揺れていた。切れ長の赤い瞳に冷たい横顔。それは、確かに見覚えがあった。 「もしかして、穴織くん?」 穂香の問いかけに反応して、こちらをふり返った人は、確かに穴織の顔をしている。しかし、その顔からは表情が抜け落ちていた。 「えっ? 穴織くん、だよね?」 うつろだった赤い瞳の焦点が、徐々に定まり「……白川さん?」と呟いたとたんに、いつもの穴織の顔になる。 「どうして、白川さん
Terakhir Diperbarui : 2025-04-20 Baca selengkapnya