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《11番外編》もし、穴織と恋愛していたら⑩

last update Last Updated: 2025-04-25 11:01:46

穴織の姿が見えなくなると、風景が変わる。

【同日 夜/自室】

(あれ? 次の日まで飛ぶかと思ったら、まだ夜だ。ということは、何かイベントが起こるかも?)

しかし、もう夜も遅いので、涼はもちろんのこと、サポートキャラのレンもいない。

(私は何をしたらいいの?)

部屋の中を見渡すと、机の上におまじないの紙を見つけた。

(これ、前に使ったやつだ。おまじないは、この紙を学校のどこかに埋めたら終わりって涼くんが言ってたっけ)

ということは、このおまじないは、まだ終わっていないということ。

(もしかして……)

穂香は使用済みのおまじないの紙を枕の下にもう一度入れた。ベッドに入り、目をつぶるとすぐに意識がまどろんでいく。

*

【夢の中】

教室に、白い制服を着た涼が立っていた。それは、昨日見た夢とまったく同じ光景だった。

(やっぱり! このおまじない、まだ終わってなかったんだ!)

長い赤髪が風に揺れている。光る武器を持ち佇む涼は、穂香に気がついていない。

『来たのか、娘よ。確か名は穂香じゃったかの?』

「はい。えっと、あなたは涼くんのおじいさん、ですよね?」

『まぁ、そんなものじゃな。おぬしには、特別に【おじいちゃん♡】と呼ばせてやろう』

冗談なのか本気なのか分からないので、とりあえず穂香は「あ、ありがとうございます」と返した。

「じゃあ、おじいちゃん。涼くんは、どうしたんですか?」

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