そして見事に学科試験を突破した。落ちるかと思っていたから嬉しい……。「良かったわね。櫻井さん」「うん。ありがとう」 一緒に教習所に通っている木田がお祝いの言葉をくれた。木田とは、一緒に通っていて、年も近い。そのせいか、どんどんと仲良くなった。 後は……技能講習と試験のみ。もっとも難しくて、これで落とされる人も多いらしい。「やっぱり、実際に運転してみると難しいものなの?」「えぇ、もう大変。見ているのと、やってみるのでは全然違うから、覚悟した方がいいわよ」 そう言われてしまう。覚悟か……。 何だか余計にプレッシャーになってしまう。上手くできるだろうか? ココから担当の教官(教習指導員)の元で合格が決まる。 (怖い人が当たりませんように) そう祈りながら名前を呼ばれるまで待合室で待つこと数十分。「櫻井さん。櫻井亜季さん」「あ、はい」 亜季は慌てて呼ばれた方を見る。そうしたら意外な人物に遭遇してしまった。 その人物は青柳だったのだ。「えっ? 松井さん?」 目の前に立っているのは間違いなく青柳だった。「えっ? 何で……こんなところで!?」 意味が分からずに亜季は困惑してしまう。するとハッとする。 そういえば自動車関係の仕事をしているって、前に言っていたような気がする。 あの時は櫻井課長のことで頭がいっぱいだったから。 改めてお礼を言うために、慌てて頭を下げた。「あの時は、本当にありがとうございました」「上手くいったようだな。苗字が変わっていたから気づかなかった」 物静かな言い方をする青柳。 あぁやっぱり。相変わらず雰囲気や口調が櫻井課長に似ていると亜季は思った。「はい、お陰様で。無事に結婚して、現在一歳になる息子も居ます」 少し照れたように亜季は報告をする。青柳には本当に感謝しないといけない。 この人が背中を押してくれなかったら自分は、ずっと後悔していただろう。 海外まで追いかける勇気なんて持てなかった。「お礼を言われる必要なんてない。俺は、あくまで自分の意見を言ったまでだ!」 青柳は目線を逸らしながら。そう言ってきた。(フフッ……相変わらず無愛想な人ね) 照れると目線を逸らす癖なんて本当に櫻井課長に似ている。 親戚や兄弟だと言われても亜季は信じてしまうだろう。「フフッ…お仕事は教習所の教官だったんで
Last Updated : 2025-04-04 Read more