その言葉を聞き、敦も迷い始めた。今の彼は、完全に板挟みの状態だった。「それは......」敦は気まずそうに頭をかき、どうすべきか分からずにいた。紗雪は、彼が逡巡している様子を見て、内心では少し首をかしげたものの、はっきりと口を開いた。「柿本社長が悩むのは分かります。でも、とてもシンプルな解決方法がありますよ。自分の本心に従ってください。あなたはいったい、誰と組みたいんですか?」「誰と組みたいかは......二川さん、あなたの考え次第です」その言葉は、敦の口から思わず飛び出していた。紗雪はそれを聞いても、すぐには反応できず、席に座ったまま一瞬固まった。「柿本社長、それはどういう......?」敦は、彼女の疑うような視線を受けた瞬間、言ってしまったことを後悔した。もし紗雪が察してしまったら、京弥の存在を露呈してしまう。そうなれば、後でどう説明すればいいのか分からない。「深い意味はありません」敦は気まずく乾いた笑いを浮かべる。「前にも言った通りです。私はただ、二川さんの実力を評価している。それだけです。あなた個人と組みたいと」紗雪は少し考え込んだ。実のところ、彼女自身も迷っていた。すでに二川グループとは関係を断ち、完全に離れた身だ。この案件を、そのまま二川グループに回すことには、正直なところ抵抗がある。「でも、ご覧の通りです」紗雪は悩ましげに続ける。「スタジオは、すぐに完成する状況じゃありません。もしプロジェクトを遅らせてしまったら、どうしますか?」その言葉に、敦もまた頭を悩ませた。彼女の言うことはもっともだ。プロジェクトが最優先なのは間違いない。遅れれば、最終的に損をするのは自分自身だ。しかし、京弥のことを思うと、簡単に決めるわけにもいかない。まさに進退窮まる状況だった。「ですが......」敦はしばらく言葉を探したものの、結局うまく続けられなかった。紗雪は、彼の真意を察した。そこで、彼を助けるように口を開く。「では、一つだけお聞きします。柿本社長は、二川グループと組みたいですか?」「もし二川さんが二川グループにいれば、私は迷わずグループの方と組みます」その答えは、先ほどまでとは打って変わって、迷いのないものだった。それを聞いて
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