記者は最後に気まずそうな笑みを浮かべた。「どうやら篠塚さんは、二川さんについてかなりお考えをお持ちのようですね」「私はただ事実を話しているだけです。皆さんも二川紗雪の経歴を調べて、この番組がどれほど価値のあるものなのかをご自身の目で確かめてください」千弦は堂々と言い放った。「実は私もこの番組に参加します。ただし出演者ではなく、審査員としてです。その時に、二川さんが本当に実力のある人物なのか、この目で確かめてみたいと思っています」その言葉に、記者たちの間で一気にざわめきが広がった。まさか帰国早々、こんな大きな話題が飛び出すとは誰も思っていなかった。名家同士の内幕など、本来なら簡単に知ることのできない話だ。それなのに、いきなりここまで刺激的な展開になっている。二人は事実上、真正面から対立する形になった。渦中にいる京弥が、この状況をどう受け止めるのか。誰もが気になって仕方なかった。しかも現場の取材は生配信中である。すでに多くの視聴者がこの騒動に注目していた。千弦の発言が配信されるや否や、彼女の言葉を切り取った投稿が次々と拡散され、一部の視聴者はすでにセイユキの公式アカウントへコメントを書き込み始めていた。そしてこの瞬間、「グランドスペース」公式SNSも再び炎上状態となった。千弦はもともと誰もが憧れるカリスマ的な存在だった。新時代を代表する女性として知られ、自ら率いる企業も新たな高みに到達している。家柄を抜きにしても、彼女が設立した会社は国内外で高い評価を受けており、世界トップクラスの企業との実績も数多い。さらに長年にわたって京弥と仕事を共にしてきたことから、人々は彼女の実力に絶対的な信頼を寄せていた。それに対して紗雪は、ここ最近になってようやく頭角を現したばかりだ。彼女のスタジオもまだ規模が小さく、目立った受賞歴や実績も少ない。強いて言えば柿本敦との仕事が知られている程度だった。そのため、千弦と紗雪のどちらを支持するかと問われれば、答えは明白だった。千弦もそれを理解している。自らの知名度と巨大なファン層を背景に持っているからこそ、彼女は公然と紗雪へ挑発的な言葉を向けることができた。そして彼女は、たとえ京弥が紗雪と結婚していたとしても、それほど深い意味はないと考えていた。
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