何の前触れもなく突然帰ってきたうえ、その態度も明らかに攻撃的。緒莉はどうしても落ち着かなかった。もしかして紗雪は、すでに何らかの証拠を掴んでいるのではないか。そんな不安が胸の奥で膨らみ続ける。緒莉は乾いた笑みを浮かべ、先に口を開いた。「きっとお母さんに会いたくなって帰ってきたのよね。だって、こんなに長いこと顔を合わせていなかったんだもの」「先週の食事会で会ったばかりじゃなかった?」「......」――この忌々しい紗雪。わざと自分に逆らっているのだろうか。なぜ自分が何か言うたびに、こうしてことごとく水を差してくるのか。まるで生まれつきの宿敵のようだった。もっとも、紗雪自身はまさにそのつもりだった。嫌いな相手がいるなら、それを隠すつもりはない。彼女は昔から、人に媚びへつらう性格ではなかった。緒莉がここまで露骨に敵意を向けているのだから、自分だけが愛想よく振る舞う理由もない。自分たちは最初から敵同士なのだ。紗雪は遠慮なく本題に入った。「私が今日ここへ来たのは、ネットで騒ぎになっている件についてよ」だが、彼女が話し終える前に美月が口を挟んだ。「その件なら私も少し聞いているわ」美月はきっぱりと言う。「でも二川家を頼ろうなんて考えないでちょうだい。そういう問題は自分で解決するべきよ。あなたはもう立派な大人なんだから、少し問題が起きたくらいで母親を頼りに帰ってくるつもり?」その言葉を聞いて、紗雪は心底呆れた。いったい自分のどの発言が、助けを求めに来たように聞こえたのだろう。そんな勘違いをされる理由が分からない。そもそも助けが必要なら、京弥に頼んだ方がよほど早い。そう思った紗雪は、遠慮なく口にした。「もし本当に助けが必要なら、京弥に頼む方が早いと思うけど」美月は一瞬言葉に詰まった。確かに、その通りだった。「......じゃあ、何をしに来たの?」「さっきも言ったでしょう。ネットの件についてって」紗雪は美月に向かって話していたが、その視線は終始緒莉を捉えていた。「あなたたちに説明してもらいたい」そしてゆっくりと付け加える。「特に――あなたにね緒莉」その瞬間、緒莉の体がびくりと震えた。――まずい。胸の奥で警鐘が鳴る。美月は不思議そ
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