「あ、あの…私では判断することが出来ません。申し訳ございませんが安西先生から明日香さんに話を聞いていただけますか? お願いします」朱莉は契約結婚の秘密を話していいのかとても自分では判断を下すことが出来なかった。(だって翔先輩からこの契約婚はビジネスだと言われたから……!)朱莉はその時のことを思い出し、悲しい気持ちになってしまった。下を向いて俯いてしまった朱莉を見て安西は声をかけた。「何か深い事情がありそうですね……。いいでしょう、私から明日香君に連絡を入れてみますよ」そして安西はすぐに明日香にメッセージを打ち込んで送信し終えると朱莉を見た。「すぐに返事が来るかどうか分かりませんのでこちらで調べて今現在分かっていることを報告させていただきますね」「はい、よろしくお願いします」「今のところ、鳴海翔さんと秘書の女性、姫宮静香と言う女性とは特に親しく交際しているような雰囲気は無さそうだと調査員として動いているうちの若いスタッフがそう報告してきていますね」「そうですか」朱莉は胸を撫で下ろした。「ですが……少し気になる情報を入手いたしました」「気になる情報……ですか?」安西の言葉に朱莉の胸がドキリとした。(そう言えば翔先輩は新しい女性秘書の存在を九条さんには内緒にしていたと言ってたっけ……。そのことと何か関係があるのかな……?)その時。「おや? 明日香君からメッセージが届きましたよ。どうやら電話で私と話したいらしいですね。朱莉さん。すみませんが明日香君と話をしている間、少し席を外していただいてもよろしいですか? 個人情報に係わる話が出てくるかもしれませんので」「はい、分かりました。では一度外に出ていますね。丁度向かい側に本屋さんがあったのでそこにいます」朱莉は一度事務所を後にした。**** 本屋さんで雑誌を手に取ってパラパラとめくってみるも、明日香と安西の話の内容が気になって、少しも内容など頭に入ってこなかった。何度目かのため息をついたとき、突然背後から声をかけられた。「朱莉さん。お待たせしました。話が終わったので事務所に戻りましょう」「はい」事務所に着くと、安西がコーヒーを淹れてくれた。事務所にはコーヒーの良い香りが漂っている。「いい香りですね……」朱莉はコーヒーの香りを吸い込む。「ハハハ……実は私は少しコーヒーにうるさ
Last Updated : 2025-04-18 Read more