บททั้งหมดของ 偽りの結婚生活~私と彼の6年間の軌跡 偽装結婚の男性は私の初恋の人でした: บทที่ 231 - บทที่ 240

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9-9 再会 1

「いやあ~本当に偶然ですね」安西が朱莉の前でアイスコーヒーに手を伸ばした。「ええ……驚きました。まさか沖縄にいらしていたなんて」朱莉はアイスカフェオレを飲みながら、チラリと安西の隣に座る茶髪に染めた青年を見る。安西の隣に座る青年は安西航(わたる)。安西の息子で22歳、彼の事務所でスタッフとして働いているらしい。今回、翔と姫宮の関係を調べてくれたのも彼である。「え~と……航君? この度は色々知らベて頂いてありがとうございます」「ウッ! ゴホッ!」突然航は咳き込んだ。「あ、あの大丈夫ですか?」朱莉は驚いて声をかける。「何ですか……。いきなり君付けなんて」ジロリと航は朱莉を見た。「あ……ご、ごめんなさい。年下だったのでつい」「まあまあ、航。別にいいじゃないか。君付けで呼ばれたって。いやあ~しかし本当に沖縄は暑い所なんですね~」安西の言葉に朱莉は頷く。「そうですね。東京も暑いですが、沖縄は東京とはまた違った暑さですよね。湿度が高いせいでしょうか?」「成程……確かに外の気温を現す電光掲示板に湿度が表示されていたのですが、気温は東京の方が高いのに、沖縄の湿度が83%になっていたので驚きですよ!」安西は大袈裟な身振り手振りで説明する。「あの、それで今回は何故沖縄に? もしかして親子で旅行ですか?」朱莉が尋ねると、安西は頭を掻いた。「いや〜旅行だったら……良かったんですけどね……」「成人した男が父親と2人で旅行に行くはず無いでしょう?」ブスッとした様子で航が言う。「それじゃお仕事ですか。大変ですね。東京からわざわざ沖縄までなんて」「ええ、まあ……。っとすみません。これ以上のことは個人情報なのでお話し出来なくて。一応調査期間は3週間なんですよ。私は東京の事務所に戻らなければならないので、息子の航を派遣したんです。今日沖縄に着いたばかりなんですよ」「それは大変でしたね。それで安西さんはいつ東京に戻られるのですか?」朱莉は東京に戻る時は安西の見送りに来ようと考えていた。「それが、折角沖縄に来たのでゆっくり滞在したいのが本音ですが……明日には東京へ戻らないとならないんです」残念そうな顔で安西が言う。「そうなんですね。何時の便ですか? 是非お見送りさせて下さい」朱莉が言うと、安西は慌てた。「いえいえ、何を仰っているんですか? 見
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9-10 再会 2

「きっと、朱莉さんのお陰ですよ。貴女には本当に悪いことをしてしまったのに、色々親切にして貰って感謝していると何度も言ってましたよ」「そうですか……明日香さんが……」安西の言葉に朱莉は思わず頬を染めて、俯いた。すると航が言う。「貴女って変わった人ですよね? 話は聞いたけど相当酷いことをあの女にされてきたじゃないですか?それなのに憎むどころか親切にして。しかも彼女の話を今も嬉しそうに聞いていたし」「確かにそうかもしれないけれど、私は誰かといがみ合いたくはないんです。出来れば皆と仲良くしていきたいと思っているんです」朱莉の答えを航はつまらなそうに聞いている。「あっと……いけない。そろそろホテルに戻らないと」不意に安西が腕時計を見た。「どちらのホテルですか? お送りしますよ?」朱莉が言うと安西は首を振った。「いえいえ。そんなご迷惑は……」しかし、航は言う。「いいじゃないか、送って貰えば」「航! お前と言う奴は……!」そんな2人を見て、朱莉はクスリと笑った。「遠慮なさらないで下さい。東京では色々とお世話になったんですから」こうして渋る安西はようやく納得し、朱莉は2人を連れて車で送ることになった。**** 朱莉の車に乗り込んだ安西は言った。「おお、これは素敵な車ですね。女性らしさを感じる。買って間もないんですか?」「まだ2か月程ですね。免許を取ってすぐに車を買ったので」朱莉が答えると航が驚いた。「ええ!? な、何だって!? それじゃまだ運転歴が浅いのか!? おい、大丈夫なのか?」「大丈夫ですよ。車を買ってからは毎日乗ってるんですから。車庫入れだってばっちりです。それより気付かなかったんですか? 初心者マーク貼ってあることに」確かに朱莉の車には前後に初心者マークが貼ってある。「うっ! ほ、本当だ……。気が付かなかった……。お、俺としたことが……」何故か大袈裟に悔しがる航。その姿に朱莉は思わずクスクス笑ってしまった。「どうしたんですか? 朱莉さん」突然笑い出した朱莉を不思議に思い、安西は声をかけた。「い、いえ……。初心者マークを見落とすのに、興信所の方なんだと思うと、つ、つい……」「な……! ひょっとして……俺を馬鹿にしてます?」航の恨めしそうな声に朱莉は慌てて謝罪した。「す、すみません。そんなつもりじゃ……ただ可愛
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9-11 新しい同居人 1

 翌朝――朱莉は昨日約束した通り、安西親子の宿泊するホテルに迎えにやって来ていた。駐車場で待っていると安西と航がこちらへ向かってくる姿が見えた。「おはようございます、安西さん。航君」笑顔で2人を出迎える朱莉。「朱莉さん、おはようございます。本当にこんな朝早くから申し訳ございません」「おはよう」航も朱莉に挨拶する。その時、航は大きなキャリーケースを手にしていたが、この時の朱莉はそれを特に気にも留めることは無かった。「それでは空港へ向かいましょうか? どうぞお乗りください」朱莉は2人を乗せると那覇空港へ出発した――****「いや〜本当に助かりましたよ。朱莉さん」空港に着くと安西は何度も何度も朱莉に頭を下げてきた。「そんな、顔を上げて下さい。私から言い出したことなのですから」朱莉は困り顔で言うと、アナウンスが流れた。それは羽田行きの便が到着した知らせである。「ほら、父さん。もう行けよ」航が安西に声をかけた。「ああ、そうだな。こんな所でいつまでも朱莉さんをお引止めするわけにもいかないし。それじゃ、航。今日から3週間しっかり頼んだぞ」「言われなくても分かってるよ。これでもプロのつもりだからな」「朱莉さん。それではこれで失礼しますね」「はい、どうぞお元気で」朱莉は笑顔で安西に別れの挨拶をすると、彼は背を向けて歩き去って行った。航と2人きりになった朱莉は尋ねた。「ねえ航君。ところでこの大きな荷物は一体何?」「はあ? 見れば分かるだろう? 沖縄に滞在するまでの俺の着替えとかが入ってるんだよ」すっかり航は年上の朱莉に対してぞんざいな口を利くようになっている。「え? 着替え? さっきのビジネスホテルにずっと泊まるんじゃなかったの?」「あのなあ……こちらは限られた予算で動いているんだ。そんな無駄なこと出来るはずは無いだろう? ネットカフェに泊るんだよ。こんなに暑くなければキャンプ場でテント張って寝泊まりするんだけどな……」航は遠くを見るような眼つきになる。「ええ!? そうだったの……? ひょっとしていつもそうやって遠方での調査はネットカフェに泊まっていたの?」朱莉はあまりの話に驚いた。「いや、こんなことは初めてだ。何せ場所が沖縄だもんな。それじゃ俺はもう行くよ。これからネットカフェを探さないといけないから。じゃあな」そう言っ
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-04-21
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9-12 新しい同居人 2

「ほ、本当にこんなすごい部屋に住んでたのか……!?」航は部屋に入るなり、驚きの声を上げた。「うん……。そうなんだ。だから言ったでしょう? 部屋は広いし、一部屋余ってるから3週間の間、ここに住めばって言ったの分かった?」朱莉は航の背後から声をかけた。「だけど……本当にいいのかよ」突如航が真剣な顔で朱莉を見る。「え? 何がいいって?」「だって……仮にも俺は男であんたは女だ。他人同士の男女が1つ屋根の下に住むなんて世間的に見たらおかしいだろう?」「う~ん……確かに。でも私は誰も知り合いがいないから、何か聞かれることも無いんだけどな…」「い、いや。俺が言ってるのはそういう意味じゃなくて……」「あ、それじゃもしコンシェルジュの人に何か聞かれたら……私の年下のいとこってことにすればいいんじゃない?」朱莉はポンと手を叩く。「へ……? いとこ……? だ、だから俺が言いたいのは……」そこまで言いかけた時、航の足元に何かが飛びついてきた。「うわああああ!?」突然の出来事に航が驚いて下を見ると、足元にはネイビーがいた。「へ……? う、うさぎ……?」「ネイビー。おいで」朱莉はネイビーを抱き上げると航に説明した。「このこはネイビーって言う私の大切なペットなの。これからよろしくね。航君」「あ、ああ……よ、よろしく……」航は呆然としながら言った。そして心の中で思う。もう、どうにでもなれ――と。****「それじゃ、俺はこれから調査に向わないといけないから」航はカメラやら小型PCなどを取り出し、リュックに詰めた。「大変だね、到着して早々に仕事なんて」朱莉はその様子を見ながら声をかける。「仕方ないさ。こっちはギリギリの日程で動いているんだ。休んでる暇なんてないさ」そんな様子の航を見ながら朱莉は思った。(何だか、大変そうだな……。そうだ)「航君、車で送ろうか?」「は……はあ!? な、何言ってるんだよ! そんな事無理に決まってるだろう!?」航は大声で反論した。「え? 無理なの?」「当り前だ! 個人保護法に乗っ取って、俺達は仕事してるんだ。関係無い人間を現場に連れて行けるはずが無いだろう?」「そっか……言われてみればそうだったね。ごめね、航君」「べ、別に謝ることじゃないだろう?」(全く……朱莉って女がこんな天然な性格をしているとは
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9-13 嬉しい気持ち 1

 航が玄関を出て行くのを見届けた朱莉は足元にいたネイビーを抱きかかえた。「ネイビー。誰かに行ってらっしゃいって言えることって何だか嬉しいね」考えてみれば朱莉は母が入院生活に入ってからは何年もの間、1人で暮していた。父の死と会社の倒産、そして高校中退という環境は朱莉から友人を奪ってゆき、代わりに孤独を与えたのだ。でも、誰かが側にいて一緒に暮らす……このことを考えるだけで朱莉の心は楽しくなった。ここは広々とした大きな部屋。必要な物は何でも揃っているが朱莉が本当に欲しいものは手に入ることは無かった。孤独な生活から抜け出したいとこんなにも自分が望んでいたとは今迄思ってもいなかった。「航君……カレー好きかな?」朱莉はネイビーの背中を撫でながら、そっと呟くのだった——**** 19時過ぎ—― 朱莉の部屋のインターホンが鳴った。カメラを確認するとそこに立っていたのは疲れ切った顔をした航であった。「航君? 待ってね。今ドアを開けるから」朱莉はボタンを操作すると、航の立っているホールの自動ドアが開いた。「……スゲー設備」ボソッと航は呟くと、重たい足を引きずって中へと入って行った――5階の朱莉の部屋の前に付くと、航は再度インターホンを押す。するとすぐにドアが開けられた。「お帰りさない、航君」そこには満面の笑顔の朱莉が立っていた。「な、な、なんでそんな笑ってるんだよ……」航は後ずさりながら尋ねると朱莉の頬が赤く染まる。(え……? 朱莉……?)航は一瞬ドキリとした、次の瞬間。朱莉が口を開いた。「あ、あのね……。私ずっと1人暮らしが長かったから……誰かに『お帰りなさい』って言ってみたかったの。ありがとう、航君」満面の笑顔で微笑まれ、航は戸惑ってしまった。まさか、たったこれだけのことで朱莉がこんなに幸せそうな笑顔を見せるとは思わなかった。そして、それと同時にフツフツと翔に対して怒りが込み上げて来るのも事実だった。(くそ! あの翔とか言う男め。いくら大企業の副社長だからと言って非人道的なことしやがって……!)航は思わず拳をギュッと握りしめた。そんな様子の航を見ながら朱莉が声をかけた。「航君、疲れてるみたいだね? そうだ! ご飯の前に先にお風呂に入る? あのね、ここのマンションのお風呂にはジェットバスやミストサウナがついてるの。試してみたら?」
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9-14 嬉しい気持ち 2

30分後—―航がバスルームから出てきた。丁度朱莉はその時、ネットで英会話の勉強をしている所だった。「あ、お、お風呂ありがとう」航は目を伏せながら礼を述べる。「あれ? 航君もう上がってきたの? 早かったね」朱莉は立ち上がった。「そりゃ、あれだけ広くて綺麗だとかえって落ち着いて風呂なんかに入っていられないだろう? 何だか自分が酷く場違いな所にいるような感覚になっちまったんだよ!」言いながら航は思った。俺は何故こんなにも力説しているのだろう……と。「ねえ、航君。今夜カレーを作ってみたんだけど、好き?」「うん? カレーを嫌いな奴なんてこの世にいるのか?」航の返事に朱莉は嬉しくなった。「良かった〜もし嫌いだって言われたらどうしようかと思っちゃった」「だから俺言っただろう? 別に好き嫌いは無いって」「そう言えばそうだったね。さ。それじゃ座って座って」朱莉は嬉しそうに航に椅子を進める。「待っていてね、すぐに準備するから」冷蔵庫から用意しておいたアボガドに蒸しエビが入ったサラダと福神漬けを出してくると、楕円形のプレートに熱々ご飯と彩りたっぷりのカレーをよそい、航の座るテーブルの前に置いた。「へえ~見た目はいいじゃないか」航はつい照れ隠しに意地悪なことを言ってしまった。「そう? ありがとう。それじゃ味はどうかな? 食べてみてくれる?」「う、うん。いただきます」そしてスプーンですくって口に入れる。「……うまい」「本当?」朱莉は嬉しそうに笑った。「ああ、美味いよ。まあもっともカレーを不味く作る奴の方が珍しいだろうけどな」そこまで言って、また航はハッと思った。(お、俺は、又ひねくれたことを……)恐る恐る朱莉の様子を伺うも、朱莉は気にする素振りも無く美味しそうにカレーを口に運んでいる。「やっぱり誰かと食べる食事って、それだけでご馳走だよね?」朱莉のその言葉を聞いた時、航は何だか胸が締め付けられそうに感じ、改めて部屋の中を見渡した。2LDKの広々とした部屋。この部屋でも1人暮らしの朱莉には十分すぎる広さなのに、聞くところによると六本木の朱莉が住む億ションはこことは比較にならない位の広い部屋だという。(そんな広い部屋で……ずっと1人きりで住んでいたのかよ……。しかもこの先後5年間も……!)再び、航の中で翔に対する怒りが湧いてくるの
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9-15 琢磨との記憶 1

 朱莉がお風呂に入っている間、航はリビングでPCを前に明日向かう場所のチェックをしていた。すると、程なくして朱莉がお風呂から上がってくると航に声をかけた。「航君、仕事してたの?」「ああ。事前に準備しておかないとな。ルートとか……対象者見失う訳には……って何言わせるんだよ」航が顔を上げると、丁度キッチンで朱莉が麦茶を飲んでいるところだった。「朱莉は本当に酒飲まないんだな」「う、うん。飲み会とかそんなの行ったことが無いし、1人で暮してると中々お酒飲むことって……。あ、そう言えば沖縄に来て初めて居酒屋に入ったんだっけ」朱莉の頭に九条の記憶が思い出された。(九条さん……まさか社長になってるなんて……)「朱莉」その時、ふいに声をかけられ、顔を上げるといつの間にか航がリビングからキッチンに移動していた。「びっくりした。いつの間にここに来てたの ?何?」「まさか1人で居酒屋へ行ったのか?」真面目な顔で航が尋ねる。「え? まさか。一度もお酒を飲んだことが無い私が1人で居酒屋へ入れるはずないよ」「それじゃ誰かと行ったんだな? 誰とだ? あいつ……鳴海翔とか? いや……そんなはず無いな。だってあの男は朱莉を顧みるような男じゃ無いからな」「航君……?」妙に棘のある言い方をするなと朱莉は思った。「誰と行ったんだよ?」航は尚も追及してくる。「え、えっと、九条……琢磨さんだけど?」「九条……九条ってあいつか!?」航の顔が険しくなる。明日香と翔の関係を調べる際に、九条の事を調べたのも航だ。エリートの上、顔が整っている優男。いかにも女受けするタイプの男だ。「あ、そうか。航君は九条さんのことも調べたんだもんね。だから知ってるんだ」「いや、知ってるのは俺だけじゃ無いぞ? 今や世間で知らない人間はいない位有名人だ。連日ニュースで騒がれてるじゃ無いか。あの大手通販会社『ラージウェアハウス』に入社して、たった1カ月で新社長に任命されたんだ。しかもあのルックスだろう? 連日ネットで騒がれてるぞ? それにこの間もビジネス誌に5ページにも渡って、あの会社の特集が組まれていて顔写真も載っていたしな。あの時の雑誌の売り上げは前月号の2.5倍あったそうだ」航がまくしたてるように言うのを朱莉は半ば唖然と聞いていた。「わ、航君て……すごいね」「凄い? 俺の何処がだ?」
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9-16 琢磨との記憶 2

「うん、そうだよ。ところで航君。仕事の続きはいいの?」朱莉に促され、航はまだ作業が途中だったことを思い出した。「あ!やべっ!こうしちゃいられなかった!」慌ててリビングへ戻ると再び航はPCと向き合って、色々検索を続けた。その間に朱莉は空き部屋へ行くと、航の寝る部屋の準備をした。幸い、寝具は全て揃っている。ベッドに布団を敷き、エアコンの温度を26度に設定すると部屋に戻って来た。時計を見ると時刻は23時半を示している。「ねえ……航君はまだ寝ないの?」朱莉は遠慮がちに声をかけた。「ああ。もう少し調べることがあるから。朱莉は俺に構わず寝ていいよ。電気は消しておくからさ」航はPCから顔を上げると答えた。「航君。明日は何時に起こせばいい?」「へ? お、起こす…子供じゃないから1人で起きれるって!」航の顔が赤く染まる。「そうなの? それじゃ何時に起きるの?」「う~ん……6時半には起きるかな?」「ねえ、航君は朝はパン派? それともご飯派?」「え……? ま、まさか俺に朝ご飯考えてたのか……?」「うん。当然じゃない」「お、俺はコンビニで適当に買ってこようかと思っていたんだけど……」「だって私も朝ご飯食べるんだから一緒に食べようよ。それで、パンとご飯どっちがいい?」「そ、それじゃ……ご飯で……」航は赤くなった顔を見られないようにフイと横を向きながら答える。「うん、ご飯ね。それで何時に出掛けるの?」「8時には出るよ」航は素っ気なく答える。「8時ね。了解。それじゃ私、もう先に寝るね。お休みなさい」「ああ、お休み」その言葉を聞くと朱莉は顔を赤くした。「朱莉……?」(な、何で赤くなってるんだよ!)「フフ……」次の瞬間朱莉は笑みを浮かべ、嬉しそうに自室へと向かった。その後姿を見ながら航はポツリと呟いた。「やっぱり……朱莉が何考えてるか分からねえ……」朱莉が自室へ行って約1時間後——「ふう~…」航はPCを閉じると、伸びをした。「そろそろ寝るか……。朱莉はもうとっくに眠ってるんだろうな?」リビングの電気を消して、与えられた部屋へと向かった。そして部屋へ入ると航は呟く。「やっぱり住む世界が違うな……」8畳の広さがあるフローリングの部屋。ベッドはいかにも高級なイメージを醸し出したダブルサイズ。備え付けの家具も全て立派だ。「全く…
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9-17 朱莉の気遣い 1

 朱莉と航は向かい合って食事をしていた。献立は白米に根菜の味噌汁、浅漬けに焼き鮭と厚焼き玉子。「うん。どれも美味いな」航は素直に言った。どれも優しい味わいで、朱莉の性格を現しているかのようだった。「ねえ、航君」「何だよ?」航が顔を上げて朱莉を見ると、またもや朱莉の顔が赤くなっている。「な・な・なんだよ?」(だから何で顔を赤くするんだよ!?)「こうして二人で向かい合って食事していると……」「え……?」一体朱莉は何を言い出すのだろう……? 自然と航の心臓の音が高鳴ってきた。「仲の良い姉と弟って感じがしない?」そう言って朱莉はにっこり微笑んだ。「お……弟……?」航は開いた口が塞がらなくなってしまった。「あ、ああ! そうかい!」航は自棄になって箸を進めた。(くそ! 結局俺は弟扱いかよ!)航が仏頂面で食事する姿を見て朱莉は首を傾げた。「航君……もしかして何か怒ってる?」「べっつに!」しかし、航は自分が弟扱いされて、何故こんなにイラついているのか不思議で仕方が無かった――**** 玄関を出る時、航が言った。「朱莉、今日はちょっと遠くまで行くんだ。だから何時に帰れるか分からないから食事の支度は別にしなくていいからな? 先に寝てろよ」「え? そうなの? 何だ……一緒にご飯食べたかったのに、ちょっと残念だったな……。でも仕事だから仕方が無いね」俯き加減で言う朱莉に、何故か航は罪悪感を抱いてしまう。「し、仕方が無いだろう? 仕事なんだから……。で、でも……なるべく早く帰って来れるようには……」俯き加減でいいながら、航はチラリと見ると朱莉は嬉しそうにこっちを見ている。それはまるで犬だったら尻尾を振ってそうな勢いである。「な、な、何だよ! その顔は……」「うううん。なるべく早くって言葉が嬉しかっただけだから。それじゃ念の為にご飯は用意しておくね」朱莉は嬉しそうに言う。「あ、ああ」(何だよ……そんなに俺と一緒に食事がしたいのか? 変な女だな……)「行ってらっしゃい。あ、そうだ。航君。手、出して」「?」航が手を出すと、朱莉はカードキーを手渡してきた。「朱莉、これは……?」「スペアのカードキーよ。これがあればマンションの出入りは自由だから」「お、おい! そんな大事な物俺に預けていいのかよ? もし……俺が悪い奴だった
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-04-21
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9-18 朱莉の気遣い 2

 その頃、航は今まさに朱莉が検索していた「美ら海水族館」に来ていた。建物の外から身を隠す様に望遠レンズカメラで対象者の浮気現場をカメラに抑えていた。そして何枚か証拠画像を取ると、汗を拭った。「ふう~……本当に沖縄は暑いな……」先程自販機で購入したスポーツドリンクを飲むと木陰に移動し、機材チェックをしながら周囲をチラリと見た。水族館を訪れている客は全員がカップルかファミリー層である。航のように1人で来ている客は誰もいなかった。「全く……皆が羨ましいな。遊びに来ているのに俺は男の浮気現場の証拠写真を撮りに来ているなんて……」もっとも、安西家はこの仕事で生計を立てているので文句を言えないが、航はまだ22歳の青年。遊びたい盛りである。沖縄のビーチで泳ぎたいし、海岸線をドライブだってしてみたい。(一緒に朱莉と出掛ければもっと楽しいだろうな……)そこまで考えて航は我にかえる。「な、何でそこで朱莉の顔が浮かんでくるんだよ! 全く……あんな天然女……九条は何処が良かったんだ!?」航は自分自身に腹を立てながら、先程撮影した画像のチェックを始めた—―****—―23時 航はフラフラになりながら朱莉の住むマンションへと戻って来た。つい先ほどレンタカー会社によって車を返却し、そこから歩いて帰って来たので、もう身体は疲れ切っていた。「全く……那覇市から海洋博公園まであんなに遠いとは思わなかったぜ……高速に乗っても2時間以上かかるんだから……」朱莉から預かったカードキーを差し込み、ロック解除すると自動ドアが開く。航は中へ入るとコンシェルジュの男性と目が合った。その目は何となく航を値踏みするような視線に見えたが、知らんぷりをして航はエレベーターホールへと向かう。5Fのボタンを押し、欠伸を噛み殺しながらエレベーターに乗り込んだ。腕時計を確認すると時刻は23時半になろうとしている。(朱莉は多分もう寝てるだろうな。連絡位入れれば良かったか?)やがてエレベーターは5Fで止まり、航は朱莉の住む部屋のドアを開けて中に入ると驚いた。何と朱莉がキッチンのテーブルの椅子に座り、テーブルに頭を乗せて居眠りをしていたからだ。朱莉の前にはラップのかかった食事が置かれている。(ま、まさか、俺を今迄待っていたのか……?)「おい……。寝てるのか?」航は朱莉に近寄ると声をかけた。し
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