13時40分——琢磨は羽田空港のロビーで翔と明日香が現れるのを待っていた。すると人混みに紛れて翔の声が聞こえて来た。「琢磨!」見ると、日香を連れた翔の姿があった。明日香はキャップを被り、ジーンズの短パンをはき、パーカーにショートブーツといういで立ちだ。(なんだ……? 明日香ちゃんのあの格好は? ああ、そうか。記憶が17歳まで後退しているからか……?)すると、翔だけが駆け足で琢磨の元へやって来て耳打ちしてきた。「色々とすまなかった。後でちゃんと話すから。今はとりあえず明日香の話に合わせてやってくれないか?」「? あ、ああ。別に構わないが?」(一体どういう意味なんだ?)琢磨はいぶかしみながらも、とりあえず翔の言う通りにすることにした。そして明日香が琢磨の前にやってきた。「琢磨……?」「ああ、そうだよ。お帰り、明日香ちゃん」すると明日香は眉を顰めた。「琢磨……貴方まで随分更老けてしまったのね……」そしてため息をつく。「え……えええっ!?」(何だ!? 老けたなんて言われたの……初めてだぞ!」助けを求めるかのように翔を見るが、翔は肩をすくめてしまった。そこで気が付いた。(ああ、そうか……。記憶が17歳に戻っているから俺達が老けてしまったように見えるのか。しかしまだ27歳で老けたと言われるとは思いもしなかった)心の中で苦笑する琢磨。しかし明日香は今、心の中は17歳の少女に戻っているのだ。彼女に合わせてやらなければならない。「ああ、老けてしまったかもな。幻滅したか?」琢磨は笑みを浮かべると、何故か明日香は顔を赤らめた。「そ、そんなこと……無いわよ。琢磨は……その、たとえ老けても……やっぱり恰好いいわよ」「え?」その言葉に驚いた。まさか明日香の口からそのような言葉が飛び出て来るとは夢にも思わなかったからだ。いつも2人は顔を合わせれば口喧嘩ばかりで、それを仲裁していたのが翔だったのである。(おい、どういうことだよ!?)琢磨は翔に目でアイコンタクトを取ってみるも、肝心の翔は視線を逸らせて琢磨の顔を見ようともしない。「ねえ。琢磨。どうしたの?」気付けば明日香が琢磨の腕に自分の腕を絡めてきている。今まで明日香にそんなことをされたことは一度も無かったので、琢磨はすっかり面食らってしまった。「明日香ちゃんだよな? 本物の……」
Terakhir Diperbarui : 2025-05-02 Baca selengkapnya