リビングでソファに座り、翔が蓮にミルクを与えている姿を見ながら朱莉は尋ねた。「翔さん。夜御飯はどうされましたか?」「ああ。朱莉さんの話を聞いた後、近場の店に食事に行こうかと思っていたんだ」蓮から目を離さず返事をする翔。「あの……もしよろしければ食事していきませんか? 実は私もこれから食事で、きのこの炊き込みご飯を作ったのですけど……」すると翔は顔を上げた。「え? いいのかい?」てっきり断ってくるのでは無いかと思っていた朱莉はその言葉を聞いて嬉しくなった。「はい、すぐ準備するので待っていて下さい」朱莉は笑顔で翔に言うと、嬉しそうにキッチンに向かって食事の準備を始めた。「……」そんな朱莉を翔は蓮を抱きながら見つめた。(どうしたんだ……? やけに嬉しそうに見えたけど。俺が食事をしていっても迷惑じゃないんだろうか? 今まで散々朱莉さんを嫌な目に遭わせてきてしまったのに……?)その時、突然翔のスマホが着信を知らせてきた。相手は琢磨からだった。「もしもし……」蓮を胸に抱いたまま電話に出ると、突然琢磨の怒鳴るような大声が受話器から聞こえてきた。『翔! さっきの話の続きだが……』すると受話器越しから聞こえてくる琢磨の怒鳴り声に驚いたのか、蓮が泣き声を上げ始めた。「ホギャアアア……ッ!」「ああ、ごめん。蓮、驚かせてしまったよな?」『な? 何……? 赤ん坊の泣き声? 蓮……? 蓮って……翔、お前の子供か!? お前今一体どこにいるんだよ!?』「俺か? 今俺は朱莉さんの処に来ているんだ。蓮にお土産を持って会いに来たんだ。ついでに食事を御馳走してくれると言ってくれたから、今リビングで待っているところだが?」『……おい、ふざけるなよっ! 翔!』ますます琢磨の怒りの声が受話器から聞こえてきた。すると蓮はさらに怯えて泣き声が大きくなる。「ああ、ごめんよ蓮。おい、琢磨、蓮が怖がるから大きな声を出さないでくれよ」すると流石に琢磨もまずいと思ったのか声のトーンが落ちた。『翔……お前俺に明日香ちゃんを押し付けておいて、お前は今更朱莉さんとの距離を縮めようとして……一体どういうつもりなんだよ?』小は蓮をあやしながら反論した。「おい、俺は別に明日香をお前に押し付けたつもりは全くないぞ? それどころか、明日香は全く俺に連絡すらよこさなくなったんだ。俺が
Last Updated : 2025-05-03 Read more