18時―― 朱莉が夜ご飯の支度をしているとインターホンが鳴った。モニターを確認すると琢磨の姿が映っている。『こんばんは、朱莉さん』「こんばんは、九条さん。今開けますね」朱莉は鍵を開けると、琢磨は中へと入った。それから約数分後。今度は玄関前のインターホンが鳴ったので、朱莉はドアを開けるとそこには琢磨が笑顔で立っていた。「こんばんは、朱莉さん。突然連絡して悪かったね」「いえ、大丈夫ですよ。大分外冷えてきましたね。どうぞお入り下さい」「それじゃ、お邪魔します」琢磨が部屋に入って来ると朱莉が尋ねた。「九条さん。お食事はどうされましたか?」「いや……実は変な時間に食事をしたから大してお腹は空いていないんだよ」琢磨は照れ臭そうに言った。「そうなんですか? 実は今夜はおでんを作ったのですが、せめてお野菜だけでも食べませんか? 今から食事にしようかと思っていたんです」朱莉は土鍋の蓋を開けた。(朱莉さんと一緒におでんか…)「うん、いいね。美味しそうだ……それじゃ頂こうかな?」琢磨が言うと朱莉は笑顔になる。「はい、すぐに用意しますね。お待ちください」「ありがとう、それじゃ準備が終わる間、翔の子供に会わせて貰ってもいいかな?」「ええ、いいですよ。リビングにベビーベッドがあります。そこで眠っていますよ。あ、その前に……。どうぞこちらをお使いください」「え?」朱莉が琢磨に差し出してきたのは除菌シートだった。「あの……赤ちゃんに触れる時は手を清潔にしないといけないって書いてあったので、すみませんが……」「ああ、そうだね。確かに言われてみればその通りかもしれないね」琢磨は素直に除菌シートを受け取り、手を拭くとそっとベビーベッドを覗き見た。するとそこには小さな手をギュッと握りしめ、両肘を上向きにまげて眠っている小さな赤子の姿。「へえ……すごく可愛いな……」(こんなに可愛いんじゃ翔が世話を焼きに来るのは無理も無いか……。だけど……)琢磨はぐっと歯を食いしばった。(翔……お前の今やるべきことは、明日香ちゃんの側についてあげて、記憶を取り戻せるように寄り添ってやることなんじゃ無いのか!? いくら10年前、明日香ちゃんが俺のことを好きだったからと言って俺に明日香ちゃんを押し付けて、自分は今迄散々蔑ろにしてきた朱莉さんの所へ出入りして……!)「九
ปรับปรุงล่าสุด : 2025-05-04 อ่านเพิ่มเติม