บททั้งหมดของ 偽りの結婚生活~私と彼の6年間の軌跡 偽装結婚の男性は私の初恋の人でした: บทที่ 331 - บทที่ 340

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2-21 夢のような 1

 18時―― 朱莉が夜ご飯の支度をしているとインターホンが鳴った。モニターを確認すると琢磨の姿が映っている。『こんばんは、朱莉さん』「こんばんは、九条さん。今開けますね」朱莉は鍵を開けると、琢磨は中へと入った。それから約数分後。今度は玄関前のインターホンが鳴ったので、朱莉はドアを開けるとそこには琢磨が笑顔で立っていた。「こんばんは、朱莉さん。突然連絡して悪かったね」「いえ、大丈夫ですよ。大分外冷えてきましたね。どうぞお入り下さい」「それじゃ、お邪魔します」琢磨が部屋に入って来ると朱莉が尋ねた。「九条さん。お食事はどうされましたか?」「いや……実は変な時間に食事をしたから大してお腹は空いていないんだよ」琢磨は照れ臭そうに言った。「そうなんですか? 実は今夜はおでんを作ったのですが、せめてお野菜だけでも食べませんか? 今から食事にしようかと思っていたんです」朱莉は土鍋の蓋を開けた。(朱莉さんと一緒におでんか…)「うん、いいね。美味しそうだ……それじゃ頂こうかな?」琢磨が言うと朱莉は笑顔になる。「はい、すぐに用意しますね。お待ちください」「ありがとう、それじゃ準備が終わる間、翔の子供に会わせて貰ってもいいかな?」「ええ、いいですよ。リビングにベビーベッドがあります。そこで眠っていますよ。あ、その前に……。どうぞこちらをお使いください」「え?」朱莉が琢磨に差し出してきたのは除菌シートだった。「あの……赤ちゃんに触れる時は手を清潔にしないといけないって書いてあったので、すみませんが……」「ああ、そうだね。確かに言われてみればその通りかもしれないね」琢磨は素直に除菌シートを受け取り、手を拭くとそっとベビーベッドを覗き見た。するとそこには小さな手をギュッと握りしめ、両肘を上向きにまげて眠っている小さな赤子の姿。「へえ……すごく可愛いな……」(こんなに可愛いんじゃ翔が世話を焼きに来るのは無理も無いか……。だけど……)琢磨はぐっと歯を食いしばった。(翔……お前の今やるべきことは、明日香ちゃんの側についてあげて、記憶を取り戻せるように寄り添ってやることなんじゃ無いのか!? いくら10年前、明日香ちゃんが俺のことを好きだったからと言って俺に明日香ちゃんを押し付けて、自分は今迄散々蔑ろにしてきた朱莉さんの所へ出入りして……!)「九
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2-22 夢のような 2

「さあ、どうぞ召し上がって下さい」「ありがとう、では頂こうかな」「九条さん、どうぞお好きな具材を取って下さい」「うん、ありがとう。どれにしようかな……それじゃ、大根と卵にしようかな」琢磨は菜箸で大根と卵、ついでにこんにゃくと昆布巻き、ロールキャベツを取った。「美味い。残念だったな……車で来ていなければビールでも飲みたい気分……」言いかけて琢磨は思った。(そうだ……。ビールを買ってきて飲ませて貰って翔の所に泊めさせて貰うか)「九条さん? どうしましたか?」「あ、いや。実はビールを買ってこようかと思ってね。ついでに今夜は翔の所へ泊めてもらおうかと……」「そうなんですか? ビールならありますよ?」朱莉は笑顔で言うと冷蔵庫から缶ビールを出してきた。それはオリオンビールだった。「へえ……珍しいね。オリオンビールなんて。あ。そうか。朱莉さんは沖縄にいたんだものな。オリオンビールの味はそこで覚えたんだね」「ええ、そうなんです。航君がこのビール大好きだったんです。航君が喜んで美味しそうにこのビールを飲んでいたので、2ケースも買ったこともあって。沖縄で別れた時は寂しかったけど、東京でまた会えて嬉しかったです」「へ、へえ〜そうなのか」(朱莉さん……ひょっとして将来の相手は航を選ぶつもりなのか?)琢磨は朱莉が航のことを笑顔で話す姿を見ているうちに、胃がキリキリ痛くなってきた。とてもビールを飲む心境では無かったが、折角朱莉が出してくれたのだ。飲まない訳にはいかない。「そ、それじゃ……頂くよ」「はい、どうぞ」琢磨はプルタブを開けて、ビールを飲んだ。そのビールの味は……いつもより苦く感じた。(くっそ……航の奴め。朱莉さんの心の中を独占しやがって……覚えていろよ!)もはや完全な八つ当たりではあったが、今度航に会ったら文句を言ってやろうと思う琢磨であった。****食後——「一応、翔の所に電話を掛けてみることにするよ。今夜泊めてくれって」「そうなんですね? それでは私はちょっとレンちゃんの様子を見てきますね」朱莉がリビングに消えると琢磨はスマホをタップして、翔に電話を掛けることにした。3回目のコールで翔が電話に応じた。『もしもし、どうしたんだ?』「ああ、翔。いきなりだが今夜お前の所に泊めてくれ」『ええ!? 無理を言うなよ! 俺は今実家に帰
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2-23 月夜とビール 1

「九条さん。遠慮しないでビール飲んで下さいね。今お風呂の準備してきますから」「あ、ああ。ありがとう。それじゃ後はお風呂に入ってからビールを頂く事にするよ」琢磨はテーブルの上に飲み終えた缶ビールを置くと言った。「そうですか。では少しお待ち下さいね」そして朱莉はバスルームへと消えて行った。琢磨はそんな朱莉の姿を見つめながら思った。(何だか信じられないな……今こうして朱莉さんの部屋で食事をご馳走になって、ビールにお風呂まで用意してもらって……そして……)その時、突然ベビーベッドで鳴き声が聞こえた。「うわ! 目が覚めたのか!?」慌てて様子を見に行くと、顔を真っ赤にして泣いている蓮がいた。「ど、どうすればいいんだ……?」今迄一度も……しかも生まれてまだ間も無い赤子の世話など焼いた事が無い琢磨は焦ってオロオロしていると、そこへ朱莉が戻ってきた。「朱莉さん! 大変だ! 蓮が……!」すると朱莉が慣れた手つきで蓮を抱き上げた。「レンちゃん。おむつが気もち悪くて目が覚めちゃったの?」笑いながら話しかけると、朱莉はおむつを交換する為に準備を始めた。そして手早く交換する様子を琢磨は黙って見つめていた。「はい、レンちゃん。綺麗になりましたよ」そして朱莉は蓮を抱き上げると、自分の胸に押し当て、背なかを撫でながらキッチンへ向かった。「朱莉さん。次はどうするんだ? 俺も何か手伝うよ」「大丈夫ですよ。お風呂も沸いてますし、どうぞごゆっくり入ってきて下さい」朱莉はまだ力なく泣いている蓮を抱きしめたまま琢磨に言った。「いや……でもそれだと……」「私はレンちゃんのお世話は慣れてるので平気ですから。着替えも出してありますし」流石にここまで言われれば、朱莉の言う通りにせざるを得なかった。「あ、ありがとう……それじゃそれじゃお風呂……頂くよ」「はい、ごゆっくりどうぞ」朱莉の笑顔に見送られながら琢磨はバスルームへと向かった。バスルームへ行くと、朱莉の話していた通り、タオルにバスタオル、着替えにパジャマが用意されていた。それを見て琢磨はポツリと呟いた。「子育てで忙しいのに俺は朱莉さんに迷惑かけてるな……。これじゃあ航に知られたら大変だ」琢磨は苦笑すると、服を脱いで風呂場のドアを開けた――**** お風呂から上がると、朱莉の姿が見えない。「朱莉さん?」
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2-24 月夜とビール 2

 その頃、航は1人興信所のビルの真上の部屋で外の景色を見ながら缶ビールを飲んでいた。勿論飲んでいたのはオリオンビール。航はあの時以来ずっと自分でビールを買って飲むときはオリオンビールと決めていた。興信所のビルは5F建ての雑居ビルになっていて、1F〜3Fまでが小さなオフィス仕様の作りで、安西弘樹興信所以外にも不動産会社や小規模の企業等が入居していた。そして4F〜5F迄が1Kの賃貸アパートになっているのである。勤務場所が真下にあるので、航にとってはこれ以上ない職場環境ではあったが、調査員という特殊な職種である為に浮気調査等の依頼が入っている時は、部屋を何日も不在にするのはざらだった。なので航の部屋には生活に必要な最低限の物しか置いていなく、私物の殆どは下の事務所に置かれている。その為に父親の弘樹からは事務所を私物化するなと再三にわたり注意を受けていたが、航は一向に構わず聞く耳を持たなかった。  今夜は上弦の月である。ビル群に囲まれた上野は空があまり大きく見えない。航は月を眺めながため息をついた。「沖縄の空は綺麗だったな……。朱莉……今頃何してるんだろう……」航は夢を思い描いていた。いつか、朱莉が鳴海翔との離婚が成立すれば、自分の思いを朱莉に告げる。そして朱莉がもし受け入れてくれたなら2人で沖縄に移住して、航は自分の興信所を立上げて朱莉と家族に……。その時、突然航のスマホが着信を知らせる音楽が鳴った。「……誰からだ?」航はスマホを眺めて、顔が曇った。電話の相手は京極からだった。「もしもし……」『こんばんは。安西君。元気にしてたかな?』「ああ、お陰様でな。あんたからもう朱莉と会ってもいい許可を貰えたからな」『それは感謝の言葉と受け取ってもいいのかな?』「俺が感謝してるとでも思っているのか? 勝手に朱莉に接近禁止令を出したかと思えば今度は朱莉に連絡を入れてもいいだとか訳の分からないことばかりいいやがって」『訳が分からない? それは以前にも言っただろう? 朱莉さんの周りにはマスコミが張り付いていたから、君には一旦朱莉さんから離れて貰うって。朱莉さんをマスコミの餌食にしたくはないだろう?」「ああ、そんなのは当然だ。朱莉は鳴海グループの被害者だからな」『そうだよ、朱莉さんのことが大切なら君はあの場で身を引いて正解だったんだよ。鳴海グループがあ
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2-25 胸騒ぎ 1

「琢磨の奴……何だか様子がおかしかったな? 一体何があったんだ?」琢磨から一方的に電話を切られた翔は首を捻って呟いた。自室にいた翔は部屋の時計を見ると時刻は21時を指している。(何か気になる……。やはり自宅に帰るか)思い立つと翔は上着を取り、車のキーを手に取った。廊下を歩いていると長年鳴海家に仕えている使用人の老女に会った。「翔さん、お出かけですか?」「ええ。やはり自宅に戻ります。他の人達にも伝えておいて貰えますか?」「はい、承知致しました。それにしても明日香さんはまだ日本に戻られないのでしょうか?」老女は首を傾げた。「え? ええ。そうみたいです。外国で絵画のインスピレーションを養いたいって言っていたから当分先になるんじゃないかな?」翔はあらかじめ考えていた嘘を言った。ただでさえ、明日香との仲は鳴海家の人間には誰にも知られないようにしなくてはならない。まして今の明日香は記憶が10年分抜け落ちているのだ。益々このことは内緒にしなければ、明日香にとって不利に働く。明日香のことを昔から厄介者として見ていた祖父はその事実を知れば、まとまった金額を渡した後は平気で血縁関係を切って見捨てるだろう。それだけは絶対に防がなければならない。 今の翔は完全に煮詰まっていた。嘘に嘘を重ね、ついには明日香の記憶喪失である。子供を産んだ記憶すら持たず、翔と恋人同士だった記憶すら失ってしまった明日香は今、琢磨に恋している。このまま明日香の記憶が戻らなければ今迄の計画が全て水の泡になってしまう。祖父の後を継いだ後、明日香と結婚をするという計画が……。(ひょっとするとバチがあたったのだろうか? 朱莉さんを利用し、昔からの仲だった琢磨を平気で切り捨てたバチが……。いや、でも絶対に明日香の記憶を取り戻さなければ……例えどんな手を使っても……!) その為にはもっと琢磨にも協力をして貰わなければならないし、朱莉にも子育ての延長を依頼する可能性も出てくる。「琢磨……まさか朱莉さんの所へ……?」駐車場へ向かう翔の足がいつの間にか早まっていた――****「あ、あの……九条さん‥…?」朱莉は戸惑っていた。琢磨に右腕を掴まれたまま、あいている左腕で抱き寄せられているこの状況が頭で追いつかなかった。「朱莉さん……」琢磨の声が頭上で聞こえた、その時。——ピンポーン突如部屋
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2-26 胸騒ぎ 2

「翔さん、一体どうしたのですか?朱莉はドアを開けた。「こんばんは、朱莉さん。突然ごめん。少し気になることがあって……ね……」その時、翔は朱莉の背後にパジャマ姿で立っている琢磨の姿を見て顔色を変えた。「お、おい! 琢磨……お前、朱莉さんの部屋で一体何をやっているんだ!?」翔は自分でも驚くほど声を荒げていた。「お前の所に電話を入れたら実家に帰っているって言うから朱莉さんが泊めてくれることになったんだよ。ビールを飲んでしまったしな」「だからって何故朱莉さんの自宅に泊まろうとしているんだ!? お前……自分が何しようとしているのか理解出来ているのか?」翔は尚も琢磨を責め立てる。そんな2人の様子を朱莉はオロオロしながら見届けていた。(くそ……! 何だって翔はここにやってきたんだ!? タイミングの悪い……ん? 待てよ……翔の奴、ひょっとして……)「それを言うなら……翔。何故お前は実家からここへ戻って来たんだよ?」「そ、それは……」翔は自分でも何故ここへ来てしまったのか分からなくなっていた。言い淀む翔を前に朱莉は声をかけた。「と、とにかく玄関先では何ですから……どうぞ翔さんも上がって下さい」「いや、いいよ。朱莉さん」それを翔は断ると、琢磨を見た。「琢磨、荷物を持って俺の所へ来いよ。うちに泊まれ」「「え?」」朱莉と琢磨が同時に声を上げた。「し、しかし……俺はパジャマ姿で……」「どうせ上着を持って来ているんだろう? その上に着てくればいいじゃないか。ほら行くぞ」翔は顎でしゃくった。(朱莉さん……!)琢磨は朱莉の側にいたかったので朱莉の顔を見たが、既に朱莉の視線は翔に向けられていた。「翔さん、待って下さい」朱莉の言葉に琢磨は一縷の望みを掛けた。(朱莉さん……ひょっとして翔を止めてくれるのか?)しかし、次の瞬間琢磨の希望は打ち砕かれた。「翔さんの好きなビール冷やして置いたんです。良ければ九条さんと2人で飲んで下さい」いつの間に用意したのか、朱莉はオリオンビールを入れたビニール袋を翔に手渡した。「ありがとう、朱莉さん」翔が礼を言うと、朱莉は頬を染めて俯き加減に、「はい」と小さく返事をした。 朱莉のその表情は、琢磨の前では決して見せた事の無い恥じらいだ笑顔だった。(朱莉さん……そんなに翔の奴がいいのか……?)琢磨は朱莉の翔に対
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2-27 何かが変わる前夜 1

「何を考えているかだって? それは俺の台詞だ」琢磨はジロリと翔を睨み付けた。「今迄散々朱莉さんの人権を踏み躙るような行動ばかり取っていたくせに、今度は明日香ちゃんに捨てられそうになっているから朱莉さんに縋っているのか?」琢磨のこの言葉に流石の翔も黙っていられなくなった。「おい……誰が捨てられそうだって?」「違うって言うのかよ? 今日だって俺は明日香ちゃんにせがまれて、それでお前にも頼まれたから仕方なく明日香ちゃんに会いに行って来たけどな……」琢磨は缶ビールに手を伸ばし、プルタブを開けると一気に中身を煽るように飲みほした。そしてテーブルの上に置くと翔を見た。「明日香ちゃんは一言もお前のことを口に出さなかったぞ?」「!」翔の肩がピクリと動いた。(そんな……俺のことはもうお前の心の中には残っていないのか……?)翔は唇を噛み締めると缶ビールに手を伸ばし、琢磨同様にビールを流し込むように飲んだ。それをきっかけに2人はまるで競争でもするかのように無言でビールを飲み続け……気付けば空き缶がテーブルの上に6缶並べられていた。互いに気まずい雰囲気の中ビールを飲み続けた為、普段の2人ならこの程度では酔うことは無いのに、互いにもう悪酔いしていた。「俺は……勘違いしていたようだったな……」琢磨はアルコールで顔を赤らめながら翔を見た。「勘違い……何のことだ……?」「俺は……てっきり明日香ちゃんがお前に依存しているとばかり……思っていたが……本当はお前が明日香ちゃんに依存していたんだな……?」「俺が……明日香に依存……?」「それで……明日香ちゃんに捨てられそうだから今度は朱莉さんに依存しようとしているんだろう……?」酔いで、すっかり座った目つきで琢磨は言う。「馬鹿を……言うな……。俺がいつ朱莉さんに依存しているって言うんだ……?」翔も赤ら顔で琢磨を見た。「そうだろう? 明日香ちゃんの……記憶が戻らなければ朱莉さんに子供の面倒を……ずっと見させようなんて……翔……お前もしかしてこのまま朱莉さんと本当の家族にでもなるつもりなんじゃないか……?」「何言ってるんだ! そんなわけ無いだろう? 俺は朱莉さんのことは何とも思っていないんだから……。俺が好きなのは明日香なんだ……」(そうだ……朱莉さんは只の契約関係……偽装妻だ。それ以上でも以下でも無い。この
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2-28 何かが変わる前夜 2

 一方の琢磨はまるで独り言のように呟いている。「お前は……知らないだろうけど……そのビール……朱莉さんはお前の為に用意してくれていたんだぞ……? バレンタインの時だって俺は市販のプレゼントでかたやお前は手編みのマフラー。本当の夫婦だってあまりそこまでしてくれるような女性はいないんじゃないか……?」言いながら、琢磨はとうとうテーブルの上につっぷして眠ってしまった。それを見ていた翔は眠っている琢磨に声をかけた。「琢磨……お前、やっぱり朱莉さんのこと……好きだったんだな……?」翔は立ち上がると眠ってしまった琢磨に毛布をかけた。空き缶をビニール袋に入れて片付け、毛布を持って来ると服のまま翔はソファに寝転がった。(シャワーでも浴びようかと思ったけど……駄目だ。アルコールで頭が朦朧とする……。明日の朝、浴びることにしよう……)そしてテーブルに突っ伏して眠ってしまった琢磨を見て苦笑した。「まさかこれぐらいの酒量で……2人供こんなに悪酔いするとはな……」急激に眠気が襲ってきた翔は眠りにつく寸前に思った。(嫌がられても構わないから……明日……明日香の所へ行ってみるか……)「蓮……もう眠っているかな……。お休み、蓮……」そして翔は瞳を閉じた——**** その頃——朱莉は蓮がお腹を空かして目を覚まして泣き始めたのでミルクを飲ませている最中だった。カーテンの隙間から上弦の月が見える。やがて蓮は眠くなったのか、飲むのをやめてそのまま眠ってしまった。朱莉の腕の中でスヤスヤと眠る蓮を朱莉は愛おしそうに見つめる。(フフ……本当に何て可愛いんだろう。他の人の子供でもこんなに可愛いんだもの。レンちゃんが自分の本当の子供だったらどんなにか良かったのに……)朱莉は数年後に必ず訪れる蓮との別れが怖かった。これ程愛情を注いで育てている蓮は、きっとこの先成長するにあたり、もっと愛らしく育っていくだろう笑顔を朱莉に向けたり、言葉が話せるようになったり……そして歩けるようになったり。(大丈夫なの? 私……別れの時が来た時レンちゃんとサヨナラ出来る?)先のことを考えるのは辛いけど、今は何もかも忘れて蓮との2人暮らしを楽しみたい。そう願う朱莉であった——**** 深夜2時―― キーボードを叩く音だけが静かな室内に響き渡っている。PCの操作をしているのは京極であった。その
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2-29 蘇る明日香の記憶 1

 翌朝—— 翔が目を覚ますと、そこにはもう琢磨の姿は無かった。テーブルの上にはメモが乗っていた。メモの内容は昨夜翔に対してきつく言い過ぎてしまったことへの謝罪と泊めてもらった礼が記されていた。「そうか。琢磨……帰ったのか……」時計を見ると9時を過ぎていた。「少し寝過ごしたようだな……」着替えを取ると、バスルームへ向かった。熱いシャワーを頭からかぶり、身体を洗ってすっきりさせると洗濯物を回した。その後、キッチンへ行き野菜を刻んでコンソメでスープを煮ながら、トースターにパンをセットし、ハムエッグを焼く。翔は料理が好きであった。元々この億ションに明日香と引っ越してきてからは家事が苦手な明日香に変わり、料理や掃除、洗濯全てを翔がやっていた。そしてそれを笑顔で感謝する明日香のことが好きだった。「明日香……」過去のことを思い出し、ポツリと呟いた。出来上がった全ての料理をテーブルの上に並べるとテレビをつけて無言で食べ始め……改めて思った。(この部屋は1人で住むにはあまりに広すぎる……。そんな部屋で朱莉さんは1人きりで1年半も暮らしてきたのか)明日香が不在の今、翔は今迄の過去の自分をようやく少しは振り返ることが出来るようになっていた。食事が終わり、後片付けをした後に洗濯物をバルコニーに干しながら呟いた。「明日香には嫌がられるかもしれないが、洗濯を干し終えたら明日香のいる療養所へ行ってみるか」****「だから、明日香ちゃん。俺は今日は行けないって言ってるだろう? 用事があるんだよ」琢磨は自分のマンションへ帰って来ていた。コンビニで買ってきたサンドイッチに珈琲で朝食を食べようとしていた所、明日香から電話がかかってきたのである。『ええ~! 琢磨の意地悪! 来てくれたっていいでしょう!? ここは田舎で退屈で暇すぎて死にそうなのよ!』受話器越しからは明日香の金切り声が聞こえてくる。その声にうんざりしながら琢磨は思った。(全く……翔の奴。よくこんなヒステリックな明日香ちゃんに今迄付き合っていたな? 俺なら金を積まれてもお断りだ)「大丈夫だって、いいかい? 人はそんなに簡単に死なない。第一そんな台詞……軽々しく言ったら駄目だろう?」なるべく優しく、宥めすかす様に言うと明日香は少し声のトーンを落とした。『だけど……私、いつまでここにいなくちゃいけないの……
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-05-06
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2-30 蘇る明日香の記憶 2

 14時――六本木の自宅から1時間半かけて翔は明日香のいる鶴巻温泉の療養所の駐車場へ来ていた。「ここが明日香の滞在先の療養所か」駐車場に車を止めると翔は周辺の景色を見渡した。秋の紅葉も大分進み、冬の景色へと徐々に移り変わっている。翔は枯葉をサクサクと踏みながら、明日香がいる療養所の施設へ向かった。(明日香……迷惑に思うだろうか?)電話で本日そちらへ面会に行く話をした時、明日香からはあまり良い返事を貰えなかった。『来たかったら勝手に来れば?』そんな対応をされて、翔の心は少なからず傷付いていた。(それにしても……皮肉な物だな。何故記憶を無くした時間が10年分なのだろう。せめて9年分だったなら、この頃は既に翔と明日香は恋人同士だったので、こんな面倒なことにはならなかったのに……)やるせない気持ちで一杯だった。「明日香…どうすればお前の記憶は戻るんだ……』建物の前に着くと、翔は空を見上げて溜息をついた——****「何だ、翔。本当にここへ来たのね。頼んでもいないのにわざわざここへやって来るなんて貴方って本当に物好きよね?」明日香は冷たい表情を浮かべながら翔を自分の部屋に迎え入れた。「当り前だろう? 電話で話したじゃないか。今日、そっちへ向かうって」「まあ、そうだったわね」明日香はスマホをいじりながら翔の話を聞いている。「明日香。一体スマホで何をしているんだ?」「煩いわね。別に何をしていようが私の勝手でしょう? ところで翔。この療養所は翔が選んだの? 何だか常に誰かに見張られている気がして落ち着かないんだけど……」「え? 秘書の姫宮と言う女性だけど……?」するとその言葉に明日香が反応した。「え……? 姫宮……? 何処かで聞いたことがあるような……うっ!」突如、明日香が頭を押さえてうずくまった。「お、おい!? どうしたんだ! 明日香!」「う……あ、頭が痛い……」明日香が突然頭を押さえると、そのままうずくまってしまった。「しっかりしろ! 明日香! すみません! 誰か来てください!」翔は慌てて廊下に向かって大声を上げると、職員と思しき人達が数名駆けつけて来た。「どうしたんですか!? 鳴海さん! 早く救急車を!」看護師とおぼしき女性が明日香を抱えながら叫んだ。「おいっ!? 明日香! しっかりしろ、明日香!」翔の呼びかけに
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