บททั้งหมดของ 偽りの結婚生活~私と彼の6年間の軌跡 偽装結婚の男性は私の初恋の人でした: บทที่ 361 - บทที่ 370

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3-9 微細な変化 1

「くそっ!」 翔は玄関に入ると乱暴にドアを閉めた。靴を脱いで部屋にあがると明日香のメモを見直す。翔は無言でそのメモを握りつぶすと、自室へと向かった。翔の自室には両サイドに大きな引き出しが付いた書斎用デスクが置かれている。そのデスクの間にしゃがむと引き出しを開けた。その引き出しには実はからくりがあり、さらに手のひらサイズの隠し引き出し機能が備わっているのだ。翔はそれを開けた。中には鍵が入っている。この鍵は書斎に置かれている本棚の引き出しの鍵である。引き出しの鍵を開けると、中にはひもでくくられた手紙と写真てが裏表反対に入れられていた。「……」翔は震える手でフレームを手に取り、表に返した。その写真には2人の人物が映っており、その写真を食い入るように暫く眺めていた。「あれから10年か……」翔は写真を見ながらポツリと呟いた。(何故だ……? もうずっと気にも留めず忘れかけていたのに、何故今頃になって思い出すんだ……? やはり明日香が10年間の記憶を一時的に失った時に、お前のことが頭をよぎったのかもしれないな……)こうして写真を見ていると、2人だけで写真を撮った10年前の、あの日の会話が思い出される。****『翔は優秀だけど、もう少し他者を労わってあげた方がいいよ。そうしないと、いずれ皆が去って行ってしまうかもしれないよ? 僕は翔が心配なんだ……』『何馬鹿なことを言ってるんだ。少しでも俺が相手の人間より立場が上なら、そんなことは絶対におこるはずないだろう? 俺は今も、この先も自分の考えを改めるつもりはないからな。大体お前にとやかく言われる筋合いは無い』****「そう答えた時、あいつはどこか悲し気な瞳で俺を見ていたな……」ポツリと呟く翔。あの時は何て馬鹿なことを言うのだと鼻で笑ってしまったが……。(お前の言葉の通りになったよ……。琢磨は俺と縁を切ってしまったし、明日香も俺の元をじきに去ろうとしているかもしれない……)思えば親友であった琢磨を自分の専属秘書にしたのも、その考えがあったからかもしれない。その時、翔は先ほどの朱莉の涙を浮かべた姿を思い出した。途端に罪悪感に襲われる。(朱莉さんにかなり乱暴に言い過ぎてしまった……)翔は祖父や明日香が絡むとどうしても冷静でいられなくなるのは自分でも良く分かっていた。それは自分の今のポジションを失い
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3-10 微細な変化 2

——翌朝 翔は憂鬱な気分で社長室にいた。「おはようございます、翔さん。コーヒーをお持ちしました」秘書の姫宮がコーヒーを翔のデスクに置いた。「ああ、ありがとう……」翔は溜息をついた。「どうかされましたか?」「……いや、昨夜少し朱莉さんにきつく当たってしまって、反省しているんだよ」「朱莉様にですか?」「ああ。お宮参りの件で彼女を疑ってしまったんだ。ひょっとすると俺が最初に朱莉さんにお宮参りには1人で行くようにと言ったから、それに不満を持って会長に連絡を入れたんじゃないかって。馬鹿だよな。朱莉さんが会長の連絡先を知るはずは無いのに。それで今朝謝ろうとメッセージを打とうと思ったんだけど、何と書いたら良いか分からなくてね」「……」姫宮は何を思ってるのか、少しだけ眉を潜めながら話を聞いていたが……やがて口を開いた。「何かお詫びにプレゼントでも差し上げたらいかがでしょうか?」「プレゼント?」「はい、朱莉さんが好みそうなプレゼントです」「……」翔は考え込んでしまった。朱莉のプロフィールなど、殆ど把握していない。知っているのは学歴、勤務履歴、家族構成のみだった。「駄目だ……。俺は朱莉さんのことを何も突知らなさすぎる……」「そうですか……それなら無難なところでスイーツなどは如何ですか? 幸い、ここ六本木には有名スイーツ店がたくさんありますし」「姫宮さんはスイーツは好きなのかい?」「ええ。好きです。女性の殆どは好きだと思いますけど?」「そうか。なら姫宮さんにお願いしてもいいかな?」「はい、大丈夫です。出来れば今日渡された方がよろしいかと思いますけど? 今夜会長に会われる前に」「そうだな。時間指定は無かったが、早目のほうがいい。悪いけど買いに行って来てくれるかい?」「はい、すぐに行ってまいります。急ぎの書類はこちらになりますので目を通しておいて下さい。そしてこちらが昨日お話したパンフレットのサンプルになります」姫宮は書類とパンフレットを翔のデスクに置くと頭を下げた。「では、行ってまいります」姫宮はコートを羽織ると、オフィスを後にした。**** オフィスビルを出て、暫く歩きだしてから姫宮はスマホを手に取り、電話をかけると耳に押し当て通話を始めた。「もしもし……。困ったことになったわ。また問題を起こしてしまったのよ……ええ。……そう
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3-11 意味深な言葉 1

 同時刻―― 朱莉がキッチンで食洗器から乾いた食器の片づけをしていた時、バウンサーの上に乗っていた蓮が手足をバタバタさせた。それを見ながら朱莉は微笑む。「フフ……何て可愛いんだろう」蓮を見ているだけで、朱莉の心が明るくなってくる。昨夜翔に冷たい言葉を投げかけられたけれども、蓮を見ているだけで癒されていく。(やっぱり私も翔先輩との離婚が成立したら……誰かと結婚して赤ちゃんが欲しいな……)将来自分の隣に立つ男性が誰か全く見当がつかなかった。けれども……「優しい人がいいな……」気付けばポツリと呟いていた。片付けが終わって蓮の傍に行くと、朱莉はバウンサーから抱き上げた。「よしよし、レンちゃん。今日は寝ないんですか?」朱莉は蓮を胸に抱いて、背中をポンポンと軽く叩き、あやしていると、突然個人用スマホが鳴り響いた。「え……?」着信の相手は京極正人からだった。朱莉は蓮を抱きながらスマホをタップした。「もしもし……」自分では意識しないようにと思っているのに、声が震えてしまう。『朱莉さん、久しぶりですね』「はい、お久しぶりです」『元気にしていましたか?』「は、はい……」『朱莉さん。今から会えませんか?』それは唐突の誘いだった。「え……? 今から……? もしかして、東京にいらしたんですか?」『ええ。もう10月から六本木に戻っていました」「え? 10月からですか?」『はい。本当はもっと早くに連絡を入れたかったのですが……朱莉さんに拒絶されるのが怖くて連絡出来ませんでした』京極の声は寂し気だった。「京極さん……」京極と会話を交わしながら朱莉は思った。(私が京極さんのこと拒絶出来ないのは知っていますよね? だって、貴方はマロンを引き取ってくれた方ですよ?)『朱莉さん、それで本当に急なんですが、この億ションに併設の公園で待ち合わせしませんか?』「え……? 公園ですか?」(そう言えば一度も行った事が無かったけれど……公園があったっけ)『はい、公園です。僕はマロンとショコラを連れて行きますから』「わ、分かりました……。あの、京極さん」『はい、何でしょう?』「あ、あの……。何を見ても決して驚かないで下さいね?」朱莉は念を押した。いよいよ……蓮の存在を京極に明かさなくてはならない。けど不思議なことに何故か京極になら大事な秘密が知られ
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3-12 意味深な言葉 2

「お久しぶりですね。朱莉さん」京極は朱莉に近づくと声をかけた。「はい。お久しぶりです……」すると京極はニコリと笑みを浮かべた。「っぱり朱莉さんはいつ見てもお綺麗ですね」京極のその言葉に朱莉は思わずカッと顔が赤くなる。(ど、どうして京極さんはいつもそんなことを言うの……?)それなのに京極は朱莉が蓮を抱いている姿を見ても、何も質問してこない。ついに朱莉は我慢出来ず、自分から言おうと思い、顔を上げた。「あ、あの……京極さん……!」すると京極が口を開いた。「朱莉さん。少し座って話しませんか?」「え? は、はい……」この公園の敷地内にもドッグランがある。朱莉と京極はドッグランに正面のベンチに並んで座り。2匹の犬が遊んでいる様子を少しの間無言で眺めていた。「どうですか? 朱莉さん。ここの公園は」ふいに隣に座る京極が声をかけてきた。「はい。とても素敵ですね。小さな噴水もあるし、ベンチも沢山……それに……」目の前には滑り台、ブランコ、砂場、スプリング遊具がある。「子供用の遊具も充実してるでしょう?」何処か意味深に京極は言う。「は、はい。そうですね……」朱莉は蓮をギュっと抱きしめると覚悟を決めた。「京極さん……あの、この子は……」「とても可愛いお子さんですよね。……男の子ですよね?」「え? な、何故それを……?」「ああ。それは……」京極は笑みを浮かべた。「だって着てる服が全て水色じゃないですか? 女の子なら大抵ピンクですよね?」「あ……そ、そう言うことですか……」「ええ」「京極さん。それでこの子は蓮という名前で……」そこまで言いかけると京極が止めてきた。「いいですよ、最後まで言わなくても。僕にはこの子の両親が誰か知ってますから。だからあえて朱莉さんから無理に聞き出そうとも思っていません」「京極さん……」(きっと、京極さんはレンちゃんのお父さんとお母さんが誰か見当がついているんだ。だから何も聞かないのね)朱莉はこの段階で、またしても京極に大きな貸しを作ってしまったように感じられた。「朱莉さん。子育てはどうですか? 楽しいですか?」突然京極が尋ねてきた。「はい、楽しいです。毎日ちょっとずつ成長してきて……最近はご機嫌だと声も出すようになったんですよ。手足をばたばたと動かすしぐさは本当に可愛くて……」気付けば、朱
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3-13 惑う朱莉 1

「別に京極さんが思うようなことは何もされていませんけど?」朱莉は京極から視線を逸らした。「本当ですか? それならちゃんと僕の目を見て答えてください」京極が自分をじっと見つめる視線を感じ、朱莉は伏し目がちに京極に視線を向けた。(京極さんには本当のことは言えない。だって京極さんには何か底知れない物を感じるから……)「はい。私は翔さんには良くして貰っています。京極さんが心配されることは一切ありませんので大丈夫です」「朱莉さん。やはり僕を信用出来ませんか? 僕は貴女の大切な安西君と沖縄でいさかいを起こしたことがありましたしね」京極は航の話の部分だけ何故か強調して話す。「そ、そんな。何故そこで航君が出てくるんですか?」「……東京に戻って来ても……今も安西君と連絡を取ったり、会ったりしているんですよね?」京極は淡々と尋ねる。「確かに、東京に戻ってからは……少しは航君と連絡を取って、会ったことはありますけど……もう終わりました。恐らく会うkとは無いだろうと思います」航を思うと朱莉の胸はチクリと痛んだ。「そうなのですか? それは意外ですね? でも何故ですか? 差し支えなければ理由を教えていただきたいのですが」京極は興味深げに尋ねる。「航君には航君の事情があるのだと思います」朱莉は航のプライベートな話を京極にするつもりは無かった。「それって……僕には教えてはくれないってことですよね?」悲し気な表情の顔を見て、朱莉の心は揺らいだが、それでも毅然と言った。「航君の許可なしに……勝手に話すことは出来ませんから。本当にすみません。それで……あの、そろそろ手を離していただけませんか?」先程から京極は朱莉の左手を握りしめたままである。「そうでしたね。いつまでも握りしめていて、すみませんでした」京極はようやく朱莉から手を離した。「もうそろそろ失礼させていただいてもよろしいですか? 人の目もありますし、何より今日初めて蓮ちゃんを外に連れ出したので、そろそろお部屋に戻してあげたいんです」朱莉は何処か危険な香りのする京極から逃げたかった。「そうですね。まだ蓮君はこんなに小さいですからね。では一緒に戻りましょう」京極が立ち上りかけた。「いいえ、京極さん。ドッグランを見てください。あんなにマロンとショコラちゃんが楽し気に遊んでいますよ。是非もう少し遊ば
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3-14 惑う朱莉 2

「明日香さんはSNSをしているんですよ。そして偶然彼女の書き込みを発見したんですよ。今、星が綺麗に見える駅を探しているけれどもご存知の方がいたら教えてくださいと」「!」朱莉は息を飲んだ。(明日香さんが言っていたことと同じ……!)「それで僕は彼女に教えたんですよ。長野県にある『野辺山駅』は星空が大変美しく見える場所だと言う事を。そして、これは偶然でしょうか。昨夜は夜中に流星群が降って来る日だったんですよ。ついでにそのことを教えて上げました。そうしたら彼女はお礼の返信をくれて、すぐに『野辺山駅』へ向かうと書いて来たのですよ」ニコニコと笑みを浮かべながら語る京極に朱莉は畏怖の念を抱き、身体が震えそうになった。「朱莉さん? どうしたんですか? 顔色が悪いですよ?」京極が心配げに尋ねてきた。「い、いえ。大丈夫です。ただ……ちょっと驚いただけです。まさか明日香さんに『野辺山駅』のことを伝えたのが京極さんだったとは思わなくて……」朱莉は京極の視線から顔を背けた。「ええ。でも役に立てて良かったです」「そ、そうですね。では私はこれで失礼します」朱莉は深々と頭を下げると、逃げるように足早に立ち去った——「…」朱莉の立去る後姿が見えなくなるまで見送ると京極はポツリと呟いた「また俺は朱莉さんを怯えさせてしまったようだ……」京極はスマホを取り出すとメッセージを打ちこみ始めた……。 逃げるようにエレベーターホール迄辿り着いた朱莉はため息をついた。(京極さん…何故、突然あんなことを言い出したの? 一体京極さんは何を考えているの? いつもいつも何か含みを持たせるような言い方をされると……)「京極さん……私は貴方のことが……少し怖いです……」朱莉はポツリと呟くのだった—— 自宅へ戻り、眠っている蓮をベビーベッドに寝かせるとスマホにメッセージの着信が入っていることに気が付いた。相手は姫宮からであった。メッセージを開いて、目を通した朱莉は驚いた。「そ、そんな……! 今夜8時に会長と鳴海家で会食なんて…!」出来ることなら断りたいと朱莉は思った。昨夜、翔に責められたばかりなのに顔を合わせるのは気まずい。だけど朱莉は会食を断れる立場にはない。「そうだよね……。いつまでも避けて通れるわけじゃ無いし……。あ! そう言えば、翔先輩からお宮参りの神社を探しておくように
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3-15 貴女の味方です 1

「今朝副社長からお話は聞きました。お宮参りの件で朱莉さんにきつく当たってしまったと、反省しておられましたよ?」朱莉はそれを聞いて姫宮の顔を見つめた。「え? 本当ですか?」「ええ。本当です。話の続きは車の中でいたします」エントランスを出ると、既に正面にはリムジンが停車している。「え? ま、まさかこれは……リムジンですか!?」朱莉は生れて初めて見るリムジンを見て驚いた。「朱莉様、乗るのは初めてですか?」「乗るどころか、見るのも初めてです」「そうですか、蓮君を乗せてお話をするにはこのリムジンが良いかと思い、私が手配いたしました。朱莉様。どうぞ乗って下さい。チャイルドシートは既に設置してありますから」 姫宮はドアを開けた。「あ、ありがとうございます」朱莉は蓮をベビーカーから降ろし、抱きかかえてリムジンに乗り込むと蓮をチャイルドシートに乗せた。「レンちゃん。お利口にしていてね」朱莉は眠っている蓮の頭を撫でると、隣に座った。姫宮も朱莉の隣に座ると運転手に言った。「それでは車を出して下さい」「はい、分かりました」運転手は返事をすると、車を走らせた。「朱莉様、それで先程のお話の続きですけれども副社長は朱莉様に謝罪したいと仰られていました」「謝罪……ですか」朱莉はポツリと呟いた。姫宮はてっきり朱莉が喜ぶと思っていたのか、意外な反応に首を傾げた。「朱莉様、どうされましたか?」「いえ。何でもありません」朱莉の浮かない顔を見て姫宮は尋ねた。「朱莉様……以前にも同じようなことがあったのですか?」「は、はい。確かに何度か」「そうですか。それでは副社長に対して不信感を抱かれても無理は無いですね」「姫宮さん!?」朱莉は姫宮の反応に驚いた。仮にも姫宮は翔の秘書である。その秘書が雇い主である翔のことをそんな風に言うとは思わなかったからだ。すると朱莉の思っていることに気が付いたのか、姫宮が言った。「朱莉様、私は確かに副社長の秘書ではありますが、同じ女性として朱莉様の味方ですから、ご安心下さい」朱莉は呆然と姫宮の話を聞いていた。ここには運転手もいるのにそんな話をしても大丈夫なのだろうかと逆に心配になってしまった。(でも……姫宮さんの好意をありがたく受け取っておかなちゃ)「ありがとうございます」朱莉は頬を赤らめて姫宮に礼を言った。「いい
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3-16 貴女の味方です 2

 鳴海家は港区南麻布の高級住宅街の中にあった。いったいどれほどの敷地面積を誇るのだろうか。家の敷地は真っ白の高い塀に囲われ、さらに高い樹木が生えている為、家の外観を外側から見ることは不可能になっており、ライトで塀の外周が照らされている。その様子はまるで要塞のようにも見えた。立派な門構えにはインターホンが付いており、姫宮は車から降りるとインターホンを押した。すると程なくして、シャッターが開く。朱莉は目の前に飛び込んできた光景を見て息を飲んだ。門から家までの距離が100mはあろうかと思われる広い庭には、大きな池迄ある。芝生に置かれたスポットライトに照らし出された鳴海家は、まるで家と言うよりは美術館のような造りをした豪邸であった。「嘘……信じられない……」車の中から見た鳴海家は朱莉の想像をはるかに超えていた。それと同時に偽装婚とはいえ、自分は何て分不相応な結婚をしてしまったのだと思った。日本でも有数のトップ企業で、世界進出も果たしている鳴海グループ。そしていずれ翔はその後継者となる人物だ。(こんなに立派な人なんだもの。幾ら偽装妻でも私みたいな平凡な人間を見ていればイライラしてしまうのも無理は無いかも……)朱莉は翔が自分につらく当たるのは、きっと自分に責任があるからだろうと勝手に決めつけてしまった。「朱莉様、玄関前に着きました」その時、姫宮に声をかけられた朱莉は顔を上げた。するとすでに玄関前には翔の姿があった。(翔先輩……!)朱莉はギュッと手を握ると深呼吸した。「朱莉様、大丈夫ですか?」姫宮が心配して声をかける。「はい、大丈夫です」(落ち着かなくちゃ。何事も無かったかの様に振舞わないと。だってこれから鳴海会長と会食なんだから……)チャイルドシートから蓮を抱き上げると、パチリと目を開けて泣き出した。「フエエエエエエ……ン!」「あら、大変! レンちゃん。お腹でも空いた? それともオムツ?」「目が覚めたのですね?」朱莉は蓮のオムツの匂いを嗅いでみた。「レンちゃん。おむつだったのね? それじゃすぐに何処か場所を借りてさっぱりしましょうね」朱莉は蓮を抱き上げると車から降り、その後から姫宮も降りると、すぐに翔が朱莉の側へやって来た。「蓮、どうしたんだ?」「はい、オムツが汚れて不快なんだと思います。何処かオムツを変える場所を貸して頂けま
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3-17 翔の謀 1

 朱莉が翔に連れらて来た部屋はまるで貸し切りの高級レストランのようなダイニングルームだった。大理石で出来た大きな天板のテーブル。皮張りのひじ掛け付きの豪華なチェア。そして天井からはテーブルを照らすように吊り下げられた間接照明。落ち着いた雰囲気のインテリアは目を見張るばかりである。(私……何て場違いな場に来てしまったの?)蓮を胸に抱いたまま緊張で足が震えていると、既にテーブルの前に着席していた猛が声をかけて立ち上がった。「おお! こんばんは朱莉さん。久しぶりだねえ……子育てで忙しい所を呼び立てて、すまなかったね」「い、いえ。こちらこそ。会長の方こそ、お忙しいのにレンちゃんのお宮参りの為にわざわざ帰国していただいたなんて、感謝しております」朱莉は深々と頭を下げた。「まあ、堅苦しいことは言いっこ無しだ。ところで朱莉さん。私にも可愛い曾孫の顔を拝ませてくれないか? あ、あと会長と呼ぶのは無しだ。お爺様と呼んでくれないか?」「はい。分かりました。お爺様」朱莉が蓮を抱いて猛の元へ行こうとした時、翔が声をかけた。「朱莉さん。俺が蓮を預かるよ」「え?」何故なのだろうと朱莉は翔の顔を見上げると、そこには何処か切羽詰まった表情の翔がいた。(翔先輩?)朱莉は不思議に思ったが、翔には何か考えがあるのだろうと思い、朱莉はそっと蓮を渡すと、翔は大事そうに胸に蓮を抱きかかえて猛の元へと向かった。「今、寝てますけど、どうぞ。是非顔をご覧になって下さい」翔は猛の方へ蓮の顔を見せた。「おう、おう。何て可愛らしいんだ……。うん、目元の部分は特に翔、お前によく似ているじゃないか……」猛は顔をほころばせながら蓮を愛おし気に見ている。その時、朱莉は気が付いた。(そうだった。翔先輩とレンちゃんは実の親子だけども、私とレンちゃんは赤の他人。当然どこも似ているはず無いわ。だからそのことを気付かせないために翔先輩がレンちゃんを代わりに抱いて会長に見せに行ったのね)朱莉はその時思った。この先蓮を連れ出して、健診に行ったり、公園へ連れて行くこともあるかもしれない。そして自分と蓮を見た人たちは口には出さなくても、全く似ていない親子と思う可能性だってあるのだ。それを思うと、朱莉は少し悲しくなってきた。「朱莉様、どうかされましたか?」姫宮が朱莉の元気のない姿を気にして声をかけてきた
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3-18 翔の謀 2

「今夜は老舗割烹料理屋から懐石料理を頼んだんだ。皆、存分に味わってくれ」猛は翔、朱莉、姫宮を見渡しながら言った。その言葉と同時に着物姿のスタッフが現れ、次々と料理を並べていく。朱莉は運ばれてくる料理に息を飲んだ。ご飯、お吸い物、盛り付けの美しい刺身、酢の物が次々と運ばれてくる。続いて茶碗蒸しに上品な煮物、アユの塩焼き、マツタケの土瓶蒸し……それ等が並べられていくのを朱莉はただ茫然と見つめていた。「さて、それでは頂くか。ん? どうしたんだ? 朱莉さん」猛が朱莉が微動だにせずに料理を食い入るように眺める姿に気付き、声をかけてきた。慌てて朱莉は顔を真っ赤にさせた。「す、すみません! あまりにも豪華な料理を前にして驚いてしまったんです!」「おお、そうか。成程。朱莉さんも普段は質素つつましく過ごしているのだな? うん、そう言う姿は嫌いじゃない、いやむしろ普段は倹約が一番だと思う。そして使う時は使う……これが一番だと思わないか?」猛は豪快に笑った。朱莉は何と返事をしたら良いか分からないので、猛に話を合わせておいた。「は、はい、その通りだと思います」「よし、では食べるか?」猛の言葉を合図に、一同は会食を始めた。猛は隣の席に座る朱莉に色々と蓮の子育ての方法について尋ねているし、朱莉は丁寧に答えていた。そんな猛と朱莉の様子を伺いながら翔は思った。(祖父はどうやら朱莉さんを気に入ってるようだが……数年後、俺が朱莉さんと離婚する話を持ちだしたらどのような反応を示すのだろうか? もしまだ会長職を退かず、元気なようだとしたらこのまま偽装婚を続けた方が良いかもしれない。最近明日香の心が俺から離れかけている気がするし、それならいっそ朱莉さんが嫌がらないのであれば、このまま本当の夫婦になってしまってもいいし、別居婚という形をとってもいいしな……)神妙な顔をして食事を進めていると、不意に姫宮が声をかけてきた。「副社長、どうされましたか?」そこで翔は小声になった。「い、いや。ほら、朱莉さんと会長……随分親しげだと思わないか?」「ええ、そうですね。お2人はお話が合っている様ですね」「ああ。それで思ったんだが……」翔はそこで一度言葉を切った。「最近、明日香の様子がおかしいんだ。今回、俺に何の相談も無しに勝手に旅行へ行ってしまうし……俺から離れていこうとしているよう
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